特定技能外国人は派遣で雇える?派遣形態が認められる産業と要件を解説
特定技能外国人を直接雇用するのは書類や手続きの面で煩わしいことから、特定技能外国人を派遣形態で雇用しようと考えている企業も多いでしょう。特定技能外国人を派遣することは原則認められていませんが、業務分野によっては可能です。
この記事では、特定技能外国人を派遣できる分野を紹介するとともに、派遣元企業・派遣先企業に係る要件について解説します。
派遣は可能?在留資格「特定技能」のおさらい
「特定技能」は、特定産業分野の人手不足が深刻化していることを背景に、一定の知識と技能を有した外国人を受け入れる在留資格です。在留資格「特定技能」には、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」によると、2019年4月1日より制度を開始してから2022年3月に至るまで、約6万4,000人もの特定技能外国人を受け入れています。
参照元:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表(令和4年3月末)」
また、2022年6月現在において、特定技能外国人の派遣は原則認められていません。特定技能1号と2号の詳細については、こちらのページをご覧ください。
特定技能外国人の派遣の可否
特定技能外国人を派遣することは原則認められていませんが、分野によっては可能です。下記が特定産業分野別の雇用形態の一覧です。
特定産業分野 |
雇用形態 |
---|---|
介護分野 |
直接 |
ビルクリーニング分野 |
直接 |
素形材産業分野 |
直接 |
産業機械製造業分野 |
直接 |
電気・電子情報関連産業分野 |
直接 |
建設分野 |
直接 |
造船・舶用工業分野 |
直接 |
自動車整備分野 |
直接 |
航空分野 |
直接 |
宿泊分野 |
直接 |
農業分野 |
直接・派遣 |
漁業分野 |
直接・派遣 |
飲食料品製造業分野 |
直接 |
外食業分野 |
直接 |
※素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野は統合されることが閣議決定されています。
上記の通り、農業分野と漁業分野に限り特定技能外国人を派遣することが可能です。理由としては、「農業や漁業は作業の繁忙期と閑散期が他の業種に比べてはっきりとしている」「同じ区域であっても作業のピーク時が異なる特性がある」ためです。
特定産業分野の詳細については、こちらのページをご覧ください。
派遣形態が認められる要件
派遣形態が認められるためには、派遣元企業と派遣先企業ともにそれぞれの要件を満たさなければなりません。ここでは、それぞれ解説します。
派遣元企業に係る要件
派遣元企業になるため、受入れ企業は以下の要件を満たさなければなりません。またその上で、出入国在留管理庁長官、農業・漁業それぞれを管轄する行政機関の長との協議により、派遣形態での雇用を認められる必要があります。
①農業・漁業の業務またはそれに関連する業務を行っていること ②地方公共団体または①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること ③地方公共団体の職員または①に掲げる者もしくはその役員もしくは職員が役員であることその他地方公共団体または①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者 |
※参照元:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
また、農業分野においては下記の要件も満たさなければなりません。
国家戦略特別区域法16条の5第一項に規定する特定機関(農業支援活動を行う外国人の受入を適正かつ確実に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合する機関)であること |
※参照元:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
派遣先企業に係る要件
特定技能外国人を直接雇用するわけではない派遣先企業も、下記の要件を満たす必要があります。
①労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること ②1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと ③1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと ④欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと |
※参照元:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
特定技能外国人を派遣で雇う場合の注意点
ここでは、派遣元企業・派遣先企業に共通する特定技能外国人を派遣で雇う際の注意点について見ていきましょう。
労働者派遣法も遵守する必要がある
特定技能外国人を派遣で雇用する場合、特定技能制度はもとより労働者派遣法も遵守する必要があります。もし特定技能制度と労働者派遣法に共通する事項がある場合は、厳しい方を採用しなければなりません。
例えば派遣期間について特定技能制度では、最長5年の就労が認められていますが、労働者派遣法の派遣期間は3年と定められているため、厳しい方である労働者派遣法に則る必要があります。
加えて、派遣元企業が派遣先に人手を送れる条件の1つに、「派遣元企業の責任者が日帰りで対応できるエリア」というものがあります。そのため、派遣元(受入れ企業)が登録支援機関に登録している場合は、登録支援機関の対応可能エリアよりも派遣可能なエリアの方が狭いケースがあるため注意してください。
派遣元企業が支援を行う
派遣先企業は、あくまで間接的に特定技能外国人を受け入れてます。直接受け入れているのは派遣元企業となるため、派遣した特定技能外国人の支援は派遣元企業が行うのが原則です。
そのため、派遣先企業は支援計画を作成したり、各種書類を地方出入国在留管理局に提出したりする必要はありません。ただし、派遣元企業は派遣先が提出する管理台帳をもとに各種書類を作成するため、派遣先企業は正確な記録が求められます。
特定技能協議会への登録が必要
農業分野・漁業分野には、それぞれ特定技能協議会という組織が設けられています。受け入れた特定技能外国人は、4ヵ月以内に各協議会に登録する必要があります。登録を行うのは派遣先企業でなく派遣元企業であるため、間違えないようにしましょう。
まとめ
特定技能外国人は、原則直接雇用です。ただし、農業分野と漁業分野においては地域や季節などによって収穫ピークが異なるため、派遣形態での雇用が認められています。とはいえ、派遣元企業・派遣先企業ともに指定の要件を満たさなければならないため注意しましょう。
さむらい行政書士法人では、豊富な経験と実績のある専門の行政書士が登録支援機関の登録や運営をサポートしています。特定技能外国人の派遣雇用についてもご相談いただけますので、まずは無料相談をご利用ください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
無料相談
「さむらい行政書士法人」は特定技能ビザなどの入管申請を専門とする行政書士法人です。特定技能ビザ申請のアウトソーシングや、特定技能支援計画の作成支援と支援計画の運用サポートも行っております。
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