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家族滞在ビザとは?その条件や注意点について

日本国内で働く外国人労働者のなかには、家族を呼び寄せて一緒に暮らしたいと考えているケースも少なからずあります。

 

こうした場合、外国人が家族とともに暮らすためには、家族滞在ビザを取得しなければなりません。

 

このため、企業などの事業所でも、外国人の被扶養者に対して発行される家族滞在ビザについて知っておくと、外国人材を活用する際に役立ちます。

家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザは就労ビザを取得し、日本国内に就労している外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子が、日本で生活するための在留資格です

 

。この扶養とは、原則として同居して経済的に相手に依存していたり、監護・養育を受けていることをいい、外国人の家族がこうした状態であれば、家族滞在ビザを取得できます。

 

そして家族滞在ビザを取得することによって、母国から配偶者あるいは子を招き、共に暮らすことが可能になります。

家族滞在ビザの条件

まず、家族滞在ビザを取得するにあたっては、次のような要件が設けられています。

法律上有効な家族関係が扶養者にあること

家族滞在ビザの対象となる配偶者と子は、それぞれ法律上有効な関係がなければなりません。

 

法律上有効な関係とは配偶者の場合、婚姻関係で、結婚証明書など公的な書類で証明します。また、親子関係の場合は、出生証明書などの公的な書類で証明する必要があります。

扶養者は扶養の意思と能力があること

家族滞在ビザの取得には、扶養者の意思はもとより、その能力も求められます。

 

能力とは、おおまかには扶養に能う資力のことで、収入によって判断され、住民税の課税証明書や納税証明書によって証明するものです。

 

ただし、扶養能力があると認められる収入は地域や物価、扶養する家族の状況などによって異なるため、明確な基準があるわけではありません。

 

ひとつの目安としては月収18万円程度と考えるのが妥当です。

同居を前提とし、経済的に依存していること

家族滞在ビザを取得しようとするのが配偶者の場合には、経済的に扶養者に依存していることが前提となります。

 

そのため、扶養者と正当な理由なく別居することなどは認められておらず、経済的に独立している場合、在留資格は認められません。

同居を前提とし、経済的に依存していること

子の場合には、扶養者の看護教育を受けていることが前提です。

 

そのため、子が本国で暮らしていた期間が長い場合などは、扶養者となる親が子と交流があったのかや、なぜ看護教育をほかの者にまかせていたのか、さらに日本に呼び寄せて看護教育する必要があるか、などについての説明を求められることがあります。

就労が目的でないこと

家族滞在ビザの申請は、配偶者あるいは子が日本に滞在する目的が「就労活動」であってはなりません。

 

ここで認められる活動は、扶養を受ける範囲内でおこなう日常的な活動に限定されます。こうした点から、原則として就労が目的となる場合には、家族滞在ビザは取得できません。

住居が確保されていること

扶養者がその配偶者や子と生活するため、適切な住居が確保されていることも家族滞在ビザ取得の条件となります。

 

このため、家族が暮らす住居については、人数に応じた広さや間取りが必要です。

 

たとえば、夫婦ふたりで生活する場合だと、ワンルームマンションなどであっても申請が許可される可能性はありますが、配偶者や子以外にも同居人がいる場合などには、「生活に適した住居が確保されていない」と判断され、許可されないケースもあります。

 

また、生活に適した住居が確保されていることを証明する書類として、賃貸契約書のコピーや間取り図などの提出も求められます。

家族滞在ビザを取得後就労することはできる?

家族滞在ビザの取得が認められるのは、上記のように「就労活動を目的としないこと」が前提となっていることから、原則就労ができません。

 

しかしながら、やむをえず被扶養者も働かなければ自立した生活が送れない場合、入国管理局から「資格外活動許可」を得ることで、就労が認められることもあります。

労働時間を制限のうえ認められる包括許可

まず、家族滞在ビザで就労するための資格外活動許可としては、1週間で28時間の範囲内で就労が可能となる包括許可があります。

 

この包括許可は活動内容が風俗営業でなければ、勤務先や業務内容が定められていません。また、家族滞在ビザにおける資格外活動許可については、基本的には包括許可が与えられます。

 

