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シンガポールの駐在員として長期出張で赴任する場合のビザについて解説

シンガポールに長期出張で滞在する場合、原則として就労ビザが必要となります。

 

一方で、多くの日本企業駐在員が取得しているビザについては、近年、取得条件が厳格化しています。

そのため、就労ビザが認められるのか不安な方も少なくないと思います。

 

本記事では、

 

 

などについて解説します。

 

なお、シンガポールドルの為替レートについては1S$=108円として換算・表記しています。

シンガポールに海外出張に行く場合の就労ビザについて

 

シンガポールへ海外出張に行く場合、予定している活動が現地での「就労」にあたる行為を含まない商用目的のものである限り、原則30日間はビザなしで渡航・活動できます。

 

本章では、シンガポールへ海外出張に行く際、就労ビザが必要か否か、就労ビザなしで活動できる条件などを解説します。

日本国籍だと就労ビザは不要

日本国籍を持つ方は、下記の条件を満たす活動を行う目的であれば、観光ビザにあたるShort-Term Visit Pass(STVP)で30日まで滞在できます。

条件

海外出張の場合、STVPで滞在が認められる条件は下記のとおりです。

滞在可能日数

30日

パスポートの

必要残存期間

シンガポール入国時点で6か月以上

認められる活動

  • 社内会議への出席
  • ビジネスパートナーとの会議への出席
  • 研修旅行及び視察旅行
  • 研修、ワークショップ、セミナー、会議。展示会

(参加者としての参加のみ可能)

滞在する場合に必要なもの

ビザなしでの滞在が認められた場合、以下のものが必要となります。

 

ビザが必要な国籍

日本からの出張でシンガポールに滞在する場合でも、以下の国籍を持つ方は、就労ビザが必要です。

アジア(インド以東)

中国 香港 マカオ 北朝鮮 バングラデシュ インド

アジア(インド以西)

アフガニスタン パキスタン イエメン イラン イラク 

シリア レバノン ヨルダン

アフリカ

アルジェリア エジプト リビア マリ モロッコ 

ナイジェリア ソマリア 南スーダン スーダン チュニジア

旧ソ連(CIS)

アルメニア アゼルバイジャン ベラルーシ ジョージア

カザフスタン キルギスタン タジキスタン トルクメニスタン

ウクライナ ウズベキスタン ロシア

欧州

コソボ モルドバ 

就労ビザが必要なケース

 

このように、シンガポールに商用で滞在する場合でも、滞在期間が30日以内であれば、原則として就労ビザは不要です。

 

一方で、

このような場合は、就労ビザが必要となります。

 

本章では、シンガポール出張で就労ビザが必要となるケースについて解説します。

滞在期間が長い場合

 

まず、滞在期間が30日を超える場合は、原則として就労ビザが必要となります。

滞在可能期間は30日まで

STVPで滞在可能な期間は通常30日以内です。

この30日間については、予定する活動がSTVPで認められた範囲である限り、無条件に滞在が許可されることから、短縮されることはありません。

滞在期間の延長は可能

滞在期間の延長を希望する場合は、移民局(The Immigration & Checkpoints Auhority/ICA)に対して延長申請を行うことによって、最大で30日の追加滞在が認められます。

 

延長を申請する場合は、STVPの有効期限が切れる2営業日前までにICAの申請サイトで手続きしてください。

無給であっても労働許可証(work pass)が必要

STVPで認められる滞在期間を超えて滞在する場合、シンガポール人と結婚するなどの例外的な場合を除き、原則として就労ビザ(まとめてwork passと呼ばれています)が必要です。

 

これは、ボランティア活動など、労務を無償で提供する場合であっても、Work Permit(WP)と呼ばれる就労ビザを取得する必要があります。

 

そのため、仕事上のポジションや収入などの条件面でEPやSパスの取得ができない場合には、STVPの有効期間中にWPの申請を行ってください。

商用活動の範囲に収まらない場合

 

たとえシンガポールの滞在期間が30日以内であっても、

このような場合には、就労ビザが必要となります。

 

ただし、『シンガポール人材開発省(MOM)が定めた特定の活動』については、シンガポール到着時にMOMに就労ビザ免除申請を行うことにより、年間で合計90日まで就労ビザなしでの滞在が認められます。

就労ビザ免除申請が認められる活動の例

就労ビザの免除を申請できる活動の例として、以下のものが挙げられます。

 

【イベントの開催・実施に関わる活動】

 

【専門知識を提供する活動】

 

【その他】

禁止されている活動

以下のような活動を行うことは禁止されています。

 

 

