永住者の配偶者等ビザにおける各種手続きとその注意点
日本には日本国籍を持たない外国人が国内で暮らせるよう、さまざまな在留資格が設けられており、この制度によって外国人でも在留が許可され生活を送ることができます。
また、在留資格は当事者それぞれの状況や立場、活動内容によってさまざまですが、特に永住者と正式に結婚することで取得できるビザとして、「永住者の配偶者等ビザ」があります。
そしてこの永住者の配偶者等ビザの場合、さまざまな場面で、それぞれ異なる手続きが必要となります。
海外から配偶者を呼ぶ手続き
日本に在留している永住者の配偶者が外国人で、かつ海外に在住している場合、永住者の配偶者等ビザを取得して日本に呼び寄せるには、まず「在留資格認定証明書交付申請」をおこなう必要があります。
これは出入国在留管理局より在留資格認定証明書を交付してもらう申請手続きで、交付される在留資格認定証明書はビザそのものとは異なり、「推薦状」といった位置づけとなります。
このため、在留資格認定証明書は管轄する出入国在留管理局は審査の結果、来日する外国人が夫あるいは妻と夫婦として暮らす目的のため、永住者の配偶者等ビザの基準を満たしていると認められた場合にのみ、交付されます。
必要書類
在留資格認定証明書交付申請に必要な書類としては次の通りです。
①在留資格認定証明書交付申請書…1通
②申請人本人のみが撮影された写真(縦4㎝×横3㎝)…1葉
③返信用封筒(定形封筒へ宛先を明記、簡易書留用で404円分の切手を貼付)…1通
④以下の申請人と扶養者との身分関係を証明できる文書…いずれか1通
・戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・結婚証明書の写し
・出生証明書の写し
・適宜上記に準ずる文書
⑤扶養者の在留カードあるいは旅券の写し
⑥扶養者の職業と収入を証明する文書
⑴扶養者が収入をともなう事業を運営、あるいは報酬を受ける活動をおこなっている場合
・在職証明書あるいは営業許可書の写しなど…1通
・住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書…各1通
※ただし1年間の総所得と納税状況が記載されていること
⑵収入を伴う活動以外の活動をおこなっている場合
・預金残高証明書あるいは給付金額と給付期間が明示された奨学金給付の証明書…適宜
・上記に準じる申請人の生活費用が支弁可能なことを証明できる書類…適宜
手続きの注意点
出入国在留管理庁のホームページには上記のような必要書類が明記されていますが、これはあくまでも最小限の書類です。
このため追加資料の提出を求められたり、申請が不許可になる可能性も否定できません。
これは申請人によって結婚にいたった経緯や諸事情がそれぞれ異なるからで、そうした場合には適宜提出書類を追加し、結婚が真実であることを申請人側が立証する必要があります。
また在留資格認定証明書の審査期間はおおむね1カ月~3カ月程度と考えられますが、2月~5月頃の入管の繁忙期には申請期間が長くなる傾向があり、申請内容に不備や不審な点がある場合には審査機関がさらに伸びる可能性可能性もあります。
さらに在留資格認定証明書は発行から3か月以内に入国しない場合には失効してしまうため、申請後のスケジュールには十分注意しなければなりません。
日本国内にいる外国人と永住者が結婚した場合の手続き
すでに日本国内で暮らしており、何らかの中長期ビザを持っている外国人が日本の永住者と結婚をした場合には、それまで所有していた在留資格を永住者の配偶者等ビザに切り替える在留資格変更許可を入国管理局に対し申請する必要があります。
結婚自体は日本の永住者とその配偶者となる外国人のどちらかの国で成立すれば有効となりますが、在留資格を得るためには、戸籍に結婚の事実が記載されることが重要なため、この届出をしなければなりません。
必要書類
配偶者等ビザへの切り替えには次のような書類が必要です。
①在留資格変更許可申請書…1通
②申請人本人のみが撮影された写真(縦4㎝×横3㎝)…1葉
③パスポートと在留カード…提示
④以下の申請人と扶養者との身分関係を証明できる文書…いずれか1通
・戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・結婚証明書の写し
・出生証明書の写し
・適宜上記に準ずる文書
⑤扶養者の在留カードあるいは旅券の写し
⑥扶養者の職業と収入を証明する文書
⑴扶養者が収入をともなう事業を運営、あるいは報酬を受ける活動をおこなっている場合
・在職証明書あるいは営業許可書の写しなど…1通
