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留学ビザから高度専門職1号のビザに変更できる?資格の違いや変更方法を紹介

外国人留学生の方が日本で就職する場合、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系ビザに変更するのが一般的ですが、中には「高度専門職1号」へ変更できるケースもあります。

 

留学ビザから高度専門職1号ビザへの変更を考えている方の中には、

 

「高度専門職ビザとは?」

「留学ビザとの違いは?」

「変更するには?」

 

と疑問をお持ちの方も多いでしょう。

 

この記事では、留学ビザから高度専門職1号ビザへ変更する方法について詳しく解説します。

ぜひ、最後までお読みください。

高度専門職ビザとは

ここでは、高度専門職1号ビザについて見ていきましょう。

高度専門職1号の概要

「高度専門職」とは、高い能力や資質を持つ優秀な外国人の受け入れを促進し、日本国内の活性化を目指すために創設された就労ビザの1つです。

 

受け入れの判断基準として、外国人の「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとに点数を割り当てる、高度人材ポイント制を導入しているのが大きな特徴です。

 

「高度専門職」は、以下の種類に分類されます。

種類

活動内容

備考

1号イ

高度学術研究

日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究・研究の指導、または教育をする活動が該当します。

1号ロ

高度専門・技術

日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学、または人文科学の分野に関する知識・技術を要する業務に従事する活動が該当します。

1号ハ

高度経営・管理

日本の公私の機関において、事業の経営・管理に従事する活動が該当します。

2号

ほぼすべての就労資格の活動が可能

1号として3年以上経過した外国人が対象で、

在留期限は無期限です。

留学ビザとの違い

留学ビザとの違いは、以下のとおりです。

在留資格

「留学」

「高度専門職1号」

分類

留学ビザ(学生向け)

就労ビザ(社会人向け)

在留期間

4年3カ月を超えない範囲

5年間

就労

不可(資格外活動許可を得れば、アルバイトはOK)

可能

別のビザへの変更

可能

可能

取得の難易度

普通

厳しい

 

留学ビザは、文字通り日本の教育機関(大学や専門学校)へ留学するのに必要な在留資格です。一方、高度専門職ビザは、日本で働くのに必要な就労ビザに分類されます。

高度専門職のメリット

高度専門職ビザには、以下のメリットがあります。

在留期間が5年と長い

「高度専門職1号」の在留期間は、5年間です。

 

そのほかの就労系ビザだと、申請者の状況に合わせて、1年や3年などの短い期間しか与えられないケースもあります。一方で、「高度専門職1号」は、初回からすべての申請者に一律で5年間が付与されます。

 

多くの申請者にとって、期間更新の手続きは面倒に感じるでしょう。初めから長い期間をもらえる「高度専門職1号」であれば、更新の頻度を最小限にできるため、手間も減らせます。

複合的な在留活動が可能になる

本来、在留資格は予定している活動・目的と対応しています。

 

例えば、「留学」は、日本の教育機関で勉学をするための在留資格です。日本の教育機関で日本語や学問を学ぶのを許可された資格のため、原則として就労は認められていません。

「留学」で認められている活動以外(アルバイトなど)を行うには、資格外活動許可を得るか、別の在留資格に変更するしかありません。

 

一方で「高度専門職1号」では、認められた主な活動に加えて、関連する事業の経営・研究・教育活動など複合的な活動が認められています。

永住許可の申請が緩和される

永住許可を得るには、原則として引き続き10年以上日本に在留しているのが条件の1つです。「継続して10年以上日本に住む」という要件を満たすのは、永住許可において1番の難関と言えます。

 

ところが、「高度専門職1号」であれば、10年という期間の条件が緩和されます。

 

条件緩和の対象となる方は、以下のとおりです。

  • ・高度人材ポイント70点以上:「高度専門職1号」として3年以上継続して日本に在留している
  • ・高度人材ポイント80点以上:「高度専門職1号」として1年以上継続して日本に在留している

配偶者の就労がしやすくなる

就労系ビザの配偶者は、在留資格「家族滞在」を取得するのが一般的です。「家族滞在」では、就労は認められていません。資格外活動許可を得ればアルバイト(週28時間以内)はできますが、フルタイムでは働けないのが特徴です。

 

フルタイムで働きたい場合、学歴・職歴などの要件を満たし、就労系ビザを取得しなければなりません。

 

「高度専門職1号」の配偶者は、学歴・職歴など要件を満たさなくても、在留資格「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興行」に該当する範囲であればフルタイムで働けます。

親を日本に帯同できる

ほかの就労系ビザでは親の帯同はできませんが、「高度専門職1号」では一定の条件下での親の帯同が許可されています。

 

親の帯同が許可されるケースは、以下の2パターンです。

  • ・1.高度外国人材またはその配偶者の7歳未満の子ども(養子も含む)を養育する
  • ・2.妊娠中の配偶者または妊娠中の高度外国人材本人の介助を行う

 

要件は、以下のとおりです。

  • ・世帯年収が800万円以上
  • ・高度外国人材と同居する
  • ・高度外国人材またはその配偶者のどちらかの親に限る

在留手続きが優先される

「高度専門職1号」では、入国・在留審査などの手続きが優先的に早期処理されます。

 