なお、就労ビザ免除申請が認められた場合でも、滞在1回あたりの滞在可能日数(原則30日)を延長することはできません。

何度も行き来をしている場合

 

1回あたりの滞在日数がSTVPの滞在可能日数以内であっても、STVPで頻繁にシンガポールを行き来して通算での滞在日数が長くなっている場合もあります。

このような場合、活動の目的を疑われて、入国拒否される可能性がありますのでご注意ください。

 

一度入国拒否されると、STVPでの再渡航だけでなく就労ビザの申請も不許可になるおそれがあります。

シンガポールへの出張の頻度が高い方は、商用目的を証明するレターを準備するなどの対応をおすすめします。

シンガポールの就労ビザの種類

 

本章では、シンガポールの就労ビザの種類について、日本企業の社員がシンガポールに長期出張で赴任する場合に取得が必要なビザを中心に解説します。

出張で利用するビザの種類

 

シンガポールの就労ビザには、以下の6種類があります。

 

  1. 雇用許可証(Employment Pass/EP)
  2. Sパス
  3. 個人雇用許可証(Personalized Employment Pass/PEP)
  4. Entre Pass(投資家・起業家対象ビザ) 
  5. Overseas Networks & Expertise Pass (ONEパス:各方面の世界的トップ人材対象ビザ)
  6. Work Permit (半熟練労働者対象ビザ)

 

この中で、日本企業の社員がシンガポール出張で利用する就労ビザは、主に1.EPと2.Sパスです。

Employment Pass(EP)

主にマネジメントレベルや専門職の外国人を対象とする就労ビザです。

 

2023年9月より、EP申請にあたっては従前の最低適格給与の要件に加えて、事前評価フレームワーク「COMPASS」のスコア40点以上取得していることが必要となりました。

 

詳細は最終章で説明しますが、COMPASSのスコアは

で構成されています。

 

各項目について、一定の基準が設定され、

上記の点数が付与される仕組みです。

Sパス

Sパスは、マネジメントレベルに届かないレベルの外国人中堅熟練労働者を対象とする就労ビザです。

 

Sパスの申請要件のうち、最低適格給与についてはS$3,150(34万2,000円)と、EPよりもハードルが低くなっています。

 

一方で、Sパスはローカル従業員(シンガポール人または同国永住権取得者[PR])が一定割合いる企業を前提としています。

企業の中でSパスの発給を受けられる外国人の上限割合が決められています。

 

現在では、

となっています。

 

※シンガポール人・PR保持者・Sパス保持者・Work Permit保持者の合計。EPなどの他種就労ビザ保持者はカウントされません。

インターンとして滞在する場合

インターンなどの研修プログラムのトレーニーとしてシンガポールに一定期間滞在する場合は、研修就労ビザ(Training Employment Pass)というビザを取得できます。

 

このビザは1回限りの短期研修用の就労ビザなので、研修後にシンガポールでの業務に就く場合にはEPなどを申請する必要があります。

 

EP・Sパス・研修就労ビザの概要をまとめると、以下の表のようになります。

ビザ名称

EP

Sパス

研修就労ビザ

対象者

専門職・管理職・経営層人材

中技能熟練労働者

企業の研修プログラムのトレーニー

最低固定給与月額

S$5,000(54万円)

 

※1 金融セクターはS$5,500(59万4,000円)

 

※2より経験豊富な40代半ば以降の候補者についてはS$10,500(113万4,000円)、40代半ば以降の金融セクターの申請はではS$11,500(124万2,000円)

S$3,150(34万2,000円)

 

※1 金融セクターはS$3,650(39万4,200円)

 

※2 いずれも2023年9月1日以降の基準

S$3,000(32万4,000円)

ビザ有効期間

初回:最大2年間

更新時:最大3年間

(更新可)

最大2年間

(更新可)

3か月

(延長・更新・再申請不可)

配偶者等の扶養家族ビザ申請の可否

可能

ただしEP取得者の固定給与月額S$6,000(64万8,000円)以上

可能

ただしSパス取得者の固定給与月額S$6,000(64万8,000円)以上

不可

発給条件等

雇用主のシンガポール法人が申請

(会計事務所や代行会社への依頼可)

 

雇用者が変わった場合は転職先の雇用者による新規申請が必要

候補者の勤務先のローカル従業員の15%

 

(サービス業は10%)までの発給制限あり

スポンサーとなるシンガポール企業が申請

 

(会計事務所・代行会社への依頼不可)

就労ビザを取る場合の注意点

 

就労ビザ取得にあたっては、以下の点に注意する必要があります。

就労ビザの承認まで就労できない

就労ビザの申請から承認までは2週間~1か月程度かかります。

申請期間中はシンガポール国内での就労が認められないことに注意が必要です。

 

