退職をすると企業内転勤ビザはどうなる?退職時の注意点と日本に在留するためにすべきこと
企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)で日本に滞在している外国人が退職した場合、「このまま日本にいられるのか」「転職できるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
企業内転勤ビザは、同一企業グループ内での転勤を前提とした在留資格のため、退職や転職をすると資格が無効になるため注意が必要です。
本コラムでは、退職後に企業内転勤ビザがどうなるのか、必要な手続きや在留を続けるためのポイントを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
企業内転勤ビザで退職したらどうなる?
ここでは、企業内転勤ビザの基本や退職をした場合どうなるかについて解説します。
企業内転勤ビザが有効なのは「同一グループ企業」内のみ
企業内転勤ビザが適用されるのは、親会社・子会社・関連会社などの同一グループ内での転勤者のみです。この範囲を超えて別の企業に転職した場合、在留資格の根拠である「企業内での転勤」という条件を満たさなくなるため、資格が無効になります。
グループ会社への異動であっても、企業間の関係が入管上で認められない場合は、企業内転勤ビザのまま働くことはできません。もし、企業内転勤ビザが認められなかった場合、「在留資格変更許可申請」を行い、新しい業務内容に適したビザへの切り替えが必要になります。
退職後も在留期間が残っていても安心できない理由
企業内転勤ビザは「特定の企業で勤務していること」を前提に与えられる在留資格です。そのため、在留期間が残っていたとしても、退職をしてしまった場合は日本に滞在することはできません。
特に退職後に入管への届出を行わないままでいると、次のようなリスクがあります。
- 「活動実態がない」と判断され、在留資格が取り消される
- 次回のビザ申請・更新で不利になる
- 不法残留と見なされる可能性がある
また、退職後無職期間が3か月以上続くと資格取消の対象になることがあるため、注意が必要です。
在留カードの期限が残っている場合でも安心せず、早めに次の在留資格の変更手続きを進めましょう。
転職しても企業内転勤ビザのまま働けるケースは?
例外的に、同一グループ企業内での異動(親会社⇔子会社など)であれば、企業内転勤ビザのまま勤務を継続できる可能性があります。この場合、入管では企業間の関係性が「グループ会社」として認められるかが重要なポイントです。
入管に提出を求められる主な資料には以下のようなものがあります。
- 会社間の関係を示す登記事項証明書
- 親子関係・出資関係を証明する文書
- 異動命令書や社内決裁書など
ただし、雇用契約の形式が変わる場合や、グループ関係が曖昧な場合は注意が必要です。入管の判断によっては、在留資格変更を求められることもあるため注意しましょう。不安がある場合は、事前に専門家や入管へ相談することをおすすめします。
退職・転職時に必要な手続き
退職後は、入管への届出や在留資格変更の申請など、複数の手続きを期限内に行う必要があります。ここでは、退職や転職時に必要手続きと書類について解説します。
在留資格変更許可申請の流れと必要書類
企業内転勤ビザを持つ外国人が別の企業に転職する場合は、新しい職務内容に合った在留資格への変更が必要です。
多くのケースでは、「技術・人文知識・国際業務」への変更が一般的です。
【申請の流れ】
- 転職先から内定をもらう
- 必要書類を準備
- 管轄の出入国在留管理局に申請
- 約2週間~1か月の審査
- 許可後に転職先で勤務開始
【主な必要書類】
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート・在留カード
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 転職先企業の概要資料(登記事項証明書・決算書など)
- 学歴・職歴証明書
※許可が下りる前に働くと「資格外活動」となり、罰則の対象になります。
退職・再就職時の入管への届出義務
退職後は、14日以内に「所属機関等に関する届出」を入管へ提出する必要があります。
この届出を怠ると、20万円以下の罰金や次回のビザ手続きで不利になる可能性があります。
【退職時の本人届出】
- 提出先:居住地を管轄する出入国在留管理局
- 提出期限:退職日から14日以内
- 提出方法:窓口または郵送
【企業側の届出】
雇用していた企業も、退職から14日以内に「受入れに関する届出」を提出する義務があります。
また、再就職が決まった場合も同様に、新しい勤務先情報を「所属機関等に関する届出」で再提出します。本人と企業の両方が正しいタイミングで届出を行うことで、ビザ関連のトラブルを防ぐことができます。
