子供は定住者ビザを取得できる?わかりやすく解説
定住者ビザで日本に滞在しているときに、子供が生まれたらビザは何を申請すれば良いか悩むのではないでしょうか。
本国にいる子供を呼び寄せたい場合にも、同じようにどのビザを取得すればよいのか、悩む場合が多いでしょう。
この記事では、子供でも定住者ビザを取得することができるのかを、定住者ビザの取得条件や必要書類について説明しながら解説します。
子供は「定住者ビザ」の対象になる?
子供であっても条件さえ満たしていれば、「定住者ビザ」の対象になります。
定住者とは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める在留資格です。
細かい規定はありますが、日本に在住しているものの、日本人の配偶者等他の在留資格にあてはまらないケースについて、認められる在留資格です。
例えば、日系3世や、難民の方などが定住者に当てはまります。
子供が定住者ビザの対象となるのは、「日本人の配偶者等」に当てはまらない子供です。
実子であれば、「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「特別永住者」のいずれかの扶養を受けて生活する、未成年で未婚の実子である場合が対象となります。
日本人と結婚したが、連れ子がいる場合は、その子供の在留資格は定住者を申請することになり、このケースに当てはまります。
実子でなく養子であっても、定住者ビザの対象になります。
その場合は、「日本人」、「永住者」、「定住者」又は「特別永住者」のいずれかの扶養を受けて生活する、6歳未満の養子であることが条件となります。
そのほかの場合は、「日本人の配偶者等」の在留資格などの対象となりますので、定住者ビザの対象にはなりません。
子供の「定住者ビザ」の取得要件
子供の「定住者ビザ」の取得要件は以下のとおりです。
「日本人の配偶者等」やそのほかの在留資格に当てはまる場合は、「定住者ビザ」の対象になりませんので、注意が必要です。
実子の場合
以下の在留資格をもって日本に滞在する方が扶養する、未成年で未婚の実子は、「定住者ビザ」の対象です。
• 日本人
• 永住者
• 特別永住者
• 定住者(在留期間が1年以上であることが必須)
• 日本人の配偶者等(配偶者であることが必要)
• 永住者の配偶者等(配偶者である
養子の場合
以下の在留資格をもって日本に滞在している方が扶養する、6歳未満の養子は、「定住者ビザ」の対象です。
• 日本人
• 永住者
• 定住者(在留期間が1年以上であることが必須)
• 特別永住者
連れ子の場合
以下の在留資格を持つ方が、あらたに結婚をしたときに連れてきた子供は、「定住者ビザ」の対象です。
• 帰化日本人
• 永住者
• 定住者
• 特別永住者
「日本の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ方があらたに以下の国籍や在留資格を持つ方と結婚をした場合、連れ子は「定住者ビザ」の対象です。
• 日本国籍
• 永住者
• 特別永住者
• 定住者
その他
要件として記載がない場合でも、人道的に必要であると判断された場合は、「定住者ビザ」の対象になる場合があります。
例えば、特別養子縁組による養子として日本人と親子関係になった後、離縁されてしまうと、「日本人の配偶者等」の在留資格を失ってしまいます。
しかし、日本を基盤として生活をしてきているため、日本に在留することを望む場合が多く、「定住者ビザ」が認められる事があります。
このように、「定住者ビザ」は、そのほかの在留資格では当てはまらないが、特別な事情を考慮して、一定期間の在留を認める在留資格となっています。
子供が他の在留資格に当てはまらない場合には、「定住者ビザ」の取得を考えましょう。
子供の「定住者ビザ」取得までの流れ
子供が外国に居住しており、日本に呼びよせるために「定住者ビザ」を取得する場合の流れは以下のとおりです。
1. 在留資格認定証明書交付申請
2. 在留資格認定証明書を子供の居住地へ送付
3. 子供が居住している国の日本大使館もしくは日本領事館にて、「定住者ビザ」の申請
4. 「定住者ビザ」交付
5. 来日
在留資格認定証明書交付申請は、地方出入国在留管理局にて行います。
子供は外国にいるので、日本で代理人が申請することになります。
「定住者ビザ」が交付されれば、有効なパスポートと、在留資格認定証明書を持って来日します。
在留資格は既に認められているため、よほどの問題がない限り、上陸が許可されます。
既に日本にて別の在留資格で滞在していたものの、なんらかの理由でその在留資格を失い、「定住者ビザ」を申請する場合は、地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行います。
「定住者ビザ」を取得したが、在留期間を超えて滞在する場合は、地方出入国在留管理局に在留期間更新許可申請を行います。
日本で子供が生まれた場合であっても、外国籍であれば在留資格が必要となります。
出生の場合は、地方出入国在留管理局に在留資格取得許可申請を行います。
子供の「定住者ビザ」の必要書類
子供の「定住者ビザ」の取得に必要な書類は以下のとおりです。
申請書
それぞれの申請で必要な書類は以下のとおりです。
どの要件でも共通の様式を使用します。
在留資格認定証明書交付申請
在留資格認定証明書交付申請書 |
1通 |
写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出) |
1葉 |
返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) |
1通 |
在留期間更新許可申請
在留資格変更許可申請書 |
1通 |
写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出) |
1葉 |