なお、申請期間中はシンガポールに滞在する必要はありません。

申請前の学歴証明取得には時間がかかる

EP・Sパス申請の必要書類として、大学卒の学歴証明書(MOM認定第三者検証機関発行)があります。

学歴証明書の発行は、申請してから発行されるまで2~3か月かかるため、申請前にその待期期間があることを見込んで予定をたてる必要があります。

シンガポール出張者の税金について

 

シンガポールへの出張で一定期間滞在することになったとき、もう1つ気になることとして、「日本・シンガポールどちらで、どのくらいの税金を払えばよいか?」といった税金に関する疑問です。

ここでは、シンガポール出張者の税金について、「従業員の場合」と「役員の場合」に分けて解説します。

従業員の場合

 

シンガポールに出張する従業員の場合、年間の滞在日数によって課税の取扱いが3通りに分かれます。

60日以内

61日以上182日以内

183日以上

免税

  • シンガポールで得た所得に対してのみ課税
  • 雇用所得税15%または超過累進税率の高い方が適用され、所得税の申告が必要
  • その年にシンガポールで得た所得につきFrom B1様式に記入し、翌年4月15日までにシンガポール税務局IRASに郵送する
  • シンガポールにおける超過累進税率が適用される

役員の場合

 

シンガポール法人の役員の地位で受けた役員報酬の取り扱いは、年間の滞在日数182日以内か183日以上の2通りに分かれます。

182日以内

183日以上

  • シンガポールで22%の源泉徴収による申告が必要
  • 源泉徴収額につき支払日の翌々月15日までに電子申告及び支払いが必要
  • 居住者として超過累進税率が適用されシンガポールで納税が必要
  • 役員報酬についても超過累進税率が適用されシンガポールで納税が必要

2023年9月より厳格化される新制度COMPASSとは

日本人が取得する就労ビザの中でも割合が多いEPに対しては、これまで「審査基準の透明性が問題」とされてきました。

 

この問題に対応するため、シンガポール人材省(Ministry of Manpower:MOM)は、2023年9月から「COMPASS」と呼ばれるポイント制度を実施しています。

 

本章では、この新制度COMPASSはどのような制度か、COMPASS導入によってEPの発給条件などがどのように変わることが予想されるか、を解説します。

概要

COMPASSは「Complementarity Assessment Framework」(相補的な評価を行う枠組み)の略語で、新規EPビザ申請については2023年9月、更新の場合は2024年9月1日から適用されます。

 

この制度は、個人属性項目(給与水準・スキル等)及び企業属性項目(従業員の国籍の多様性やシンガポール人雇用の努力等)で構成されています。

 

候補者は、COMPASS項目の合計が40ポイントを超えることが求められます。

 

4つの項目及びポイント付与基準についてはおおむね以下の通りです。

個人属性項目 ①給与水準

同業界・同年代の給与を比較対象として、候補者の給与が:

トップ10%以内

11%~35%

それ以下

20

10

0

個人属性項目②スキル等

候補者の最終学歴につき:

政府が認定する世界のトップレベル大学卒

大卒以上

それ以下

20

10

0

企業属性項目①多様性

候補者の国籍が、スポンサーとなる企業の固定月給S$3,000(32万4,000円)以上の従業員の中で:

5%未満

5%~25%

それ以上を占める

20

10

0

企業属性項目②企業のシンガポール人雇用の努力

   同業界の企業の中での、スポンサー企業のシンガポール人従業員(固定月給S$3,000以上)の割合を順位づけした場合:

上位50%以内

51%~80%

それ以下

20

10

0

 

※全従業員25名未満の組織に対しては、項目3・4で自動的に10点が加算されます。

 

候補者が以下のいずれかに該当する場合は、COMPASSの審査対象から除外されます。

 

出張者でも業務外の活動においてビザが必要なので注意

 

STVPでの滞在が認められる出張者であっても、業務外の活動を行う場合には就労ビザが必要となるので注意が必要です。

まとめ

 

シンガポールに長期出張する場合、商用の範囲内であれば最大60日までは観光ビザでの滞在が認められます。

しかし、原則として

上記に当てはまる場合は、就労ビザの取得が必要となります。

 

シンガポール就労ビザの取得は、EPに対するCOMPASS制度の導入やSパスのクオータ引き下げなどにより、今後も難化が予想されます。

また、海外出張において、就労ビザが必要か否かの判断が容易でないケースも多くあります。

 

確実にビザが取得できるよう、シンガポールへの出張にあたっては、ビザ申請を専門とする行政書士にご相談ください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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