永住者の配偶者等ビザの更新と必要書類、そのポイントについて
「永住者の配偶者等ビザ」は永住者あるいは特別永住者と結婚した外国人や、その子供として日本で出生した者が日本で生活するための在留資格です。
この永住者の配偶者等ビザには仕事の制限や、年齢の制限はありませんが、在留期間が定められており、期限を迎えた場合には在留資格を更新しなければなりません。
永住者の配偶者等ビザの更新について
永住者の配偶者等ビザの更新手続きはすでにビザを取得している者が、引き続き同様の活動をする場合に必要となる手続きです。
現在有している在留資格を変更することなく、許可された在留期間を超過し、継続して在留を希望する際に、在留期間を更新するためにおこないます。
在留期間と更新できる時期
永住者の配偶者等ビザの「1年」、「3年」、「5年」の在留期間が定められています。このため、それぞれの期限に近づいた場合に在留資格の更新が必要です。
また更新手続きは在留期間満了日の3ヵ月前から申請することが可能で、在留期間は在留カードで確認することができます。
永住者の配偶者等ビザの更新の流れ
永住者の配偶者等ビザの更新申請から新たな在留カードへの切り替え、受領までは以下のような流れでおこないます。
①申請書類の準備
②出入国在留管理局へ必要書類を提出
③審査結果が郵送で通知
④出入国在留管理局において在留カードの受領
永住者の配偶者等ビザの更新の必要書類
永住者の配偶者等ビザの更新で必要となる書類は以下のとおりです。また、永住者の配偶者と永住者の子とではやや違いがあります。
書類の種類 |
永住者の配偶者 |
永住者の子 |
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在留期間更新許可申請書 |
出入国在留管理局のHPよりダウンロードします。 仕様が変更されている場合があるため、必ず最新のものを使用します。 |
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写真 |
縦4㎝×横3㎝で、申請前の3ヶ月以内に無帽・無背景で撮影され、かつ鮮明なものに限ります。この指定を満たさない写真によって申請をおこなった場合には撮り直しが必要になる場合もあるため注意は必要です。 ただし、16歳未満であれば提出は不要です。 |
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返信用はがき |
返信先の住所を明記します。 |
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婚姻証明書 |
配偶者となる永住者と申請人となる外国人の自国の機関で発行されたものが必要です。 |
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婚姻届出受理証明書 |
日本の役所へ婚姻届を提出した場合には必要となります。 |
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出生届出受理証明書 |
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出生届が受理されたことを証明するものです。 |
住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書 |
3カ月以内に発行された、配偶者となる永住者の1年間の総所得と納税状況が記載されたものが必要です。 |
3カ月以内に発行された、親となる永住者について1年間の総所得、また納税状況が記載されたものが必要です。 |
申請人自ら滞在費用を捻出する場合は、申請人のものを提出します。 |
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日本における滞在費用を証明できる資料 |
入国間もない場合や転居などによって住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書によって滞在費用を提示できないのであれば、別途以下のような資料が必要です。
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身元保証書 |
提出前には身元保証人の押印が必要です。 また身元保証人は原則として日本に居住する配偶者となる永住者となります。 |
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住民票 |
配偶者となる永住者のものです。 世帯全員が記載されている必要があります。 |
親となる永住者のものです。 世帯全員が記載されている必要があります。 |
パスポート |
提示が必要となります。 |
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在留カード |
提示が必要となります。 |
※上記以外にも失業などによって世帯収入の減少したり、夫婦の場合では、夫婦仲が悪くなる、DV被害などで別居生活を送っている、夫婦同居ができないといった、夫婦生活の安定性、継続性についての事情説明が必要な場合には、追加の立証書類として事情説明書・申請理由書も必要となります。
※また、配偶者となる永住者あるいは特別永住者と離婚に至り、別の永住者あるいは特別永住者と再婚したといった場合にも、その経緯説明や再婚後の婚姻の安定性、継続性について丁寧かつ整合性の取れた追加の書類の作成が求められます。
永住者の配偶者等ビザの更新でよくある疑問
ここからは永住者の配偶者等ビザの更新において起こりがちな疑問についてみていきます。
ビザ更新の審査にかかる期間は?
永住者の配偶者等ビザの更新における審査の期間はおおよそ2週間から1ヵ月程度です。場合によっては1週間程度のこともありますが、審査が長引くと結果の通知までに2カ月以上を要することもあります。
特に、審査機関が長引く要因は、収入や素行、書類内容にひとつでも疑わしい点がある場合、これについて詳細な審査がおこなわれていることが考えられます。ただし、審査期間が長くなったとしても、必ずしもビザの更新が不許可になるというわけではありません。 あくまで疑わしい箇所について厳しく審査がおこなわれているということであって、疑義が晴れれば審査は通過します。
一方で明らかに不許可となる場合には、むしろ短期間でその旨が通知されます。このため、永住者の配偶者等ビザの更新では単に審査の期間が短ければよいとはいえません。
更新ができないことはある?
永住者の配偶者等ビザは取得時に許可が下りたとしても、更新の際、同様に許可が下りないことがあります。この場合、いくつかの原因が考えられます。
素行に問題がある
永住者の配偶者等ビザに限らず、在留資格全般にいえることですが、犯罪や税金の滞納など、素行に問題があるとビザの更新は非常に難しくなります。これは、ビザ取得の要件ともなっている、日本国に対し利益をもたらすことが認められないからです。
収入が著しく減少した
ビザ取得時には十分な資金力があったものの、更新の際にこの状況が大きく変わっている場合には、事情説明書や申請理由書の提出だけでは足りず、ビザの更新が不許可になることがあります。これも、ビザ取得の要件である婚姻の「継続性」や「真実性」にかかわるからです。
申請内容について矛盾が生じている
すでに示したビザ更新時の各種提出書類に記載されている内容に矛盾が生じている場合も、不許可になる可能性があります。これは、申告内容に虚偽があるとみなされるからです。このため、各種書類の記載内容は事前に十分な確認が必要です。
更新でかかる費用はいくら?
永住者の配偶者等ビザの更新では、許可が下りた場合にのみ、4,000円の手数料がかかります。ただし、ビザ更新の手続きは比較的煩雑なため、場合によっては行政書士などの専門家に申請の代行を依頼する検討も必要です。
その場合あくまで目安ですが、費用は以下のようになります。
- ・各種提出書類の作成補助やチェックのみ…4~6万円
- ・各種提出書類の作成…9~13万円
- ・各種資料の収集から作成、在留カードの受け取りまで…11~15万円
このほか、単純更新ではないケースでは別途費用が発生する場合があります。
更新しなかった場合はどうなる?
永住者の配偶者等ビザの更新では1日期限を過ぎただけであってもオーバーステイ(不法滞在)となり、入国管理局への自主出頭が必要です。
また違法であって摘発や強制送還の対象にもなります。
そうした場合でも個々の事情は考慮され、すべてが摘発や強制送還の対象となるわけではありませんが、オーバーステイそのものが非常に危険な状態であることには変わりはないため、更新申請は余裕をもって進めることが大切です。
まとめ
永住者の配偶者等ビザは仕事の制限や年齢の制限がないことから取得だけが目的の「偽装結婚」が横行したため、比較的審査が厳しくなっており、これは更新時も同様です。
このため、更新の際には十分な準備と余裕をもった手続きをおこない、場合によっては専門家に相談することも検討し進めることが必要となります。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応