・住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書…各1通
※ただし1年間の総所得と納税状況が記載されていること
⑵収入を伴う活動以外の活動をおこなっている場合
・預金残高証明書あるいは給付金額と給付期間が明示された奨学金給付の証明書…適宜
・上記に準じる申請人の生活費用が支弁可能なことを証明できる書類…適宜
手続きの注意点
永住者の配偶者等ビザの取得では、結婚が虚偽ではなく、安定した結婚生活を送っていけると判断され、正式な法律婚をすることが大前提となります。
このため日本の法律によって認められていない重婚は対象外となるため注意が必要です。このほか、有罪になっていたり入国経緯や日本での在留状況が悪質であると判断された場合などもビザが取得できない場合があります。
また、日本の民法では女性にのみ再婚禁止期間が規定されていることから、女性は離婚後100日経過しないと結婚ができません(ただし医師の診断書があればその限りではない)。さらに女性配偶者の本国の法律にも再婚禁止期間の規定があれば、その待婚期間が適用されます。
このため、日本国内で暮らしている女性外国人が在留資格を永住者の配偶者等ビザに切り替えるには、再婚禁止期間も確認しておく必要があります。
更新手続き
永住者の配偶者等ビザは在留期限を迎えるまでに在留期間の更新も必要です。更新が許可されるとその期間は6月、1年、3年、5年のいずれかとなります。また更新の審査は前回申請時と生活状況などにに変化のない単純更新のケースと、状況などが異なるケースにわかれます。
このうち単純更新のケースは離婚や再婚が生じておらず、かつ配偶者となる永住者が退職したり収入が減少した、無職になったなどの変化がない場合です。
一方、状況などが異なるケースは離婚後再婚して永住者の配偶者等ビザの更新申請をおこなう場合などで、在留期間が満了する以前でも更新が必要で、在留資格変更許可申請時同様の厳格な審査を受けなければなりません。
必要書類
更新手続きの場合には、次のような書類が必要となります。
①在留資格変更許可申請書…1通
②申請人本人のみが撮影された写真(縦4㎝×横3㎝)…1葉
③国籍を証明する書類(日本国籍を離脱した場合)…1通
④パスポートと在留カード…提示
⑤以下の申請人と扶養者との身分関係を証明できる文書…いずれか1通
・戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・結婚証明書の写し
・出生証明書の写し
・適宜上記に準ずる文書
⑥扶養者の在留カードあるいは旅券の写し
⑦扶養者の職業と収入を証明する文書
⑴扶養者が収入をともなう事業を運営、あるいは報酬を受ける活動をおこなっている場合
・在職証明書あるいは営業許可書の写しなど…1通
・住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書…各1通
※ただし1年間の総所得と納税状況が記載されていること
⑵収入を伴う活動以外の活動をおこなっている場合
・預金残高証明書あるいは給付金額と給付期間が明示された奨学金給付の証明書…適宜
・上記に準じる申請人の生活費用が支弁可能なことを証明できる書類…適宜
さらに以下のようなケースに該当する場合は、上記以外に追加の立証書類として事情説明書・申請理由書も必要となります。
・夫婦同居が困難
・夫婦仲が悪くなったり、DV被害などで別居生活を送っている
・失業などによって著しく世帯収入が減少した
・上記の他、夫婦同居ができなかったり、夫婦生活の安定性や継続性の事情説明が必要な場合
手続きの注意点
更新手続きでは特に状況などが異なるケースで、現在の配偶者との間で結婚に至った経緯や婚姻の安定性や継続性について説明を求められ、より丁寧で整合性のある書類の作成も追加で求められます。この場合、永住者の配偶者等ビザを新規で申請するよりも厳格な審査がおこなわれる可能性が高くなるため注意が必要です。
また永住者の配偶者等ビザへの切り替え時同様、再婚禁止期間の規定も適用されるため、これも認識しておかなくてはなりません。
まとめ
永住者の配偶者等ビザは取得すると就労制限などの活動制限がなく、永住申請の際にも期間要件について優遇措置が設けられていることから偽装申請が多く、それだけに審査も厳しくなりがちです。
このため、各種手続き時にも不安がある場合にはこれを払拭しておかなくてはなりません。
しかしながら、手続きに必要となる書類は複雑なものも多いため、場合によっては行政書士などの専門家の手を借りることも検討しておいたほうがよいでしょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応