在留資格認定証明書からビザ取得の流れについて解説
日本でしばらく滞在することになったけど、どういった手続きが必要なのだろう。
外国人が日本の学校に通ったり、仕事に就いて生活をするためには、在留資格認定証明書を取得し、ビザを発給する必要があります。
そこで今回は、在留資格認定証明書交付申請からビザを発給して日本に入国するまでの流れをご説明します。申請するときの注意点もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
在留資格認定証明書がなぜ必要なのか
日本で中長期滞在するためには「在留資格認定証明書」が必要になります。在留資格認定証明書は日本で活動を行いたい方が、その活動をするための許可をもらったことを証明するための書類です。
ビザの発給をする際に提出することで、日本で行う予定の活動が認定されていることが証明されますので、迅速に審査をしてもらうことができます。
このように、在留資格認定証明書の交付は上陸のための条件に適合していることを証明し、ビザの発給審査や入国審査の手続きを簡易・迅速化と効率化することが目的とされています。
在留資格認定証明書とビザの違いとは?
ここでは、在留資格認定証明書とビザについて、詳しい説明や違いをご説明します。
在留資格認定証明書
在留資格認定証明書は、申請する在留資格に関する要件の適合性を審査し、適合する場合に交付される証明書のことです。在留資格は、活動内容に応じて種類が異なります。
就労関係であれば「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」など、決められた業務の範囲で就労することが可能です。在留資格の活動範囲に該当しない活動を行うことはできません。
例えば、在留資格「経営・管理」を取得した方の活動範囲は経営や管理の業務になりますので、飲食店を経営しているのであれば料理やホールの仕事をすることは許可されません。
こういった日本で行う活動を、ビザ発給審査や入国審査時に証明するための書類が「在留資格認定証明書」です。
申請先 |
出入国管理局 |
---|---|
有効期限 |
交付から3ヶ月 |
特徴 |
・ビザ発給や入国審査時に必要 ・日本での活動内容を証明する書類 ・在留資格に関する要件を満たしていることを審査し取得する |
ビザ
ビザは日本では査証とも呼ばれ、外国人が持っているパスポートの有効性を示す他に、日本への入国を推薦するために発給されるものです。
よく在留資格のことをビザと呼ぶことがありますが、正しくは別物です。ビザの有効回数は、原則として1回の入国に限ります。
在留資格認定書交付申請とは別で、審査を行います。審査を行う場所は申請人の本国にある在外公館で、審査の際に在留資格認定証明書を提出することで、ビザの審査をスムーズに行うことができます。
在留資格認定書と審査が異なるため、在留資格認定書の審査が問題なく通っていても、ビザの申請で拒否されてしまう可能性があります。
ビザ不発給の理由は、在外公館に問い合わせても教えてもらうことができず、その後6ヶ月の間は再申請することができませんので、注意しましょう。
申請先 |
申請人の本国にある在外公館 |
---|---|
有効期限 |
発給から3ヶ月 |
特徴 |
・パスポートの有効性を示す ・日本への入国を推薦する ・有効回数は原則1回 |
在留資格認定証明書からビザ取得の流れ
在留資格認定証明書は日本で審査の手続きを行い、ビザの取得は申請人の本国で申請をする必要があります。日本に入国するまでの流れを確認し、円滑に物事を進めていきましょう。
日本で在留資格認定証明書交付申請(本人または代理人が申請)
在留資格認定証明書の交付申請は、居住予定地または受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署で行います。そのため、書類を提出する方は日本で手続きをしなければいけません。
申請人の代わりに書類を提出できるのは、下記の通りです。
代理人 |
申請人を受け入れようとする機関の職員などの法務省令で定める代理人 |
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申請取次者等 |
・外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの ・地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士 ・申請人本人の法定代理人 |
提出する書類は、日本での活動内容に応じて異なります。それぞれの活動内容にあった書類を準備し、申請に行きましょう。
在留資格認定証明書交付(本人または代理人に送付)
在留資格認定証明書の交付が許可されると、申請時に提出した返信用封筒を使用して本人または代理人に在留資格認定証明書が郵送されます。代理人が受け取った場合は、証明書を本人へ送ります。
在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月です。発行してから3ヶ月が過ぎてしまうと、再度申請が必要になりますので気をつけましょう。
