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外国人雇用と就業規則

労働基準法によると、会社法人・個人事業主を問わず「常時10人以上の従業員を使用している事業場」には就業規則を作成する義務があります。

 

就業規則というのは職場内の決まりごとを定めたもので、たとえば「勤務時間」や「賃金」「退職」など、従業員はもちろん経営者にとっても重要なルールブックとなるものです。

 

就業規則の内容や作成方法についてはいろいろな注意点がありますが、今回は特に「外国人を雇用している企業」に的を絞り、就業規則を作成する意義から作成上の注意、作成後に行うべきことまでお話しします。

 

今後さまざまな企業で増加する外国人従業員にしっかり対応するため、職場の基本ルールとなる就業規則について理解を深めてください。

 

目次

1.就業規則は外国人を雇用する企業にも必要
2.就業規則は従業員の母国語で作成すべき?
3.外国人従業員を念頭に置いた就業規則の内容
4.就業規則を作成・変更する際の注意点
5.就業規則を作成した後の周知
6.まとめ

1.就業規則は外国人を雇用する企業にも必要

「就業規則」というのは、企業側が一方的に決定して従業員に守らせるルールブックです。

 

一方で就業規則には、賃金の支払いや解雇のルールなど、主に企業側にとっての守るべき義務も記載されています。

 

このように就業規則というのは、労使双方にとって非常に重要なものです。

ですから、労働基準法で「常時10人以上の従業員を使用している事業場」に対して就業規則の作成が義務付けられているのも、決して不思議ではありません。

 

ちなみにこの「10人」の中には、正社員だけでなく、アルバイトやパート従業員も含まれています。もちろん、日本人従業員か外国人従業員かといった区別も関係ありません。

 

では、従業員が10人未満の事業場についてはどうでしょうか?

 

たしかに労働基準法上は、10名未満という少人数の事業場に対して就業規則の作成義務は規定されていません。

 

とはいえ就業規則の役目や重要性を考えると、人数が少ないからといって就業規則が必要ではないとは言えないでしょう。

 

行政解釈上も、「就業規則の作成義務はないが労働基準法の趣旨にかんがみ、就業規則を成文化することは望ましい」とされています。

 

複数の人が働く職場であれば、人数に関係なく「職場のルール」は必要です。

 

特に、文化的背景の違う国で育ち、日本の職場環境にほとんど馴染みない外国人が一緒に働く場合であればなおさらです。

 

また、就労ビザを取得して日本国内で働く、優秀な技術を持った高度専門人材を雇用する会社にとっても、それらの外国人従業員と良好な信頼関係を築くことは重要です。

 

こうしたことを考えると、どのような企業も人数に関係なく就業規則を作成すべき、と言えるのではないでしょうか?

そこで問題になるのが、外国人従業員の存在を前提にした就業規則の作り方です。

 

日本人のみを雇用する会社と同じような内容で漫然と制作した就業規則は、思わぬトラブルの原因になりかねません。

 

外国人従業員に対応した就業規則には、内容をはじめ、作成方法や作成・変更の際の手続き、作成後の周知方法など、気を配るべきポイントがたくさんあります。

 

それらのポイントを、これから一つずつ見ていきましょう。

2.就業規則は従業員の母国語で作成すべき?

外国人を雇用する企業から多く寄せられる質問のひとつに「就業規則は従業員の母国語で作るべき?」というものがあります。

 

労働基準法上は、就業規則の作成言語について決まりはありません。外国人が働く職場で、日本語のみの就業規則を作ったからといって、必ずしも法律違反となるわけではありません。

 

ただ、作成した就業規則には「周知義務」があります。また職場のルールを明確にして、互いに信頼関係を構築するという目的もあります。こうしたことを考えると、従業員が理解できない就業規則には意味がありません。

 

ですから外国人従業員の母国語で作成するかどうかはともかく、少なくともそれらの従業員が十分に理解できる言語で就業規則を作る必要は大いにあると言えます。

 

