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ウクライナ難民の「就労支援」までの流れと「特定活動」について詳しく解説

ロシアのウクライナ侵攻により、多くのウクライナ人の方が他国への避難を余儀なくされています。日本もそのようなウクライナ難民の方々を多く受け入れています。

 

しかし、長引く戦闘はウクライナの方々が自国へ戻ることを非常に困難にしています。

 

そのため、ウクライナ難民の方は日本での生活の基盤を作る必要に迫られている状況です。

 

そのようなウクライナ難民の方の就労支援をしようとした場合、就労可能な在留資格である「特定活動(1年)」の在留資格に在留資格を変更することが必要となってきます。

 

この記事では、ウクライナ難民の方に対する就労支援までの流れを、「特定活動(1年)」の申請方法について詳しく解説しながら説明します。

ウクライナ難民の方は、日本で就労できる?

多くのウクライナ難民の方は、日本へ来る際に「短期滞在」の在留資格をもって来日しています。

 

「短期滞在」の在留資格は最長でも90日ですが、ウクライナ情勢をみるとその期間内に日本からウクライナに戻ることは不可能に近いといえます。

 

日本での在留中の活動について、他の在留資格にあてはまる就労や就学等ができる方々は、そちらの在留資格に在留資格変更を行うことができます。

 

留学等であれば、いろいろな形が可能かもしれませんが、就労については学歴・実務経験・言語の部分でかなり難易度が高く、技人国などの在留資格への変更は難しいのが現状です。

 

そのため、出入国在留管理庁では、避難を目的で「短期滞在」の在留資格で日本に入国したウクライナ難民の方で、在留資格にあたる活動に該当せず、在留資格を変更することができない方が継続して日本に滞在を希望する場合、就労可能な「特定活動(1年)」へ変更許可申請を受け付けることにしています。

 

つまり、「短期滞在」で日本に滞在しているウクライナ難民の方は、「特定活動(1年)」へ在留資格変更許可申請を行い、認められれば、就労することができるのです。

就労支援の対象者

ウクライナ難民への支援は、出入国在留管理庁を中心に相談窓口の設置にはじまるさまざまな情報提供が現在なされており、就労支援はハローワークによって行われています。

 

対象者は「ウクライナ難民で日本滞在を続けることを希望する方」が対象です。

 

日本政府が認めたウクライナ難民の方へは、出入国在留管理庁から「ウクライナ避難民であることの証明書 "Посвідчення переміщеної особи з України"」が郵送で届けられています。

 

この証明書は、地方公共団体等で手続きを行う際や、金融機関で口座を作る際に、在留カード等の本人確認書類とともに担当者へ提示することを想定されたものです。

 

在留カードには、ウクライナ難民であることは記載されていないため、このカードの提示が就労支援対象であることの証明でもあるといえます。

就労支援までの流れ

ウクライナ難民の方は、「短期滞在」資格で日本に入国しています。

 

そのため、今後も滞在を希望するとして、在留資格を「短期滞在」から「特定活動(1年)」へと在留資格変更許可申請を行う必要があります。

 

ウクライナ難民の方でも理解していただけるように、出入国在留管理庁のHPには、ウクライナ語で申請手続きについて説明書きや、様式が用意されています。

 

在留資格が「特定活動(1年)」に変更されれば、日本での就労が可能になります。

 

就労支援は、ハローワークで行われているため、もよりのハローワークへ行き、仕事についての相談を行います。

 

近くのハローワークがわからない方は、英語での相談窓口である「0800-919-2901」へ電話をかけて相談するとよいでしょう。

 

ウクライナ難民の方に対して、出入国在留管理庁は、2022年6月1日から「ウクライナ避難民ヘルプデスク」を設置し、電話とメールでウクライナ難民の方の相談受付をしています。

 

在留資格変更届や、就労、そのほか生活についてわからないことや、相談があれば、「ウクライナ避難民ヘルプデスク」へ相談するようにしましょう。

在留資格「特定活動(1年)」で認められる活動内容

ウクライナ難民で「短期滞在」から「特定活動(1年)」へ在留資格変更を行った場合、「特定活動(1年)」の在留資格では、就労が認められます。

 

そもそも、在留資格「特定活動」とは、他の在留資格にあてはまらない活動に対しての在留資格です。

 

告示で決められた以外にも、法務大臣が個々の外国人に特に定める活動で「特定活動」の在留資格が認められる場合もあります。

 

ウクライナ難民が「短期滞在」から変更許可申請を行って認められる「特定活動( 1年)」も告示外の在留資格です。

 

ウクライナ難民のための在留資格「特定活動(1年)」について、出入国在留管理庁では就労可能以外に特に規定がないため、ウクライナ難民であって、日本に滞在希望であれば、就労も含めて制限される活動は特にありません。

 

