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定住者ビザ(在留資格)の取得手続きの流れと必要書類を解説

定住者ビザ

外国籍の妻の子供を海外から呼び寄せ、日本で一緒に暮らしたい─ 日系2世の夫と死別(離婚)してしまったが、引き続き生活基盤のある日本に在留したい─ 本国で迫害を受けている、または本国に戻ると迫害を受ける危険があるので日本に在留したい─ 中国残留邦人だが、家族と一緒に日本で暮らしたい─

 

そうした複雑で特別な事情を抱える多くの外国人の方々に、日本に定住する門戸を切り開く道筋となるのが、当コラムの表題でもある、「定住者」という在留資格を付与する「定住者ビザ」です。

 

法務省発表の統計によれば、令和元年6月末現在、過去最高となる282万9416人の外国人が日本に在留しています。そのうち、定住者ビザ(在留資格「定住者」)による在留は、全体の7%にあたる19万7599人です。現在27種類ある在留資格の中で6番目に多い在留資格で、その数は年々、着実に増加傾向にあります。

 

ここでは昨今、ビザの中でも注目度の高い「定住者ビザ」について、その概要から、ビザ申請の流れ、ビザの種類とカテゴリー、申請における必要書類まで、「定住者ビザ」の全体像について、分かりやすく解説していきます。

定住者ビザとは?

定住者ビザ

「定住者ビザ」とは、在留資格「定住者」を有する外国人に付与されるビザで、入管法(出入国管理及び難民認定法)では、法務大臣が特別な事情を考慮し、一定の在留期間を指定して日本に居住することを認めた在留資格とされています。

 

この定住者ビザには、法務省の告示により、あらかじめ定住者の概要が規定されている「告示定住者(正式には定住者告示)」と、概要は規定されていないが、法務大臣が人道上、その他特別な事情を考慮して在留を認める「告示外定住者」の2つのケースがあります。

告示定住者

「告示定住者」の具体例としては、「日系人やその配偶者」「定住者の実子」「日本人や永住者の配偶者の実子(いわゆる連れ子)」「日本人や永住者、定住者の6歳未満の養子」「中国残留邦人やその親族」「難民認定を受けた外国人等」などが挙げられます。

 

法務省では「定住者告示」の概要を1号から8号に分類(2号は削除)し、詳細を明記しています。各号の概要を簡単に説明すると、以下のようになります。

1号 タイ国内で一時的に庇護されているミャンマー難民

2号 削除

3号 日本人の子として出生した者の実子(日系2世、日系3世)

4号 日本人の子として出生した者で、かつて日本に本籍を有したことがある者の実子の実子(日系3世)

5号 日系2世、3世、定住者の配偶者など

6号 日本人、永住者、特別永住者扶養を受ける、未成年で未婚の実子など(連れ子)

7号 日本人、永住者、定住者、特別永住者の扶養を受ける、6歳未満の養子

8号 中国残留邦人およびその子など

告示定住者の詳細を知りたい方は、法務省の出入国管理関係法令等「定住者告示」(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_hourei_h07-01-01.html)を参照ください。

告示外定住者

一方、定住者の概要が明記されていない「告示外定住者」は、法務大臣が適宜、特別な事情を考慮して、入国や在留の許可を出すことになります。

 

「日本人、永住者、特別永住者と離婚または死別後、引き続き在留を希望する外国人」「日本人の実子を扶養する外国人親」などが告示外定住者の対象となります。

 

告示外定住者は、あらかじめ法務大臣が認可している告示定住者に比べ、許認可のハードルは高いのが現状です。よくある告示外定住者のケースとして、離婚後の定住者ビザ申請では、3年以上の婚姻実績を示すことが求められます。

 

実際の実務現場では、離婚・死別の配偶者など、すでに日本に在留している外国人でないと、告示外定住者での在留資格認定証明書の取得は困難とされています。

定住者ビザの在留期間

定住者ビザは、永住者ビザと同様、就労の制限はありませんが、無期限の永住者ビザと異なり、在留期間が定められています。

 

告示定住者の場合は、「5年」「3年」「1年」「6カ月」と4つの在留期間が設けられています。一方、告示外定住者の場合は、法務大臣が個々の事情を踏まえ、「5年を超えない範囲」で在留期間を指定します。どちらのケースでも、在留期間終了後、引き続き日本に在留したい場合は、「在留期間更新許可申請」の手続きが必要となります。

その他の要件

告示定住者、告示外定住者にかかわらず、定住者ビザの許認可審査では、申請者の普段の素行が良好であるか、生活していくに足る十分な経済力があるか、離婚の原因は何かなど、個別の状況も問われます。

 

