外国人留学生が学校を卒業後に特定活動になるには|申請方法や注意点
現在、日本に留学している外国人の方の中には、卒業後の進路で悩まれている方も多いのではないでしょうか?例えば、日本で就職や就職活動をしたり、大学院などに進学したりと、選択肢はさまざまです。
留学生の中には、卒業後も日本で引き続き就職活動をする予定の方も多いでしょう。留学生が卒業後も日本で継続して就職活動をするには、在留資格を「特定活動」に変更しなければいけません。そこで、この記事では、在留資格「特定活動」の申請方法や注意点について解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
外国人留学生の卒業後の在留資格について
卒業後の進路によって、必要な在留資格は異なります。ここでは、進路ごとに対応した在留資格について見ていきましょう。
前提は「帰国する」
学校を卒業した後は、原則として帰国しなければいけません。外国人の方は、在留資格に対応する活動が前提条件としてあるため、卒業後は「留学」の在留資格の要件を満たしていないと判断されます。出国準備をする余裕があるだけの在留期間の有効期限が残っている場合は、在留資格変更や更新などの手続きは不要ですが、速やかに帰国してください。
手続きをせずに3カ月以上滞在してしまうと、在留資格が取り消されます。加えて、不法滞在の罪に問われ、強制退去処分になる可能性もあるので注意が必要です。卒業後も引き続き日本に滞在する場合は、必ず在留資格の変更手続きをしましょう。
帰国しない場合はビザを変更する必要がある
帰国しない場合は、以下の4つの進路があります。
1. 進学
2. 観光
3. 就職
4. 就職活動
日本で進学先が決まっている場合は「留学生ビザ」のまま
進学先が決まっている場合は、在留資格「留学」のまま日本に滞在できます。進学後に在留期間の有効期限が過ぎる方は、期間更新の手続きをしてください。
卒業後・新しい学校へ入学後など、変更があった日から14日以内に出入国在留管理局で所属機関に関する届出をしなければいけません。各学校の留学生窓口の指導に従って、忘れずに手続きをしましょう。
日本で観光する場合は「短期滞在ビザ」へ変更
観光してから帰国する場合は、在留資格「短期滞在」に変更します。例えば、卒業後に在留期間の有効期限が1カ月程度残っていて、出国準備の合間に1〜2週間程度の観光の予定を組み込むのであれば変更の必要はありません。
しかし、観光目的による「留学」から「短期滞在」への変更は厳しいとされています。原則として、卒業後は速やかに帰国しなければいけないからです。
日本で就職する場合は「就労ビザ」へ変更
就職する場合は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザに変更します。就職先の企業が手続きのサポートをしてくれることが多いので、企業の指示に従って準備をしてください。
日本では、一般的に3月に卒業して4月に入社するケースが多いです。在学中から準備を始め、入社日までに就労ビザが間に合うよう、スケジュールにゆとりをもって手続きをしましょう。
日本で就職活動を続ける場合は「特定活動ビザ」へ変更
就職活動を続ける場合は、在留資格「特定活動」に変更します。在留期間は6カ月で、1回の更新が可能なため、合わせて最大1年間は日本に滞在できます。資格外活動許可を得れば、週28時間までのアルバイトも可能です。
対象となる留学生は、以下のとおりです。
1. 継続就職活動大学生
日本の大学を卒業した留学生で、卒業前から就職活動を行っており、卒業後も引き続き日本で就職活動を希望する者
2. 継続就職活動専門学校生
専修学校専門課程を卒業し専門士の称号を取得した留学生で、卒業前から就職活動を行っており、卒業後も引き続き日本で就職活動を希望する者
加えて、専門課程における修得内容が「技術・人文知識・国際業務」など、就労に関する在留資格に該当する活動と関連性があると認められる者
3. 継続就職活動日本語教育機関留学生(海外大学卒業者のみ)
海外の大学または大学院を卒業後、日本の日本語教育機関を卒業した留学生で、卒業前から就職活動を行っており、卒業後も引き続き日本で就職活動を希望する者
条件や申請方法については、次項で詳しく解説します。
特定活動ビザへ変更する方法
ここでは、特定活動ビザへ変更する方法について見ていきましょう。
特定活動ビザへの変更できる条件
変更するには、以下の条件を満たしていなければいけません。
• 留学ビザを取得して在留していること
• 学校を卒業していること
• 卒業前から継続して就職活動をしていること
• 卒業した学校からの推薦があること
• 学んだ専攻内容と就職先の業務内容に関連性があること
• 就職活動中の生活費が確保されていること
• 資格外活動許可の規定を守っていること
特定活動ビザの申請方法
