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永住者の配偶者等ビザとは?取得の方法や認定のポイントについて

永住者の配偶者等ビザは在留活動における制限や就労制限がなく、自由に活動ができるビザです。しかし、近年は審査の難易度が高いビザでもあります。そこで、ここでは永住者の配偶者等ビザとはどのようなビザなのかをはじめ、申請の流れやそのポイントなどについてみていきます。

永住者の配偶者等ビザとは

「永住者の配偶者等ビザ」は永住者あるいは特別永住者と結婚した外国人や、永住者の子供として日本で出生した人などが、日本で生活することを認められる在留資格です。また、外国人でも夫婦の一方が「永住者」と認められた場合、その配偶者の在留も認可されます。

永住者とは

まず、永住者の配偶者等ビザの取得について、永住者あるいは特別永住者とはそもそもどんなものかをみていきます。

一般永住者

「永住者」の資格を得るためには、原則10年以上は継続的に日本に在留していたことが条件となります。加えて、下記3つの要件も満たす必要があります。

  • ・素行に問題がないこと。
  • ・独立生計を営むのに必要な資産や技能を有していること。
  • ・対象となる者が永住することにより、日本国に対し利益をもたらすことが認められること。

このような永住者のことを「一般永住者」といいます。

特別永住者

「永住者」には、1991年(平成3年)11月1日に執行された「入管特例法(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)」に基づいて定められた在留資格を持つ外国人も含まれます。こうした永住者は「特別永住者」といいます。

 

この特別永住者は、日本国民として第二次世界大戦以前から日本に居住していた外国人で、その後「サンフランシスコ平和条約」により日本国籍を失った人と、その子孫が該当します。ただし、サンフランシスコ平和条約の国籍離脱者は韓国・朝鮮人、台湾人だけであったことから、特別永住者はこの3国の割合が突出しているのが特徴です。

永住者の配偶者等ビザの対象となる者

次に、永住者の配偶者等ビザについて詳しくみていきます。対象者から見ていきましょう。

永住者等の配偶者

配偶者とは、現に婚姻関係中の者のことです。この婚姻は法的に有効なものでなければならず、内縁や同性婚では法的に有効な婚姻とは認められません。また、日本国内において夫婦としての共同生活を営むことが前提となるため、原則として永住者等と同居している必要があります。さらに、永住者等が死亡してしまった場合や、永住者と離婚した場合にも、配偶者等ビザの対象とはなりません。

永住者等の子

永住者等の子として日本で出生した場合、出生後も引き続き日本に在留する場合、その子についても配偶者等ビザの対象になります。ただし、次のいずれかが要件となります。

  • ・出生時に父親あるいは母親が永住者として日本で暮らしていたこと。
  • ・出生以前に父親が死亡したが、その父親の死亡の際に永住者ビザを持っていたこと。

また、ここでいう子は日本で出生していることが前提で、実子であり、嫡出子と認知された非嫡出子に限られます。そのため、養子や母親が外国で出産している場合などは認められません。

永住者の配偶者等ビザにおける活動の内容

冒頭でも触れているように、永住者の配偶者等ビザにおいて認められる活動の内容については特段の制限はありません。学校への通学や就労はどのような場所でも自由で、会社経営も可能です。

 

ただし、結婚によって永住者あるいは特別永住者の配偶者となり、「永住者の配偶者等ビザ」を取得した場合、永住者あるいは特別永住者と離婚または死別すると、ビザの更新はできなくなります。

在留期間

永住者の配偶者等ビザでの在留期間については、5年、3年、1年、6ヶ月の期間があり、更新も必要です。また、5年と6ヶ月の在留期間については、2012年7月の法改正で、新たに規定されました。

 

このように複数の期間があるのは、認定申請時や変更・更新申請時にそれぞれ記入する申請書の、「滞在予定期間」や、「希望する在留期間」、さらに配偶者の場合には配偶者との婚姻期間や安定性などが勘案され、出入国在留管理局により総合的な審査のもと判断されるからです。

 

ただし、必ずしも希望する在留期間が認められるわけではありません。特に最長となる5年の場合、配偶者が日本で継続的に長期間、安定した婚姻を続けていることで許可が降りる傾向にあります。

 

また、ビザの更新時の状況によっても、審査の難易度も異なってきます。

単純更新の場合

単純更新の場合には、更新申請の審査は比較的容易です。これは前回申請時と生活状況などに変化がなく、離婚や再婚をしていない場合で、審査期間は通常2週間から1ヶ月程度となります。また、更新における申請は、在留期間満了日の3ヶ月前から可能となります。

 

ただし、在留期間3年の更新許可については、永住権の申請をする場合には要件の1つとなることから、在留実績を積み重ねるのに重要です。

事情説明書や申請理由書などが必要となる場合

事情説明書や申請理由書などが必要となる場合には、厳格な審査がおこなわれます。これは、離婚後再婚して配偶者ビザの更新申請をおこなう場合などで、新規の配偶者ビザ申請と同様に審査は厳しくなります。