処理期間の目安は、以下のとおりです。

  • ・入国事前審査:申請受理から10日以内をめど
  • ・在留審査:申請受理から5日以内をめど

 

すべての申請者に対して、上記のような早期処理が必ず行われるわけではありません。

「提出書類などの詳細を確認する必要がある」と判断されると、審査に時間がかかるケースもあります。

留学ビザから高度専門職1号に変更するには

留学ビザで在留している外国人の方が日本で就職をした場合、就労が可能な適切なビザへ変更をしなければなりません。

変更するビザには、いくつかの選択肢があります。中でも、在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更が一般的です。

 

就労ビザの中では最もポピュラーな「技術・人文知識・国際業務」ですが、一定のポイントを獲得できる場合は、「留学」から「高度専門職1号」へ変更できる可能性があります。

 

ここでは、留学ビザから高度専門職1号への変更について見ていきましょう。

取得要件

「高度専門職」では、ポイント制を導入しています。

活動内容に応じて「学歴」「職歴」「年収」「年齢」「研究実績」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が70点に達するのが条件です。

 

加えて、就労後の予定年収が最低でも300万円以上はなければなりません。

 

以下で項目ごとに、詳しく見ていきましょう。

学歴

学歴に関する基準は、以下のとおりです。

在留資格

基準

点数

イ・ロ

博士号(専門職に係る学位を除く)取得者

30

イ・ロ

修士号(専門職に係る博士号を含む)取得者

20

博士号または修士号取得者

20

イ・ロ・ハ

大学を卒業または同等以上の教育を受けた者(博士号・修士号を除く)

10

イ・ロ・ハ

複数の分野において、博士号・修士号・専門職学位を複数有している者

5

 

基準となるのは、最終学歴です。

経営・管理に関する専門職学位であるMBA・MOTなどを有している方は、5点の加点がもらえます。

職歴

職歴に関する基準は、以下のとおりです。

在留資格

基準

点数

10年〜

25

10〜

20

イ・ロ

7年〜

15

7年〜

20

イ・ロ

5年〜

10

5年〜

15

イ・ロ

3年〜

5

3年〜

10

 

職歴としてカウントできる年数は、従事しようとする業務に関する実務経験でなければなりません。

年収

年収に関する基準は、在留資格の種類によって異なります。

 

「イ」「ロ」の方は、以下の年収配点表を参考にしてください。

年収配点表

〜29歳

〜34歳

〜39歳

40歳〜

1,000万

40

40

40

40

900万

35

35

35

35

800万

30

30

30

30

700万

25

25

25

なし

600万

20

20

20

なし

500万

15

15

なし

なし

400万

10

なし

なし

なし

 

「ハ」の方の基準は、以下のとおりです。

年収

点数

3,000万〜

50

2,500万〜

40

2,000万〜

30

1,500万〜

20

1,000万〜

10

 

年収としてカウントできる金額は、主たる受入機関から受ける報酬の年額です。賞与も年収に含まれます。

年齢

年齢に関する基準は、「イ」「ロ」の方のみ計算の対象です。「ハ」の方は年齢でのポイント加算がないため、注意しましょう。

基準

点数

〜29歳

15

〜34歳

10

〜39歳

5

研究実績

研究実績に関する基準は、「イ」「ロ」の方のみ計算の対象です。「ハ」の方は研究実績でのポイント加算がないため、注意しましょう。

基準

特許の発明 1件〜

20

15

入国前に公的機関からグラントを受けた研究に従事した実績 3件〜

20

15

日本の機関において利用されている学術論文データベースに登録されている学術雑誌に掲載されている論文 3本〜

(申請人が責任著者であるものに限る)

20

15

上記以外で、上記項目と同等の研究実績(著名な賞の受賞歴など)があるとアピールする場合、関係行政機関の長の意見を聴いた上で法務大臣が個別にポイントの付与の適否を判断

20

15

 

「イ」の方で上記2つ以上に当てはまる場合は、25点もらえます。

ボーナス

上記の項目以外にも、加点対象となる項目が数多くあります。

 

  • ・代表取締役または代表執行役:10点・取締役または執行役:5点 ・経営する事業に1億円以上の投資を行っている者:5点

「ハ」の方のみ対象です。

 

  • ・職務に関する日本の国家資格の保有:10点(1つ5点)

「ロ」の方のみ対象です。

 

  • ・イノベーションを促進するための支援措置を受けている機関での就労:10点

就労予定の機関が中小企業の場合は、別途10点の加点があります。

 

  • ・試験研究費等比率が3%超の中小企業での就労:5点

 

  • ・職務に関する外国の資格の保有:5点

 

  • ・日本の高等教育機関で学位を取得:10点

 

  • ・日本語能力試験N1合格またはが国の大学で日本語を専攻し卒業した者:15点

同等以上の能力を試験により認められている方も対象です。(BTJビジネス日本語能力テスト480点以上など)

 

  • ・日本語能力試験N2合格:10点

同等以上の能力を試験により認められている方も対象です。(BTJビジネス日本語能力テスト400点以上など)