もちろん経営者自身も、そして他の日本人従業員も就業規則の内容を理解できないといけないので、現実には日本語で就業規則を作成し、それを外国語に翻訳するという手順が一般的です。

 

とはいえ翻訳には時間も手間も、そして費用もかかります。このため多くの企業では、最初から就業規則のすべてを翻訳するのが難しいというのも事実です。

 

そのようなケースでは、就業規則の中から基本的な労働条件、遵守すべき最低限のルール、違反した場合の懲戒規定など、まずは従業員の身分に大きく影響する重要箇所を優先して翻訳・周知するのが良いでしょう。

3.外国人従業員を念頭に置いた就業規則の内容

就業規則の内容には「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」という3種類があります。

 

絶対的必要記載事項について

絶対的必要記載事項というのは、就業規則を作成する以上、文字通り絶対に記載しなければいけないものです。

 

具体的には、始業時刻や休憩時刻といった勤務時間に関すること、休日や休暇のこと、賃金の計算や支払方法、昇給などのこと、退職や解雇に関することなど、従業員の生活や身分に直結する重要事項が含まれます。

 

絶対的必要記載事項の中で、外国人従業員を雇用する企業にとって特に注意が必要なのは「賃金」と「解雇」に関する規定です。

 

これらのルールを作成する際は、その内容が外国人にとっても「合理的」と感じられるよう十分に配慮しなければなりません。

 

たとえば賃金の場合、国籍を理由とした差別(日本人従業員と同じ仕事をしているのに、外国人というだけで給料が安いなど)は許されませんし、中間搾取、つまり「ピンハネ」も禁止されます(法律に基づいて許される場合を除きます)。

 

また高度専門人材の場合は、在留資格を取得するために担当する職務に関連する大学の専攻学部等を卒業するか、実務経験の要件をクリアしています。こうした高度専門人材を雇用するには、同じ能力を持つ日本人の賃金体系を参考にして、それと同等かそれ以上の賃金の確保が必要です。

 

また都道府県ごとの最低賃金制度は、外国人従業員にも適用されます。万一、都道府県別で公示されている最低賃金額を下回る金額を就業規則に規定したとしても、企業側には最低賃金額を支払う義務があるので注意が必要です。

なお、外国人従業員を雇用する際に提出した書類(労働条件通知書や雇用契約書など)に記載されている賃金と、就業規則に記載する賃金が食い違うケースも問題です。

 

最初に提出した書類上の賃金より実際の賃金が大幅に低くなる場合、「安定した収入を得る活動を行っていない」と判断され、外国人従業員のビザ更新が認められないこともあり得ます。

 

それどころか「契約上の不法行為」として労働基準監督署などに通報され、職場が臨検の対象となる可能性も考えられます。

 

このように、就業規則に記載する賃金の規定は、慎重に取り扱うべきものです。

 

また解雇に関するルールも、日本の企業文化に馴染みの薄い外国人が安心して働くために重要な規定と言えます。

 

相対的必要記載事項について

相対的必要記載事項というのは、退職金制度、ボーナスの制度、表彰や制裁の規定など、企業として一定の制度を用意する場合に記載しなければならない事項です。

 

特に制裁の規定を置く場合は、解雇のルールと同様、外国人従業員にとって理解しやすいように明示しなければなりません。

 

また高度専門人材である外国人は在留資格との関係で業務が限定されるので、配置転換や職務変更などの規定を置こうとする場合は要注意です。

 

具体的な対応方法としては、外国人雇用の目的に合った個別の労働契約書に対応できる規定を設けておくのが良いでしょう。

 

任意的記載事項について

任意的記載事項というのは、企業が自由に記載できるものです。

 

どのような内容を記載するにしても、外国人従業員から見て不合理、あるいは差別的に感じられるような事項は避けなければなりません。

 

