定住者ビザの身元保証人の責任の範囲と必要書類
定住者ビザの申請で必要になる書類の1つに、身元保証書があります。この記事では、身元保証書の内容や身元保証人の責任範囲などについてわかりやすく紹介します。
そもそも定住者ビザとはどんなものか
定住者ビザとは、特別な事情のある外国人に対して日本への在留を認める在留資格(ビザ)です。定住者ビザがあれば職種を問わずに日本で就労できます。永住ビザとは違って在留期間に制限があるので、期間を延長する際には更新手続きが必要です。定住者ビザの申請や更新の手続きでは、原則として身元保証書の提出が求められます。
身元保証書とはどんなものか
身元保証書とは、日本在留を希望する外国人の身元保証人を明らかにするための書類です。身元保証人の役割は、外国人の「滞在費」と「帰国旅費」、「法令の順守」の3点を保証することです。在留中に問題が起きたときに、外国人のサポート役を務める担当者だと考えるとわかりやすいでしょう。
身元保証人になるための条件
日本人だけではなく、日本に正規に滞在する外国人も身元保証人になれますが、申請者に対して必要な指導や援助をするための能力や経済力が要求されます。「身元保証人が責任を十分に果たせない」とみなされると、審査に通らない可能性も出てくるでしょう。
身元保証書のフォーマットは、法務省の公式サイトからダウンロードできます。適切に記入して、ほかの必要書類とともに入国管理局に提出しましょう。
身元保証書の主な項目
身元保証書で記入が求められる主な項目は、下記の通りです。
・申請者の国籍と氏名(パスポートに記載されたアルファベット表記)
・身元保証人の氏名と住所、職業と国籍、申請者との関係
身元保証人がいない場合は
やむを得ない事情があって身元保証人を立てられない場合は、代わりに理由書を提出することになります。ただし、身元保証書が提出できないと審査で不利になりやすいため、申請の前に身元保証人を確保しておくほうがベターです。
身元保証人の責任範囲は
定住者ビザの身元保証人に求められるのは、あくまでも入国管理法上の責任と道義的責任です。広く知られている民法上の保証人や連帯保証人とは、責任の範囲が大きく異なります。対象の外国人が問題を起こしても、代わりに何らかの責任に問われるような事態にはなりません。ただし、身元保証人が身元保証書類を偽造した場合などでは、処罰の対象になる可能性も出てきます。
定住者ビザの対象になる主なケース
定住者ビザには2つの種類があり、法務省に対象者として告示(定住者告示)されているものとそうでないものに分けられます。もともと、特別の事情がある外国人を対象にした制度なので、基本的にケースバイケースで判断されると考えて良いでしょう。
定住者告示に該当するケース
法務省に告示があるケースには次のようなものがあります。いずれも一定の条件を満たす必要がある点に注意しましょう。
・ミャンマーなど一定地域の難民
・日系2世や日系3世、中国残留邦人
・日本人と結婚した外国人に未成年の連れ子がいて、本国から呼び寄せる場合
定住者告示に該当しないケース
法務省に告示がなくても、一定の条件を満たすことで定住者ビザが認められる場合があります。
・日本人と結婚した外国人が、離婚や死別後も引き続き日本に在留する場合
・日本人の実子を扶養する外国人の親が日本に在留する場合
定住者ビザの申請で必要になる主な書類
定住者ビザの申請には、下記のような書類も必要です。申請内容によって提出書類が変わってくるため、入国管理局や公式サイトなどで確認しておきましょう。
共通書類
・在留資格認定証明書交付申請書や在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書など
・本人の写真や理由書、身元保証書など
そのほかの書類例
・戸籍謄本や婚姻届受理証明書、納税証明書や出生証明書写しなど
・夫婦のスナップ写真や住民票、預金通帳写しなど
定住者ビザ申請で失敗しないためには
定住者ビザの審査は、広い裁量権を持つ入国管理局に委ねられています。似たような事例が審査に通っているからといって、必ずしも通るとは限りません。定住者ビザの申請で失敗するのを避けたいなら、豊富な知識と経験を持つ専門の行政書士を利用してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応