退職後に気をつけるべきポイント
退職後の過ごし方や手続き次第では、在留資格の取り消しや将来のビザ審査への悪影響が生じる可能性があります。
特に注意すべきは「無職期間が長く続くこと」と「資格外活動(アルバイトなど)」です。これらは入管法上の違反につながるおそれがあるため、慎重な行動が求められます。
無職期間は3か月以内を目安に
企業内転勤ビザを含む就労ビザは、「働く活動を継続していること」を前提に許可されています。
そのため、退職後に3か月以上無職の状態が続くと、入管法に基づき「在留資格取消し」の対象となることがあります。
一方、次に該当する場合は「正当な理由」として3か月を超えても認められるケースもあります。
- 転職活動を行っている
- 内定が決まっており、入社待ちの状態
- 病気やケガなどで一時的に就労が困難
いずれにしてもできる限り早く転職先を確保し、在留資格変更許可申請を行うことが重要です。退職前から転職活動を始めておくことで、無職期間を短縮し、ビザ取消リスクを避けることができます。
資格外活動(アルバイトなど)に注意
退職後にアルバイトやパートタイムで収入を得ようとするケースもありますが、原則としてこれは資格外活動に該当します。就労ビザ保持者が許可なく他の仕事を行うと、「資格外活動違反」となり、将来の在留資格更新・変更の審査に悪影響を及ぼすおそれがあります。
一時的に働きたい場合は、「資格外活動許可」を申請する必要がありますが、退職直後や転職準備中の立場では、許可が下りにくいのが実情です。
また、資格外活動違反が認定されると、以下のようなリスクがあります。
- 在留資格の取り消し
- 強制退去処分
- 再入国時の審査で不利になる
そのため、退職後の収入確保を目的に働く場合は、必ず入管や専門家に相談した上で慎重に判断することが大切です。
日本に在留を続けるためのポイント
ここでは、企業内転勤ビザを持つ方が日本に在留を続けるためのポイントを解説します。
退職前に転職先と在留資格を確認する
退職を決める前に、まず転職先の職務内容が現在の在留資格の範囲に含まれるかを確認しましょう。
企業内転勤ビザは「同一企業グループ内での転勤」を前提としているため、会社が変わると資格が無効になります。そのため、退職前に転職先の内定を得て、在留資格変更許可申請を行う準備を進めることが理想的です。
また、入管審査には通常2週間~1か月、場合によってはそれ以上かかることもあります。
審査期間を見越して、退職日と入社日を余裕を持って設定することで、無職期間を最小限に抑えることができます。
在留資格変更は「タイミング」と「書類の正確さ」が重要
在留資格変更許可申請は、転職先が決まった時点でできるだけ早く行うことがポイントです。
申請が遅れると、就労開始日やビザの切り替えに支障が出ることがあります。
申請時には、以下のような書類の整備が必要です。
- 在留資格変更許可申請書
- 雇用契約書(労働条件を明示したもの)
- 転職先企業の概要資料(登記事項証明書・決算書など)
- 学歴・職歴を証明する書類
これらの書類に不備があると、審査が長期化したり、不許可となるリスクもあります。
専門家に事前確認を依頼することで、手続きの確実性を高めることができます。
専門家に相談しながら進めるのが安心
企業内転勤ビザから他の就労ビザへの変更は、書類の要件や入管の判断が複雑になることがあります。とくに、グループ会社との関係性や職務内容の範囲など、解釈が分かれるケースでは、自己判断で進めるとリスクが高まります。
そのため、外国人雇用や在留資格に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家に依頼することで、書類の不備や提出期限の遅れを防ぎ、スムーズに資格変更を行うことができます。不安な点は早めに相談し、退職から転職、在留継続まで一連の流れを確実に進めましょう。
まとめ
企業内転勤ビザを持つ外国人が退職した場合、そのまま日本で働き続けることはできません。別の企業に転職する際は、在留資格変更許可申請を行い、退職・再就職の届出を期限内に行うことが必要です。
また、退職後3か月以上無職の状態が続くと、在留資格の取り消しリスクがあるため、できる限り在職中から転職活動を進めておくことが望ましいでしょう。
企業内転勤ビザの変更や退職後の在留手続きは、申請書類の準備や判断基準が複雑で、個人で対応するのは難しい場合もあります。そうしたときは、外国人の在留資格や雇用手続きに詳しい専門家へ早めに相談することが安心です。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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