このほか、下記に記載する、個別許可に定められている1.2.4.5.の条件も満たす必要があります。

勤務先および業務内容が限定される個別許可

1週間で28時間の範囲内で就労、という条件に当てはまらず、一定の条件を満たすことで就労が認められるのが個別許可です。

 

その条件は以下のとおりで、一部、包括許可にも求められる内容も含みます。

 

  • ●1.申請人が就労することで家族滞在ビザにかかわる活動の遂行が妨げられないこと。
  • ●2.家族滞在ビザにかかわる活動が維持できること。
  • ●3.出入国管理と難民認定法別表第一の一の表、あるいは二の表の在留資格下欄に掲げられた活動に該当していること。
  • ●4.刑事・民事を問わず法令に違反すると認められないこと
  • ●5.風俗営業あるいは店舗型性風俗特殊営業、または無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業のほか、無店舗型電話異性紹介営業に従事していないこと。
  • ●6.退去強制事由に該当すると疑われる収容令書の発付を受けていないこと。

原則として雇用形態はパートあるいはアルバイト

包括許可の条件にもあるように、家族滞在ビザには、就労によって得られる報酬の制限がない一方で、労働時間に制限があります。このため、1ヵ月を4週として計算した場合、労働時間は最大112時間となります。

 

また、包括許可には働き先についても制限があることから、家族滞在ビザの取得後に就労できる雇用形態は、主にパートあるいはアルバイトになると考えられます。

より収入を得たい場合には在留資格の変更を検討する

家族滞在ビザで許可される範囲内では収入が足りず、これを超えて就労したいのであれば、在留資格の変更を検討するのもひとつの方法です。

 

この場合、就労が認められている在留資格としては、特定ビザあるいは高度専門職ビザ、留学ビザなどがあります。

家族滞在ビザを取得するうえで注意すべきこと

かつての家族滞在ビザは、結婚していたり、あるいは親子関係が証明さえできれば、比較的取得しやすい在留資格でした。

 

しかし、近年では不交付になるケースもみられます。また、一度交付が認められなかったりすると、再申請も難しくなります。

 

このため、家族滞在ビザでは上記就労に関する点以外でも、注意すべき点があります。

父母を呼び寄せることはできない

家族滞在ビザは、あくまで外国人の配偶者あるいは子が日本で暮らすための在留資格です。

 

このため、たとえ親族であっても、家族滞在ビザで申請者の父母を呼び寄せることはできません。こうした場合には、15・30・90日の短期滞在ビザを取得するのが原則となります。

 

一方、長期であれば、特定活動ビザ(告示外)で在留が認められる可能性もあります。

配偶者と離婚すると在留ができなくなる

妻あるいは夫と離婚した場合、家族滞在ビザの被扶養者はその後、日本に在留できなくなります。このため、在留資格を変更するなど、相応の対応をしなければなりません。

子が成人すると認められないこともある

家族滞在ビザを持つ子の場合、成人後に就労し、かつ扶養者の下で暮らしていると、在留資格の更新が認められないことがあります。そこで、成人後の子に就労先があるのであれば、就労ビザへの切り替えの検討も必要です。

 

ただし、成人後も学生などで扶養を受けながら生活する必要がある場合、ただちに家族滞在ビザが取り消されることはありません。

留学ビザを持つ外国人の扶養者を呼び寄せる場合、条件が厳しい

家族滞在ビザは、留学ビザを持つ外国人の妻あるいは子でも取得できます。

 

ただし、こうしたケースでは、収入面がネックになることが多く、扶養能力が十分だと証明する必要があります。

 

このため、生計を立てられる証明として、在籍する各種学校発行の奨学金受給証明書や、両親からの海外送金明細書、収入・支出の説明書などの提出を求められることがあります。

まとめ

ここまでのように、家族滞在ビザは就労ビザなどのほかの在留資格とは違い、原則、収入を得ることを前提としない在留資格です。

 

このため、上記の注意点以外で、少額の収入を得るための自営業を営むケースなどでも、強制送還の対象となることもあります。

 

このため、ほかの在留資格と同様か、あるいはそれ以上に、不法就労にならないよう、その要件について十分な確認が必要です。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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