 

そのほか、離婚裁判中や世帯収入が大きく減少した場合、夫婦の同居や生活の安定性、継続性などにおいても、別に事情説明が必要になることもあります。

必要書類

永住者の配偶者等ビザの申請の際に必要となる書類については、永住者の配偶者と永住者の子とでそれぞれ異なります。許可あるいは不許可の判断が困難な場合には、以下の書類以外にも、追加書類の提出を求められることがあります。

永住者の配偶者

①在留資格認定証明書交付申請書

永住者の配偶者等ビザの申請にあたって基本事項を記入する書類です。

 

②写真一葉

永住者の配偶者等ビザ申請前の3ヶ月以内に正面から撮影されたもの。無帽、無背景で鮮明でなければなりません。サイズは縦4㎝×横3㎝となります。

 

③簡易書留用返信用封筒

審査結果は郵送で通知されるため必要となります。404円分の切手を貼付します。

 

④婚姻証明書

申請人の配偶者である永住者と申請人の自国の機関で発行されたものが必要です。

 

⑤婚姻届出受理証明書

婚姻届を日本の役所に提出している場合には必要となります。

 

⑥配偶者となる永住者の住民税課税証明書あるいは非課税証明書、または納税証明書

1年間の総所得と納税状況が記載され、かつ配偶者となる永住者が申請人からの扶養を受けているといった場合は、申請人のものが必要です。

 

⑦身元保証書

提出前には押印が必要となります。また原則として身元保証人は日本に居住する配偶者となる永住者です。

 

⑧配偶者となる永住者の住民票

世帯全員の記載があるものでなければなりません。

 

⑨質問書

入国管理局の指定した用紙へ記入します。

 

⑩スナップ写真

配偶者となる永住者とふたりで撮影したものや結婚式や双方との親族の食事会などで撮影したものを3枚以上用意します。

永住者の子

①在留資格認定証明書交付申請書

永住者の配偶者等ビザの申請にあたって基本事項を記入する書類です。

 

②写真一葉

永住者の配偶者等ビザ申請以前、3ヶ月以内に撮影されたもの。正面から無帽、無背景でかつ鮮明でなければなりません。サイズは縦4㎝×横3㎝となります。

 

③簡易書留用の返信用封筒

審査結果は郵送で通知されるため必要となります。392円分の切手を貼付します。

 

④出生届出受理証明書

出生届が受理されていることを証明するものです。

 

⑥親となる永住者の住民税課税証明書あるいは非課税証明書、または納税証明書

1年間の総所得と納税状況が記載されているものが必要です。

 

⑦身元保証書

提出前には押印が必要となります。また原則身元保証人となる者は日本に居住する親である永住者です。

 

⑧親となる永住者の住民票

世帯全員について記載が必要です。

永住者の配偶者等ビザ申請の流れ

上記のような書類を入国管理局に提出すると、永住者の配偶者等ビザ交付の手続きは以下のような手順でおこなわれます。

審査

審査は申請の段階で申請者を4種類に分類し、進められます。

  • ・許可に相当
  • ・慎重な審査が必要
  • ・不許可に相当
  • ・追加資料が必要
結果の通知

申請者が日本国内に滞在している場合には、審査終了後審査結果が通知されます。期間は3週間~2ヵ月程度で、許可が下りれば入国管理局で永住者の配偶者等ビザを受け取れます。

 

不許可の場合にはその理由を聞くことができ、再申請をおこなうことも可能です。

ただし、許可が下りる可能性は低いといえます。

入国手続き

申請者が海外に在住しているのであれば、申請者については入国手続きも必要です。その場合、申請者に対して永住者の配偶者等ビザを送る必要があります。そのうえで申請者は入国審査を受けて、入国します。

永住者の配偶者等ビザが認定されるためには

永住者の配偶者等ビザが認定されるためには、取得要件を満たしている必要があります。また、スムーズな認定のためには、申請の際のポイントや注意点も押さえておかなければなりません。

永住者の配偶者等ビザの取得要件

永住者の配偶者等ビザは取得要件についても、永住者の配偶者と子とで異なります。

永住者の配偶者の場合

永住者の配偶者の場合、前提として実際に婚姻関係にあることが必要で、同居など、その実態があるのかも要件に含まれます。婚約や事実婚では要件を満たしていることにはならず、永住者の配偶者等ビザの取得は認められません。

 

また、配偶者となる永住者については、生計が立てられることも要件となります。一方で、諸般の事情により申請人本人が扶養者となることもあります。その場合には、夫婦として収入や貯蓄などを勘案し、家族として生計が立てられるかが重要です。

永住者の子の場合

永住者の配偶者の子については、永住者の子として日本で出生していることのほか、出生後も継続して日本に在留していることが要件です。そのため、

 

・日本国外で出生した後に来日

・日本で出生していても、その後海外に長く滞在

・日本で出生はしているものの、その時点で両親が永住者でない

 