※申請には、パスポートと在留カードの提示が必要
在留期間更新許可申請
在留期間更新許可申請書 |
1通 |
写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出) |
1葉 |
※申請には、パスポートと在留カードの提示が必要
在留資格取得許可申請
在留資格取得許可申請書 |
1通 |
写真(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出) |
1葉 |
※日本の国籍を離脱したものは「国籍を証する書類」、出生したものは「出生を証する書類」、そのほかの場合は「在留資格の取得」が必要であることを証する書類が必要。
※申請時にパスポートの提示が必要
市区町村の役所(役場)から発行してもらうもの
申請内容にかかわらず、市区町村の役所(役場)から発行してもらう書類は以下のとおりです。
全て共通
扶養者の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) |
各1通 |
扶養者の住民票(世帯全員の記載があるもの) 1通 |
1通 |
実子の場合
扶養者が日本人の配偶者 |
日本人の方の戸籍謄本(全部事項証明書) |
1通 |
扶養者が「永住者」、「定住者」又は「特別永住者」 |
申請人の出生届出受理証明書 1通 |
1通 |
養子の場合
扶養者が日本人の配偶者 |
日本人の方の戸籍謄本(全部事項証明書) |
1通 |
扶養者が「永住者」、「定住者」又は「特別永住者」 |
申請人の養子縁組届出受理証明書 |
1通 |
職業・収入を証明するもの
要件にかかわらず、扶養者の職業や収入を証明するために必要な書類は以下のとおりです。
扶養者が会社に勤務している場合 |
扶養者の在職証明書 |
1通 |
扶養者が自営業等の場合 |
扶養者の確定申告書の控えの写し |
それぞれ1通 |
扶養者が無職である場合 |
預貯金通帳の写し |
適宜 |
その他必要な書類
申請内容にかかわらず、その他必要な書類は以下のとおりです。
実子の場合
身元保証書 |
1通 |
理由書(扶養を受けなければならないことを説明したもの、適宜の様式) |
1通 |
申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書 |
1通 |
申請人の本国(外国)の機関から発行された認知に係る証明書(認知に係る証明書がある方のみ提出して下さい。) |
1通 |
※以下は申請人が「定住者」の方の扶養を受ける日系人である場合のみ必要
申請人の犯罪経歴証明書(本国の機関から発行されたもの) |
1通 |
祖父母及び父母が実在していたことを証明する公的な資料 適宜(例:祖父母及び父母の旅券、死亡証明書、運転免許証等) |
1通 |
申請人が本人であることを証明する公的な資料(例:身分証明書(IDカード)、運転免許証、軍役証明書、選挙人手帳等) |
適宜 |
養子の場合
身元保証書 |
1通 |
申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書 |
1通 |
※「永住者」、「定住者」又は「特別永住者」が扶養する場合には、上記の他に以下の書類も必要
理由書(扶養を受けなければならないことを説明したもの、適宜の様式) |
1通 |
申請人と養子縁組が成立していることを証明する本国(外国)の機関から発行された証明書 |
1通 |
子供の「定住者ビザ」の審査期間
出入国在留管理庁によると、在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月です。
書類不備などがあれば、より時間がかかることになります。
「定住者」の在留資格では、審査の処理期間として、令和4年度4月から6月処理分で平均55日と公表されています。
しかし、あくまでも平均値であるため、これよりも審査に時間がかかる場合があると考え、ゆとりをもって申請することをおすすめします。
(参照:出入国在留管理庁「在留審査処理期間」 令和4年度第1四半期)
「定住者ビザ」の取得には、在留資格認定証明書の交付にあわせて、本国にて「定住者ビザ」の交付が必要です。
「定住者ビザ」の申請から交付までに、国によっても違いますが、数週間かかります。
そのため、子供の「定住者ビザ」を取得するためには、2か月から4か月以上はかかると考えた方が良いでしょう。
子供の「定住者ビザ」を取得する場合の注意点
子供の「定住者ビザ」は、定住者の在留資格にあたる要件があてはまる場合は別ですが、扶養されている未婚で未成年(養子の場合は6歳未満)の子であることが必要です。
また、長らく子供と離れて暮らしている場合は、離れて暮らしている経緯など、理由を明確に説明できなければなりません。
在留資格認定証明書交付申請の際に、親子関係の部分で疑問を持たれてしまうとなかなか審査が通らず時間もかかるため、しっかりと説明できるように準備すると良いでしょう。
「定住者ビザ」ではなく、他の在留資格にあてはまる場合は、「定住者ビザ」の申請はできません。
子供の在留資格の要件が、「定住者ビザ」にあてはまるかどうか、他の在留資格で申請できるかどうかをあらかじめ調べ、そのうえで「定住者ビザ」を取得することをおすすめします。
まとめ
子供でも「定住者ビザ」を取得することはできます。
外国人は、在留資格が認められないと、不法滞在になってしまいます。
居住している市町村に住民票を届けることができず、健康保険を持つことも、学校や保育園や幼稚園に通うこともできませんので、子供は在留資格が認められないと、健康や発達のための受けるべき福祉を得られないことになります。
子供の在留資格に不安があれば、「外国人在留総合インフォメーションセンター」や地方出入国在留管理局に相談することをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応