転職後の在留資格更新について解説!更新不許可のリスクを回避する方法も紹介
就労系ビザで在留中に転職をしたけれど、更新の申請は通常通りできるのだろうか?
就労系ビザは要件が厳しく、種類がたくさんあるので転職をすると不安になりますよね。そこで今回は、転職後の在留資格更新手続きについて解説します。更新が不許可になるリスクを抑える方法もご説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。
転職歴がある場合、転職のケースによって提出書類は違う
在留中に転職している場合、更新時の提出書類は日本での活動内容によって異なります。
前職と同じ職務内容の場合
前職と同じ職務内容であれば、現在取得している就労系ビザを更新することで問題ないケースが多いでしょう。しかし、前職と同じ職務内容であっても、転職先の職務内容が前職と同じであることを必ず認められるわけではありません。
現在の在留資格で問題ないことを証明するためには、「就労資格証明書」を取得しましょう。
就労資格証明書を取得し、現在の在留資格の活動範囲内だと証明された場合に提出する書類は下記になります。
- ●在留期間更新許可申請書
- ●写真
- ●日本での活動内容に応じた資料
- ●在留カード
- ●旅券(パスポート)または在留資格証明書
※掲示することができない場合はその理由を記載した理由書
- ●身分を証する文書等
※申請取次者が申請を提出する場合
日本での活動内容に応じた資料は、在留資格の種類によって異なります。
就労資格証明書の申請をする場合
就労資格証明書とは、現在取得している在留資格で就くことができる職種を確認したり、転職先での就労内容が在留資格の活動範囲内であることを証明したりすることができる文書です。
就労資格証明書の詳しい内容は、下記の通りです。
申請できる方 |
・本人 ・取次者 ・代理人 |
---|---|
申請に必要な書類 |
・履歴書 ・在留カード ・旅券(パスポート) ・源泉徴収票 ・転職先の会社に関する書類一式 ・雇用契約書 ・雇用理由書 など
状況によっては、追加で書類が必要になります。 |
申請先 |
・居住地域を管轄する出入国管理局 ・オンラインによる申請も可能 |
申請にかかる手数料 |
1,200円 |
申請にかかる期間 |
申請から1〜3ヶ月程度 |
就労資格証明書を取得すると、取得の際に会社の情報を入国管理局へ提出するため、次回の更新を簡易的に進めることができます。
ビザの種類が変わる場合
在留資格の種類が変わる場合は、「更新」ではなく「変更」が必要になります。
在留資格変更に必要になる主な書類は、下記の通りです。
- ●在留資格変更許可申請書
- ●写真
- ●日本での活動内容に応じた資料
- ●在留カード
- ●資格外活動許可書(交付を受けている方のみ)
- ●旅券または在留資格証明書
※提示することができないときは、その理由を記載した理由書
- ●身分を証する文書等の提示(申請取次者が提出する場合)
変更は更新と違い、在留期限の3ヶ月前から申請ができるのではなく、転職先の仕事を始める前に申請許可をもらわなければいけません。許可が出るまでの間は仕事をすることができませんので、転職までに余裕をもって行うようにしましょう。
変更を行わなかった場合、不法就労とみなされ在留資格を取り消される可能性が高くなりますので、忘れずに変更申請をしましょう。
転職後の在留資格申請の注意点
転職後の在留資格申請を行う時、転職先企業や転職後の届け出について気をつけなければいけないことがあります。届け出に関しては、怠ることで罰金がかかってしまう可能性もありますので、しっかりと確認しましょう。
転職先の企業の状況によっては不許可になる場合も
転職先の企業の財務状況がよくない場合、安定性に欠けると判断され、更新が不許可になってしまう可能性があります。
会社の財務状況を説明する書類として、直近年度の決算文書の写しや源泉徴収票などの資料を提出します。赤字が続いていたり新設会社で実績がなかったりするときは、黒字化を見据えた事業計画書を提出することが必要になります。
届け出をしない場合、罰金を課せられるケースも
中長期滞在者は転職をしたとき、変更があった日から14日以内に入国管理局へ変更の内容を報告しなければいけない義務があります。
変更を報告する届け出をしなかった場合、
- ●20万円以下の罰金
- ●次回のビザ更新時、在留期間の短縮
などのデメリットがありますので、必ず「所属期間の変更の届け出」を提出するようにしましょう。
また、企業側は外国人労働者の雇用または離職の際に、ハローワークへ届け出る必要があります。届け出を怠った場合、30万円以下の罰金の対象になりますので注意しましょう。
在留資格更新における不許可のリスクを抑えるには
在留資格を更新するときに、不許可になるリスクを抑えるためには「就労資格証明書」を取得するのがおすすめです。次項にて就労資格証明書を取得した方が良い理由や、メリット・デメリットについてご説明いたします。
就労資格証明書の取得がおすすめ
就労資格証明書とは、現在取得している在留資格で就くことができる職種を確認したり、転職先での就労内容が在留資格の活動範囲内であることを証明したりすることができる文書です。
就労資格証明書を取得しておくことで、次回の在留資格更新時に更新できないリスクを軽減することが可能です。
就労資格証明書のメリットは下記の通りです。
メリット |
---|
・更新時に不許可になる可能性が低くなる ・企業側も安心して雇うことができる ・更新時に準備する書類が少なくなる |
取得しておきたい一番の理由は、転職先の業務内容が現在取得している在留資格の活動範囲内だということを証明してくれることです。これにより、更新時に業務内容が理由で不許可になる可能性がほぼなくなります。
ただし、あくまで業務内容に問題がないことを証明するだけで、別の理由で不許可になる可能性はありますので注意してください。
就労資格証明書を取得することは、申請人だけでなく企業にとっても安心材料になります。
不法就労者の雇用をしてしまうと、雇用主は「不法就労助長罪」に問われます。
不法就労助長罪は故意でなくても「3年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその併科」という重い罪を背負うことになります。
知らなかったでは済まされませんので、少しでもトラブルを回避するためにも就労資格証明書を取得しておいた方が良いでしょう。
就労資格証明書のデメリットは下記の通りです。
デメリット |
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・審査が必要 ・必要な書類の数が多い ・時間がかかる |
デメリットは、申請の手間がかかることです。企業側の書類も集める必要があるため、書類を収集するだけでも時間がかかります。就労資格証明書を取得せずに更新を行う場合は、更新時に同じように書類を集める必要があるため、結局は手間がかかるのがどのタイミングになるかだけの違いになります。
就労資格証明書を取得する際の注意点は、交付に1〜3ヶ月かかってしまうので、在留期限が近いと先に更新が終わってしまう可能性があります。そうなると申請をする意味がなくなってしまうので、転職が決まってからすぐに申請を行うようにしましょう。
まとめ
就労系ビザを取得している方が転職をするとき、必要になる書類や手続きが多く、転職の作業と同時進行していくのはとても大変です。職種が変われば、在留資格の活動内容と相違がないかの確認もしなければいけません。
不安な方や、その作業に時間を割く余裕のない方は、専門知識を持つ行政書士に依頼することをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応