もちろん、身分関係を立証する証明書に偽造があったり、実子に対して相当期間の養育の事実がなかったりした場合は、定住者ビザが認可されることはありません。

定住者ビザ申請の流れ

定住者ビザ申請で最も重要な必要書類については、後で詳細しますが、ここでは定住者ビザ申請における大まかな流れを解説します。

1.申請書類の収集・作成

そのビザ申請でも同じですが、まずは定住者ビザ申請に必要な必要書類や添付書類などを不備なく用意することから始まります。

 

申請の理由を説明する書類や質問書など、記入が必要な書類は、嘘偽りなく、誠実に作成することが重要です。

 

主な提出書類は以下の通りです。

・申請書類

・添付書類

・写真(縦4cm×横3cm)1葉 ※申請3カ月以内のもの

・返信用封筒 ※在留資格認定証明書交付申請の場合

・パスポート・在留カード提示 ※在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の場合

・ハガキ(住所、氏名記載) ※在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の場合

・その他

2.申請書類の提出(入国管理局)

不備なく書類が準備できたら、入国管理局に申請書類一式を提出します。

3.結果の通知

申請の際に、入国管理局に提出した封筒またはハガキで結果通知が届きます。一般的に、審査機関は1~3カ月と言われています。

4.ビザ発行手続き(入国管理局)

晴れてビザ申請の許認可が下りたら、入国管理局でビザを受け取ります。在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請は、入国管理局に出向き、収入印紙を購入して、受け取りのサインをします。

 

一方、在留資格認定証明書交付申請の場合は、特に手続きは不要です。

定住者ビザの種類とカテゴリー

定住者ビザには以下の5種類があります。例外として、5種類の定住者ビザにあてはまらない方で、定住者とみなされるケースもあります。

 

また、定住者ビザ5種類のうち、「申請人が日系3世の場合」をのぞく4種類には、カテゴリー分けが設けられています。

 

定住者ビザを申請する際には、自分がどの種類のビザで、どのカテゴリーに該当するかを正確に把握することが重要です。カテゴリーごとに添付書類が異なりますので、注意が必要です。

➀「外国人(申請人)の方が日系3世である場合」 ※カテゴリー分けはありません
②「外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫または妻)である場合」

『カテゴリー1』→日系2世の方が会社等に勤務している場合

『カテゴリー2』→日系2世の方が自営業等である場合

『カテゴリー3』→日系2世の方が無職の場合

③「外国人(申請人)の方が日系3世の配偶者(夫または妻)である場合」

『カテゴリー1』→日系3世の方が会社等に勤務している場合

『カテゴリー2』→日系3世の方が自営業等である場合

『カテゴリー3』→日系3世の方が無職の場合

④「外国人(申請人)の方が、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の、いずれかの在留資格を持つ方の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の実子である場合

『カテゴリー1』→「定住者」の方が扶養している場合

『カテゴリー2』→「日本人の配偶者等」の方が扶養している場合

『カテゴリー3』→「永住者の配偶者等」の方が扶養している場合

⑤「外国人(申請人)の方が、日本人、永住者、定住、特別永住者の、いずれかの在留資格を持つ方の扶養を受けて生活する、6歳未満の養子である場合

『カテゴリー1』→「日本人」の方が扶養している場合

『カテゴリー2』→「永住者「定住者」「特別永住者」の方が扶養している場合

定住者ビザ申請の必要書類

定住者ビザ申請において、最も煩雑なのが、必要書類の収集と作成です。

 

必要書類は定住者ビザの種類、カテゴリー、申請の内容(在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請)によって、それぞれ異なります。

 

どの種類のビザ申請においても、多くの申請書類が必要となり、中でも「理由書」や「生活の基盤・安定を証明する資料」などは特に重要視されます。

 

日本で発行される証明書は、すべて発行から3カ月以内のものでなければなりません。また提出書類が外国語で書かれている場合は、訳文の添付も不可欠です。

 

ここでは、定住者ビザ申請の必要書類の一例として、「外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫または妻)である場合」の必要書類を、申請内容に応じ、カテゴリーごとに列挙してみました。

 

ビザの種類やカテゴリー、申請内容に応じた必要書類の詳細は、法務省の在留資格「定住者」(http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_NINTEI/index_zn3.html)に明記されています。ご自身の申請に応じた必要書類をご確認ください。