特定活動ビザを取得するには、在留資格を「留学」から「特定活動」に変更しなければいけません。以下に簡単な流れをまとめていますので、参考にしてください。
1. 在留資格変更許可申請の準備
申請に必要な書類を集めます。詳しくは後述します。
2. 出入国在留管理局にて在留資格変更許可申請手続き
お住まいの地域を管轄している地方出入国在留管理局に申請書類を提出します。
受付時間は、平日午前9時から12時・午後1時から4時までです。
3. 審査
4. 結果の通知
申請時に提出した封筒、またはハガキで結果が通知されます。
5. 在留資格「特定活動」の取得
地方出入国在留管理局にて、収入印紙で手数料(4,000円)を納付し、受領サインをします。パスポートに指定書という紙が貼られ、変更許可申請は完了です。
就職活動と並行してアルバイトをする場合は、必ず資格外活動許可申請の手続きをしてください。手続きをすれば、週28時間までのアルバイトが許可されます。
無事に就職先が決まり就職活動を終える場合は、「特定活動」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労を目的としたビザに変更してください。
申請書類
申請書類は、対象となる留学生によって異なります。以下は、すべての留学生に共通する書類です。
• 在留資格変更許可申請書 1通
• 写真 1葉
規格を満たした写真を、申請書に添付します。
• パスポートおよび在留カード
申請の際に提示します。
• 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証明する文書 適宜
• 継続的に就職活動をしていることを証明する資料 適宜
継続就職活動大学生
• 直前まで在籍していた大学の卒業証書の写し、または卒業証明書 1通
• 直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状 1通
継続就職活動専門学校生
• 直前まで在籍していた専修学校の発行する専門士の称号を有している証明書 1通
• 直前まで在籍していた専修学校の卒業証書の写し、または卒業証明書および成績証明書 1通
• 直前まで在籍していた専修学校による継続就職活動についての推薦状 1通
• 専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料 1通
継続就職活動日本語教育機関留学生(海外大学卒業者のみ)
• 直前まで在籍していた日本語教育機関の卒業(または修了)証書の写し、または卒業(または修了)証明書 1通
• 直前まで在籍していた日本語教育機関が発行する出席状況の証明書 1通
• 海外の大学または大学院を卒業し、学士以上の学位を取得していることを証明する文書 1通
卒業証書の写し、もしくは卒業証明書を用意してください。
• 直前まで在籍していた日本語教育機関による継続就職活動についての推薦状 1通
• 直前まで在籍していた日本語教育機関と定期的に面談を行い、就職活動に関する情報提供を受ける旨の確認書 1通
• 直前まで在籍していた日本語教育機関が一定の要件を満たしていることが確認できる資料 1通
申請にかかる日数
審査にかかる日数は、通常2週間〜1カ月です。法務省が公表しているデータによると、「特定活動」への資格変更にかかる審査日数は、令和4年7月〜9月で34. 8日間でした。
申請の注意点
特に注意するポイントは、以下の2つです。
1. 在学中から継続して就職活動をしている
在学中から継続して就職活動をしているのが前提条件です。例えば、在学中は就職活動をしないで卒業してからスタートさせるケースは、対象外のため申請は認められません。
2. 学校からの推薦状
申請には、学校からの推薦状が必要です。例えば、在学中の成績や出席率が悪いと推薦状がもらえない可能性もあります。日頃からの生活態度も含め、真面目に学校生活を送るようにしましょう。
推薦状に関しては、学校によって対応が異なります。各学校の留学生窓口、または学生課・就職課などに確認してください。
まとめ
この記事では、在留資格「特定活動」の申請方法や注意点について解説しました。
留学生が日本で卒業後も継続して就職活動をするには、在留資格を「留学」から「特定活動」に変更しなければなりません。変更をせずに日本に滞在し続けてしまうと、在留資格が取り消されるだけではなく、強制退去処分になる可能性もあるので注意しましょう。
申請には、推薦状など学校側が用意する書類も必要です。在籍している学校と連携をとり、スケジュールにゆとりをもって準備をしてください。申請に関して不安な点がある方やスムーズに準備をしたい方は、行政書士などの専門家に依頼すると安心です。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応