在外公館にて本人がビザを申請
申請人は証明書を受け取ると、本国の在外公館にてビザの申請手続きを行います。申請時には、在留資格認定証明書や旅券(パスポート)などの書類を持参します。
ビザの申請を行う時は、申請前に在外公館に必要な書類を照会することで、スムーズに審査を進めることが可能です。ビザの審査には1週間から2週間程度かかりますので、早いタイミングで行うようにしましょう。
ビザ発給後、日本へ渡航
ビザが発給されると、提出したパスポートにビザが貼られた状態で返却されます。
入国審査の際に在留資格認定証明書の期限が切れてしまっていると、有効な書類として扱ってもらえないため、3ヶ月以内に日本へ入国しなければいけません。
上陸後、在留カードの交付
日本へ着くと、入国時の審査を受けます。
入国審査の際には、
- ●在留資格認定証明書
- ●パスポート
- ●ビザ
の3点が必須のため、掲示できるようにしておきましょう。
審査が通り、入国できると在留カードの受け取りができます。在留カードは日本に中長期滞在する外国人の方に対して交付されるカードです。
在留カードに記載されている項目は、下記の通りです。
- ●氏名
- ●生年月日
- ●性別
- ●国籍・地域
- ●住居地
- ●在留資格
- ●在留期間
- ●就労の可否 など
在留カードは、成田空港や羽田空港などの一部の国際空港では、その場で発行し受け取ることができます。それ以外の空港の場合は後日発行され、届け出た住所へ郵送されるので安心してください。
在留カードが発行されたら、申請人の居住地を管轄する役所・役場へ住民票の登録を行います。住民票の登録は、在留カードが発行されてから原則2週間以内にする必要があるので注意しましょう。
在留資格認定証明書にかかる期間
在留資格認定証明書を取得し、日本に入国するまでにかかる期間は、下記の通りです。
在留資格認定証明書交付申請の必要書類を収集・作成する期間 |
在留資格の種類によって必要書類が異なるため一概には言えない
日本で発行される証明書はすべて発行日から3ヶ月以内のものを提出しなければならないため、収集から3ヶ月以内 |
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在留資格認定証明書交付申請の審査期間 |
標準処理期間1ヶ月〜3ヶ月
ただし、追加で書類が必要な場合や、出入国管理局が混雑している時期は、上記より長くなる可能性がある |
ビザ申請期間 |
1週間〜2週間程度 |
日本に入国するまでの期間 |
在留資格認定証明書の有効期限である、在留資格認定証明書が交付されてから3ヶ月以内 |
かなり長い期間がかかる上に、日本・外国の両方で手続きを行う必要があります。審査が不交付になり、また一から作業を行う手間を省くためにも、専門家に相談して申請の手続きを行う方が良いでしょう。
在留資格申請の注意点
在留資格認定証明書の交付申請の際は、在留資格認定証明書が取得できてもビザが不発給になる可能性や、書類の有効期限に注意しなければいけません。それぞれ気をつけなければいけないポイントを確認していきましょう。
必ずしもビザが取得できるとは限らない
たとえ在留資格認定証明書交付申請の審査に問題なく通り、在留資格認定証明書が交付されたとしても、その後のビザ審査が通る保証はありません。
外務省のHPには、ビザの原則的発給基準として下記の条件が記載されています。
(1)申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。
(2)申請に係る提出書類が適正なものであること。
(3)申請人が日本において行おうとする活動又は申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。
(4)申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。
(引用元:ビザの原則的発給基準|外務省)
ビザが不発給になった場合、6ヶ月以内は再申請することができず、在留資格認定証明書の有効期限が切れてしまうため再度申請することが必要になります。
領事館での発給拒否は、出入国在留管理局へ情報が共有されるので次回の審査がこれまで以上に厳しくなります。
証明書発行後、日本入国まで制限がある
在留資格認定証明書の有効期限は、交付されてから3ヶ月です。それまでに日本に入国しなければ、再度在留資格認定証明書交付申請を行わなければいけないため、気をつけましょう。
日本で上陸審査を受けた後は、在留資格認定証明書は回収されます。
まとめ
今回は、在留資格認定証明書交付申請からビザ取得までの流れをご説明しました。日本で行う手続きと、申請する方の本国で行う手続きがありますので、書類の有効期限に気をつけながら手続きを進めましょう。
特に、在留資格認定証明書が交付されてからは、有効期限の3ヶ月以内に日本へ入国しなければいけません。申請をする際は余裕を持って、計画的に手続きするようにしましょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応