◆例:申請人が日系2世の配偶者である場合

〈在留資格認定証明書交付申請〉

『カテゴリー1』→日系2世の方が会社等に勤務している場合

1.婚姻届出受理証明書 1通 ※日本の役所に届け出ている場合のみ

2.2世の方の住民票 1通 ※世帯全員の記載があるもの

3.2世の方の住民税の課税(非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの) 各1通

4.2世の方の在職証明書 1通

5.身元保証書 1通 ※身元保証人は通常2世の方

6.申請人の本国で発行された結婚証明書 1通

7.質問書 1通

8.スナップ写真 2~3葉 ※2人の容姿がはっきり写っているもの

9.一定の日本語能力があることを証明する書類 ※日本語能力試験N2の合格証明など

※在留期間「5年」を希望する場合のみ提出が必要

10.在留資格認定証明書 交付申請書 1通

11.その他

※()内は以下も同様

『カテゴリー2』→日系2世の人が自営業等である場合

1~3および5~11はカテゴリー1と同様。

4の「在職証明書」に代わり、「2世の方の確定申告書控えの写し 1通」および「2世の方の営業許可証の写し 1通」が必要となります。

『カテゴリー3』→日系2世の人が無職の場合

1~3および5~11はカテゴリー1と同様。

4の「在職証明書」に代わり、「預貯金通帳の写し(適宜提出)」が必要となります。

〈在留資格変更許可申請〉

『カテゴリー1』

1.婚姻届出受理証明書 1通

2.申請人の住民票 1通

3.2世の方または申請人(収入の多い方)の住民税の課税証明書および納税証明書 1通

4.2世の方または申請人(収入の多い方)の在職証明書 1通

5.身元保証書 1通

6.申請人の本国で発行された結婚証明書 1通

7.質問書 1通

8.スナップ写真 1通

9. 一定の日本語能力があることを証明する証明書 ※日本語能力試験N2の合格証明など

10.在留資格認定証明書 交付申請書 1通

※()内は以下も同様

『カテゴリー2』

・1~3および5~11はカテゴリー1と同様。

・4の「2世の方または申請人の在職証明書」に代わり、「2世の方または申請人の確定申告書控えの写し 1通」と「2世の方または申請人の営業許可証の写し 1通」が必要となります。

『カテゴリー3』

・1~3および5~11はカテゴリー1と同様。

・4の「2世の方または申請人の在職証明書」に代わり、「預貯金通帳の写し(適宜)」が必要となります。

〈在留期間更新許可申請〉

『カテゴリー1』

1.申請人の住民票 1通

2.2世の方または申請人の住民税の課税証明書および納税証明書 1通

3.2世の方または申請人の在職証明書 1通

4.身元保証書 1通

5.婚姻の継続を証明する資料(適宜)

6.一定の日本語能力があることを証明する証明書(日本語能力試験N2の合格証明など)

7.在留資格認定証明書 交付申請書 1通

8.その他

『カテゴリー2』

・1、2および4~8はカテゴリー1と同様。

・3の「2世の方または申請人の在職証明書」に代わり、「2世の方または申請人の確定申告書の控えの写し 1通」と「2世の方または申請人の営業許可証の写し 1通」が必要となります。

『カテゴリー3』

・1、2および4~8はカテゴリー1と同様。

・3の「2世の方または申請人の在職証明書」に代わり、「預貯金通帳の写し(適宜)」が必要となります。

上記の一例からも分かるように、定住者ビザ申請における必要書類は数が多く、内容も煩雑です。「ビザの種類(5種類)」、「カテゴリー(5種類中、4種類にカテゴリーあり)」、「申請内容(在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請)」に応じて、必要書類を正確に収取し、質問書なども的確に作成しなければなりません。

まずは、ご自身の申請する定住者ビザが、どの種類で、どのカテゴリーに該当するかをしっかりと確認したうえで、それに該当する必要書類を取り寄せ、迅速かつ的確に書類を作成、提出することが重要です。

まとめ

第3国定住難民や日系3世、中国残留邦人、あるいは離婚・死別により配偶者資格を失った外国人など、さまざまなケースで付与される定住者ビザ。その概要は煩雑で、規定も複雑なことから、外国人の方がご自身でビザを申請して、取得することは、決して容易ではありません。

 

例えば、非告示定住者の申請は、告示定住者(定住者告示)に該当するケースに比べ、ビザを取得するハードルが上がります。また、実務現場では、そもそも非告示定住者の場合、在留資格認定証明書を取得することは困難と言われています。

 

その場合は、在留資格の変更許可など、他の方法を模索することになりますが、定住者ビザの取得を検討されている外国人の方が、そうした実務現場の状況まで正確に把握しているケースは滅多にありません。

 

また、在留資格の変更許可においても、就労系ビザから定住者ビザに変更することは現実問題として難しく、実務の現場を知らない方が、スムーズに定住者ビザの取得にたどり着くのは困難と言わざるを得ません。

 

複雑で煩雑な定住者ビザの申請手続きを、迅速かつ正確に行うためにも、入管業務に精通し、定住者ビザ取得の実績も豊富な行政書士に依頼することは、非常に有効で効果的な手段と言えるのではないでしょうか。

 

定住者ビザ申請でお悩みの方、お困りの方は、当事務所にご相談ください。皆さまのご希望に沿うよう、最善を尽くすことをお約束します。

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