ただし、他の在留資格に該当する活動については、活動そのものを行うことができないため、注意が必要です。

「短期滞在」から在留資格「特定活動(1年)」に変更申請の流れ

ウクライナから日本に「短期滞在」ビザで入国したウクライナ難民の方で、継続して日本で滞在を望む場合は、「短期滞在」ビザの期限が切れる前に、「特定活動(1年)」へ在留資格変更許可申請を行います。

 

在留資格変更許可申請には、身元保証書が必要です。

 

来日した際に身内を頼って来た場合は、その方へ相談してみましょう。

 

身内を頼ってきたのではなく、引き受け機関がある場合は、その引き受け機関に相談すれば、身元保証書について便宜を図ってもらえるでしょう。

 

もし身元保証人が見つからない場合は、「ウクライナ難民ヘルプデスク」に相談することをおすすめします。

 

在留資格変更許可申請に必要な書類は、出入国在留管理庁のHPからダウンロードします。

ウクライナ語、ロシア語での記載や、英語、やさしい日本語の記載もありますので、読みやすい書式をダウンロードします。

 

その後、必要書類を整え、もよりの地方出入国在留管理官署にて申請を行います。

 

在留資格変更許可が認められれば、「特定活動(1年)」の在留資格での滞在になり、在留カードが交付され、就労も可能になります。

在留資格「特定活動(1年)」の変更許可申請に必要な書類

在留資格「特定活動(1年)」の変更許可申請に必要な書類は以下のとおりです。

在留資格変更許可申請書
※16歳以上は顔写真も必要

1通

パスポートの写しやパスポートの出入国印など、本措置の対象者であることが分かる資料

適宜

理由書

1通

身元保証書

1通

在留資格「特定活動(1年)」の注意点

在留資格「特定活動(1年)」は、1年間の特定活動が認められる在留資格です。

 

ウクライナにおける情勢が改善されず、1年を超えて日本に滞在を希望する場合、在留期間更新許可申請が必要です。

 

期日を超えてしまい、更新手続きをせずに日本に滞在している場合は、不法滞在にあたってしまいますので、必ず更新許可申請を行うようにしましょう。

受け入れ企業が就労支援するには?

ウクライナ難民の受け入れを考える企業は、まず出入国在留管理庁へ情報提供を行います。

 

出入国在留管理庁は、把握した内容をもとに、個別に必要な情報の提供を行います。

 

就労支援を考える場合は、メールで申出書を提出します。

● 提出するもの : 【就労支援用】ウクライナ避難民への支援申出様式
● 提出先 : zairyushien02@i.moj.go.jp

 

ウクライナ難民の方が日本での生活を円滑に行えるように、生活全般についての支援も必要になります。

 

受け入れ企業や団体についての申し出窓口については、出入国在留管理庁のHPに支援内容によって設けられた窓口の記載があります。

 

また、ウクライナ難民の方の支援を希望する企業等の窓口についても、出入国在留管理庁のHPにそれぞれ窓口の記載があります。

 

ウクライナ難民の就労支援は、ハローワークが中心に行われています。

 

ハローワーク等の紹介により、ウクライナ避難民を継続雇用または試行雇用する事業主に対しては、特定求職者雇用開発助成金またはトライアル雇用助成金が支給されます。

 

ウクライナ難民の方を採用して受け入れる場合は、そのような助成金も積極的に活用して、ウクライナ難民の方が働きやすい環境をつくるようにしましょう。

受け入れ企業の注意点

ウクライナ難民の方々は、多くが予想もしない状況下でやむを得ず日本への滞在を選択し、来日されています。

 

そのため、日本において生活をしていくための知識や情報が少ない方が多いのではないでしょうか。

 

多くの方はウクライナで就労をしていたものと同じ職種につきたいと希望します。

 

しかし、日本語や日本についての知識が不十分であるために、なかなか望み通りに就労ができないケースが多くみられています。

 

ウクライナ難民の方を受け入れする企業は、まず言語も含めての日本での生活全般の支援が必要です。

 

そのうえで、個々に合った今できる仕事についてじっくりと話し合い、納得いく形での就労へ向けて支援すべきといえるのではないでしょうか。

まとめ

「短期滞在」のビザで日本に避難してきたウクライナ難民の方が、他の在留資格の活動が該当せず、ひきつづき日本での滞在を希望する場合には、就労可能な「特定活動(1年)」の在留資格へ、在留資格変更許可申請を行えます。

 

「特定活動(1年)」の在留資格では、就労が認められており、制限されている活動は特にありません。

 

また、今後もウクライナ情勢が危険である限り、在留期間を延長することも可能になっています。

 

ウクライナ難民の方が、日本での生活に慣れ、自分の力で生活していくことができるようになるためには、就労も含めてさまざまな支援が行われています。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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