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特定技能雇用契約とは?契約項目と注意点を解説

 

外国人労働者の雇用を検討している企業担当者の中には、特定技能制度を利用した雇用を検討している人もいると思います。特定技能雇用契約の際に必要な契約項目とはどのようなものでしょうか。

 

この記事では、契約書に記載が必要となる項目と契約時の注意点を紹介します。

特定技能雇用契約とは

特定技能雇用契約とは、「特定技能」の在留資格を持つ外国人労働者と、その外国人労働者を受け入れる機関の間で結ばれる雇用契約のことです。特定技能雇用契約を結ぶ際には、「雇用契約書の作成」と「外国人労働者による署名」が必要です。

 

雇用契約書で使用する言語は日本語ではなく、契約を結ぶ外国人労働者が理解できる言語にする必要があります。契約を結ぶ外国人労働者の母語や英語を用いた雇用契約書を用意しましょう。

特定技能雇用契約書に記載が必要な2種類の項目

特定技能雇用契約を結ぶにあたって用いる契約書には、一般的な雇用契約書の内容に加え、差別的待遇がないことや労働者本人が一時帰国を希望した場合の扱いに関する記載などを記載する必要があります。

 

ここでは、特定技能雇用契約書に記載が必要な項目を「雇用関係に関する事項」「外国人の適正な在留に必要な事項」の2つに分けて紹介します。

雇用関係に関する事項

ここでは雇用に関する記載内容を取り上げます。

1.従事させる業務に関するもの

出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令(平成三十一年法務省令第六号)で定める分野に属する同令で定める相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能を要する業務に外国人を従事させるものであること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

特定技能雇用としての契約では、いわゆる「即戦力」が対象です。そのため、業務に必要なスキルや知識がある外国人労働者と契約を結ぶことが前提とされています。

2.所定労働時間に関するもの

外国人の所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

外国人労働者であっても、労働時間は日本人と同等にします。不当な残業を求めることはできません。

3.報酬に関するもの

外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

外国人労働者本人と同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合には、受入れ機関が支払う報酬が、日本人労働者に対する報酬と同等以上であることを説明します。

 

また、外国人労働者が実際に任される職務内容やその職務に対する責任の程度が、当該日本人労働者と同等であるという説明も必要です。

4.待遇に関するもの

外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

報酬以外の待遇についても、外国人労働者であることを理由に差別的な扱いをすることは認められていません。

 

特定技能雇用契約書の書面上だけでなく、実際に外国人労働者が就労する職場での受け入れ態勢の整備も併せて行いましょう。

5.一時帰国のための有給休暇取得に関するもの

外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしていること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

外国人労働者には、有給休暇として一時帰国する権利があります。

6.派遣先に関するもの

外国人を労働者派遣等(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第二条第一号に規定する労働者派遣及び船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第十一項に規定する船員派遣をいう。以下同じ。)の対象とする場合にあっては、当該外国人が労働者派遣等をされることとなる本邦の公私の機関の氏名又は名称及び住所並びにその派遣の期間が定められていること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

外国人労働者を派遣させる場合は、期間と派遣先が定められている必要があります。また、2022年4月現在、外国人労働者の派遣雇用が可能なのは「農業分野」と「漁業分野」です。

7.分野別に定められた基準に関するもの

前各号に掲げるもののほか、法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては、当該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

「前各号」とは、この記事で紹介した1~6の事項のことです。特定の産業分野においては、職種ごとに定められた技術基準に適合した場合、外国人労働者と雇用契約を結ぶことが可能です。この事項は、外国人の適正な在留に必要な事項と共通して定められています。

外国人の適正な在留に必要な事項

続いて、外国人の在留に関する記載内容を取り上げます。

1.帰国担保措置に関するもの

外国人が特定技能雇用契約の終了後の帰国に要する旅費を負担することができないときは、当該特定技能雇用契約の相手方である特定技能所属機関が、当該旅費を負担するとともに、当該特定技能雇用契約の終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

外国人労働者が帰国のための旅費を支払えない場合は、受入れ機関が代わりに支払います。なお、これは「契約終了後の帰国」に関するものであるため、有給休暇による帰国の場合は、受入れ機関が旅費を負担する必要はありません。

2.健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの

特定技能所属機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること。

引用元:e-gov:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令

 

日本人と同様に、外国人労働者にも定期的な健康診断を受けてもらう必要があります。福利厚生の一種として、外国人労働者への差別的な対応は認められていません。

特定技能雇用契約締結時の注意点

特定技能雇用契約書には、外国人労働者が差別的な扱いを受けずに日本で働く上で必要な事項を記載しなければなりません。では、実際に雇用契約を結ぶ際に気を付けたいのはどのような点でしょうか。

 

ここでは、特定技能雇用契約の締結の際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。

契約する外国人が内容を理解できるようにする

契約書を外国人労働者が理解できる言語で作成するだけでは、外国人労働者の十分な理解につながらない可能性があります。そのため、契約内容の詳細を一つひとつ丁寧に説明することも必要です。

 

もし、日本語で資料を作成する場合は、漢字に読み仮名を振りましょう。漢字を苦手とする外国人は少なくないため、そういう方に対する配慮も心がけます。

交付用契約書の準備

特定技能雇用契約書は2部作成し、1部は外国人労働者本人に交付します。もう1部は受入れ機関で保管します。

契約した外国人の健康管理

雇用契約を結ぶ前には、外国人労働者が健康を保って働くための規定が受入機関内で整備されているかどうかを確認しましょう。雇用した外国人の健康管理が不十分な場合、将来的に外国人労働者と新規で特定技能雇用契約を結ぶことが難しくなる場合があります。

まとめ

「特定技能」の在留資格を持つ外国人と結ぶ雇用契約が、特定技能雇用契約です。契約を結ぶ際には、法令に則った契約項目が記載された契約書が必要です。

 

加えて、契約の際には、「外国人が契約内容を十分に理解できるよう契約書では母語を使用する」「日本語での資料が必要な場合は漢字に読み仮名を付ける」といった配慮を心がけましょう。

 

「さむらい行政書士法人」では、特定技能雇用契約に関するご相談を承っています。外国語が堪能なスタッフも在籍しています。お気軽にお問い合わせください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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