むしろ「企業理念」や「評価する人材」などを記載して、外国人従業員が共感したり、自己啓発につながるよう工夫してみたりすることをお勧めします。

4.就業規則を作成・変更する際の注意点

就業規則というのは、企業側が一方的に作成・周知するものです。とはいえ労働基準法上、就業規則を作成・変更する場合には従業員側の「過半数代表者」の意見を聴き、意見書を合わせて提出することが求められます。

 

この過半数代表者とは、「過半数労働組合がある場合にはその労働組合」、「過半数労働組合がない場合は過半数労働者の代表者」のことです。

 

過半数代表者を決定する際は「投票」など民主的な方法で選ぶ必要がありますが、労働基準法で規定する「管理監督者(管理職など)」以外であれば、外国人でも過半数代表者になることができます。

 

外国人従業員が過半数代表者になり、就業規則についての意見を求められることになれば、その従業員本人の当事者意識や責任感が高くなり、就業規則に関心も高まることが予想されます。

 

もちろん企業側が過半数代表者の選出に介入することはできませんが、もし外国人従業員が過半数代表者に選ばれることがあれば、積極的に意見を聴くようお勧めします。

 

ただし、就業規則の作成・変更時に必要なのは「意見を聴く」ことであって、過半数代表者と協議したり、同意を得たりすることまでは求められていません。

 

仮に「就業規則の内容に反対」という意見書を一緒に提出しても、その就業規則は有効に成立します。

 

特に外国人従業員が過半数代表者となる場合は、この点について誤解のないよう、しっかり理解してもらうことが重要と言えるでしょう。

 

なお就業規則を外国人従業員にとって不利な内容に変更する場合は、入国管理局から説明を求められたときにきちんと対応できるよう、合理性や必要性を検討することも必須です。

5.就業規則を作成した後の周知

作成・変更した就業規則には「周知義務」があります。

 

就業規則は職場のルールブックですから、従業員の一人でも「知らなかった」ということがあればトラブルの元になりかねません。

 

誤解や従業員の身勝手な行動を避けるためにも、就業規則の作成・変更後は必ず周知することが必要です。

 

具体的な方法としては、見やすい場所に掲示する、事業所内に備え付ける、書面で交付する、パソコンなどで閲覧できるようにする、などの方法があります。

 

そのうえで、就業規則を作成・変更したこと、そして閲覧の方法をすべての従業員に周知します。

 

肝心なことは、従業員が必要としたときに容易に確認できる状態にする、ということです。

 

とはいえ現実には、「容易に閲覧できる」ようにしただけでは就業規則の内容が十分に浸透しないことも考えられます。

 

特に文化的な背景の異なる外国人従業員従業員の場合、本人が書面を読んだだけでは正しく理解できないこともあるでしょう。

 

外国人従業員に就業規則の内容を理解してもらい、企業との信頼関係を築くためには、作成・変更した就業規則を掲示する(もしくは閲覧可能な他の状態にする)だけでなく、時間をとって教育することもお勧めです。

6.まとめ

この記事では、外国人従業員が働く企業が就業規則を作成することの重要性、そして就業規則の内容や作成・変更手続きの注意点、作成後の周知・教育について説明しました。

 

就業規則というのは、企業と従業員の間でトラブルを未然に防止し、全員が気持ちよく働くために欠かせないものです。

 

特に異なる背景で育ってきた外国人にとって、就業規則は日本の企業文化を理解し、職場に馴染むためのカギと言っても過言ではありません。

 

ですから、日本語に精通していない外国人にも理解しやすい言葉で就業規則を作ること、そして、異文化で育った外国人でも理解できる合理的な内容で作成することが非常に重要です。

 

そして就業規則を作成した後は、外国人を含むすべての従業員に周知し、必要なら教育の機会を設けて、全員が安心して働ける環境を作ることが肝心です。

 

日本の少子高齢化が進むにつれて、国内の外国人労働者は今後ますます増加すると考えられます。

 

それぞれの企業にとって、また日本の社会や経済にとっても貴重な担い手である、外国人労働者が気持ちよく働ける環境を整備するため、まずは自社の就業規則について見直してみるのはいかがでしょうか?

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