これらの場合は「定住ビザ」に該当し、永住者の配偶者等ビザの要件には当てはまりません。

 

また、永住者の子として日本で出生していても、出生から30日を経過すると申請ができなくなるので注意が必要です。

そのほか、永住者の子が未成年の場合は扶養者により扶養を受けて生活することができなくてはなりません。

永住者の配偶者等ビザ申請の際の注意点

永住者の配偶者等ビザ申請において永住者の配偶者の場合、「活動の真実性」が厳密にチェックされます。永住者の配偶者等ビザの申請において、過去に不正にビザを取得するケースが相次いだことから、厳しくなりました。そのため、婚姻の信憑性が疑われやすい次のようなケースでは特に注意が必要です。

 

婚姻関係のほか、納税義務を果たしていないケースや、素行面でも問題があると、さらに審査はより厳しくなります。

夫婦間で年齢差がある

永住者の配偶者等ビザ申請する申請者と、配偶者となる永住者または特別永住者の年齢差が大きい場合には、結婚の信憑性が疑われることがあります。中でも、年齢差が15歳以上になると疑われやすく、20歳以上離れている場合は審査が非常に厳しくなると考えておきましょう。

 

あわせて、結婚に至るまでの交際期間が3ヶ月未満など、一般的に短い場合なども、婚姻の信憑性を疑われやすくなります。

 

このような場合、結婚に至る経緯が真摯な愛情に基づくものであることを立証しなければなりません。

立証方法は、知り合った経緯や交際のきっかけ、交際の様子や結婚に至るまでの経緯や理由を提出書類のひとつである質問書に詳しく記入し、さらに現在の生活状況や今後の家族計画、当事者同士にしか知りえないエピソードなども盛り込むといったものがあります。

可能であれば、これらを客観的に証明できる、写真やメール、電話通話記録や渡航記録などもあわせて提出するとよいでしょう。

恋人紹介所や結婚紹介所などを介して交際をはじめている

恋人紹介所や結婚紹介所などを介している場合には、過去に偽装結婚が多発したケースの典型であることから審査が厳しくなります。たとえ永住者または特別永住者が、申請者の本国を複数回訪れたことがあったとしても、信憑性が疑われることがあります。そこで、ビザの申請時には夫婦間で年齢差がある場合と同様の立証が必要となります。

永住者または特別永住者、あるいは申請者に離婚歴が多い

永住者または特別永住者、あるいは申請者のどちらかに離婚歴が多い場合も注意が必要です。中でも、3回以上離婚を繰り返していたり、婚姻期間が短いと偽装結婚を疑われやすくなります。

飲食店で知り合った

外国人パブやスナックなどの飲食店で申請人と知り合い、特に興行ビザから永住者の配偶者等ビザに切り替える場合に注意が必要となるケースです。過去に、外国人材の斡旋業者などが虚偽の履歴を申請していたこともあり、審査の際には問題になりやすいです。

また、このような飲食店で知り合っている事実により、審査そのものが不利になります。

婚姻の後も風俗関連の業種で就労する予定がある

永住者の配偶者等ビザには、入管法上の活動範囲の制限は設けられていませんが、申請書類の中に「入国後の職場について」の記載欄が設けられています。その欄に、婚姻後も風俗関連の業種で就労する旨を記載するとなると、婚姻の信憑性が疑われやすくなります。そのため、婚姻の後の就労は風俗関連の業種を避けたほうが無難です。

住居が狭い

永住者の配偶者等ビザ申請する申請者と、配偶者となる永住者または特別永住者が同居する住居がワンルームや1Kなど、2人で暮らすには一般的に考えて狭い場合にも、同居の事実が疑われる可能性があります。さらに、子がいる場合には、より疑念を抱かれやすくなります。

永住者の配偶者等ビザ申請では経済的な基盤を整えておくこともポイント

永住者の配偶者等ビザの審査基準はさまざまありますが、生活が可能な生計能力がポイントのひとつです。そのため、入国管理局が日本で生活できることを客観的に評価できるだけの収入を確保しておくことが審査を通過するうえで重要です。

 

目安として、夫婦2人の場合には、永住者または特別永住者に最低でも300万円程度の収入があることが理想です。1カ月あたり永住者または特別永住者の月収が20万円程度となり、配偶者である申請人の1年間の生活費およそ80万円となります。

 

子がいる場合にも、プラス80万円程度が確保できることになります。この80万円の根拠としては、生活に必要な最低限の金額とされる、国民年金の支給額に基づきます。

まとめ

永住者の配偶者等ビザは、家族であれば簡単に取得できるといったような容易なビザではありません。配偶者の場合、単に結婚しているだけでは要件としては満たされず、子についても出生地や法的な解釈が必要です。

 

永住者の配偶者等ビザの申請においては、要件を満たしたうえで、取得に不利となる要素を排除し、経済的な基盤も整え、入念な準備をおこなっておくことが重要になります。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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