日本の高等教育機関での学位・N1合格のポイントを獲得している場合は、対象外のため注意しましょう。

 

  • ・成長分野における先端的事業に従事する者:10点

法務大臣が認める事業に限ります。

 

  • ・法務大臣が告示で定める大学を卒業した者:10点

 

  • ・法務大臣が告示で定める研修を修了した者:5点

 

  • ・投資運用業などに関わる業務に従事する:10点

「ロ」「ハ」の方が対象です。

 

  • ・産業の国際競争力の強化および国際的な経済活動の拠点の形成を図るため、地方公共団体における高度人材外国人の受け入れを促進するための支援措置を受けている機関での就労:10点

ポイント事例

「高度専門職1号」は、ポイントの合計で70点以上が求められます。

 

以下の事例は、「留学」から「高度専門職1号」への変更で70点を超えるケースです。

 

  • ・学歴:20点(修士号取得者)
  • ・年齢:15点(27歳)
  • ・ボーナス1:15点(N1合格者)
  • ・ボーナス2:10点(職務に関する日本の国家資格)
  • ・ボーナス4:10点(法務大臣が告示で定める大学を卒業)

 

新卒などで「留学」から変更する場合、職歴や年収など実務経験の項目でポイントをもらえないため、学歴・年齢・ボーナス(日本語能力)などの項目でポイントを稼ぐ必要があります。

 

実務経験がなくても、上記のようにポイント合計70点以上・予定年収が300万円以上であれば「高度専門職1号」への変更申請は可能です。ただし、必ず許可されるという保証はないため、注意しましょう。

必要書類

必要書類は、以下のとおりです。

 

  • ・1.在留資格変更許可申請書 1通

 

  • ・2.写真 1葉

縦4cm×横3cm、申請前6カ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なものを用意しましょう。写真は、裏面に氏名を記載し、上記の申請書に添付します。

 

  • ・3.パスポートおよび在留カード

窓口で提示します。

 

  • ・4.日本で行おうとする活動に応じて、入管法施行規則別表第3の「教授」から「報道」まで、または「経営・管理」から「技能」までのいずれかの在留資格の項の下欄に掲げる資料

活動に応じた在留資格の提出資料が、カテゴリーにより分かれている場合は、当該カテゴリーに応じた資料を用意しましょう。

 

  • ・5.ポイント計算表 1通

活動の区分(高度専門職1号イ・ロ・ハ)に応じたいずれかの分野のものを用意しましょう。

 

  • ・6.ポイント計算表の各項目に関する疎明資料

ポイントの合計が70点以上あると確認できる資料を提出してください。該当する項目すべての疎明資料を提出する必要はありません。

 

  • ・7.手数料

許可された場合、4,000円の手数料を収入印紙で納付します。

変更にかかる期間

変更にかかる期間は、通常2週間〜1カ月です。

 

法務省のデータによると、令和5年4月〜6月の「高度専門職1号」への変更許可分で以下の日数がかかっています。

 

  • ・1号イ:31.1日
  • ・1号ロ:35.7日
  • ・1号ハ:51.6日

 

申請者の状況や申請の時期によっては、審査が長引く可能性もあります。変更申請では、現在の在留資格の期限も考慮しながら、準備を進めなければなりません。

 

スケジュールに余裕を持って、手続きを行いましょう。

高度専門職1号資格を得る際の注意点

ここでは、取得する際の注意点について見ていきましょう。

要件や審査が厳しい

「高度専門職1号」を取得できれば、さまざまなメリットを享受できます。ただし、要件や審査は、数あるビザの中でも厳しいのが特徴です。

 

特に、要件である70点以上のポイントを獲得できるかが重要視されます。

 

ポイントを得やすい人の特徴は、以下のとおりです。

 

  • ・大学・大学院(修士号・博士号)を卒業している
  • ・職歴が長い
  • ・年収が高い
  • ・年齢が若い
  • ・研究実績がある
  • ・日本語能力が高い(N1合格者)

有利に進めるなら専門的な行政書士に依頼しよう

要件や審査が厳しい点を考慮すると、ビザの専門家である行政書士に依頼をするのがおすすめです。

 

上記で解説したポイント制は、区分が細かく分けられており、複雑に感じる方も多いでしょう。

70点のボーダーラインを超えているか、自力で正確に判断するのはやや難しいと言えます。

 

加えて、各項目のポイントに対応する疎明資料を用意するのも、面倒な作業です。

 

行政書士に依頼をすれば、スムーズに準備ができるだけでなく、審査も有利に進められます。依頼の際は、実際に「高度専門職」で許可を得た経験のある行政書士を選ぶようにしましょう。

まとめ

この記事では、留学ビザから高度専門職1号ビザへの変更について解説しました。

 

「高度専門職」は、さまざまな優遇措置が受けられるビザとして注目されています。項目ごとにポイントを設け、外国人の能力を点数化して評価する仕組みを採用しているのが大きな特徴です。

 

取得のメリットが多い分、難易度も高いとされています。特に、70点以上のポイントを獲得できるかが重要です。

 

より確実に取得したい方は、行政書士などのビザの専門家に依頼するのをおすすめします。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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