興行ビザ申請の必要書類とは?申請時の注意点も専門行政書士が解説
海外からアーティストやパフォーマーを日本に招いてイベントやコンサート、舞台公演などを行う際に欠かせないのが「興行ビザ(在留資格:興行)」です。
しかし、いざ申請を進めようとすると、「必要書類が多くて複雑」「契約書の内容で不許可になるって本当?」「施設の図面まで必要なの?」など、戸惑う声も少なくありません。特に、初めてビザを扱う方や、個人で手続きを行う主催者にとっては、準備に時間がかかり、内容に不備があればイベント自体が延期・中止になるリスクもあります。
本記事では、これから興行ビザの申請を予定されている方に向けて、必要書類をわかりやすくご紹介します。また、申請時によくあるミスや注意点、全体の流れについても、詳しく解説しますので、ぜひご活用ください。
興行ビザとは?どんな活動が対象になるのか
興行ビザとは何か、どのような活動が対象になるのか、そして申請の際に意識すべきビザの区分について、順を追って見ていきましょう。
興行ビザの定義と概要
興行ビザ(在留資格「興行」)とは、日本国内で報酬を得ながら演芸・芸能・スポーツなどの分野で活動を行うために、外国人に付与される在留資格です。
法務省の定義では、「演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興行に係る活動」や、それらに「直接関係する活動に従事するための在留資格」とされています。つまり、ステージに立つ出演者はもちろん、照明や演出に携わる技術スタッフ、マネージャーなどの裏方も対象となることがあります。
重要なのは「報酬を伴う活動」であること。たとえば、アマチュアの交流イベントで無償出演する場合は不要なケースもありますが、プロによるイベントや商業目的の公演には、興行ビザが原則必要となります。
対象となる職種・活動の具体例
興行ビザの対象となる活動は多岐にわたります。代表的な職種・活動例を以下にまとめます。
- 海外アーティストによるライブコンサートやフェス出演
- 外国人俳優による演劇や映画、テレビ番組への出演
- ダンサー・舞踏家のステージパフォーマンス
- モデル活動(ファッションショー、雑誌撮影 など)
- 格闘技、サッカーなどのスポーツ選手の来日試合・大会出場
- サーカス、曲芸、伝統芸能の公演
- 上記出演者に同行するマネージャー、通訳、舞台スタッフなど
一見、舞台に立つ人物だけが対象のように見えますが、その活動を成り立たせるために必要なスタッフも「直接関係する活動」であれば対象になる点は、申請を行う側にとって大きなポイントです。
3つのカテゴリー(1号・2号・3号)の違い
興行ビザには、活動内容や興行形態によって大きく3つの区分があります。これを理解しておくことで、自分のケースにどの区分が該当するかを正確に判断でき、必要書類の内容も変わってきます。
興行ビザ「1号」
もっとも件数が多いのが「興行ビザ1号」です。これはさらに細かく「1号イ」と「1号ロ・ハ・ニ・ホ」に分かれます。
- 1号イ:テレビ・映画・ラジオ・CMなどの出演(いわゆる「メディア出演」)
- 1号ロ~ホ:舞台やコンサート、飲食店等での興行活動(ライブやショー等)
特に「1号ホ」は、ナイトクラブやキャバレー、風営法に関係する飲食施設での公演に該当します。審査が厳しいため、注意が必要です。
興行ビザ「2号」
スポーツ選手や審判、トレーナーなどがスポーツ活動のために来日する場合に使われます。たとえば、外国人プロレスラーの来日試合や、外国籍選手のトライアウト参加などが該当します。
興行ビザ「3号」
1号または2号の活動に「直接従事する者」が対象です。具体的には、マネージャーや通訳、ヘアメイク、技術スタッフなどが含まれます。
このように、ビザの種類は活動内容と役割によって分かれているため、誰がどの区分で申請するのかを事前にしっかり確認することが重要です。
興行ビザ申請の必要書類
ここからは、興行ビザを申請する際に求められる具体的な書類について、6つのカテゴリに分けて詳しく見ていきます。
1. 共通して必要な基本書類
どの申請者でも共通して求められる基本書類です。万が一、申請時に書類不備があると受理自体がされません。たとえば、写真サイズの間違いや背景の有無などで差し戻しになるケースもあるため、細かなルールも必ず確認しましょう。
- 在留資格認定証明書交付申請書(法務省指定の様式)
- 顔写真(縦4cm×横3cm、無帽・無背景、6か月以内に撮影されたもの)
- 返信用封筒(申請結果を受け取るため)
- パスポートのコピー
2. 申請人に関する書類
申請人(出演者本人など)に関する書類は、その人がどんなキャリアを持ち、どのような内容の活動を日本で行うのかを証明するために必要です。
- 履歴書・経歴書:過去の出演歴や活動内容が記載されていること。実績や専門性をアピールできるものが望ましい。
- 契約書の写し:主催者との契約内容(期間・報酬・出演内容など)を明記したもの。
- 出演承諾書・依頼書:公演や活動への正式な依頼を証明する文書。
- 過去の実績資料(チラシ・パンフレット・動画リンクなど):芸能・スポーツ分野で活動していた証拠として有効。
3. 契約機関に関する書類
招聘元(興行主や事務所、主催団体など)の実態を証明するための書類です。これらは「信用できる受け入れ先であるか」が問われるポイントになります。信頼性や経営状況が問われるため、法人・個人どちらの場合も慎重に用意しましょう。
- 登記事項証明書(登記簿謄本):発行日から3か月以内のものが必要です。
- 決算書(貸借対照表・損益計算書など)
- 営業実績を示す資料:過去のイベント実績などを含めて提出することで信用性が高まります。
- 社員名簿や管理体制の説明資料:興行を適切に管理する能力があるかを示す書類です。
4. 興行施設に関する書類
実際に興行が行われる施設についても、適正性を確認されます。施設の規模や用途に応じて以下のような資料が必要です。特に、風営法に関わる施設(ナイトクラブなど)での公演は審査が厳しくなる傾向があるため、詳細な資料が求められます。
- 施設の使用承諾書・契約書(会場から発行)
- 営業許可証(必要な場合)
- 施設の図面・座席表・写真
- スケジュール表(イベント日程が分かるもの)
5. 興行に関する契約関係書類
契約関係書類は、イベント・公演そのものがどういった形で行われるか、そして誰がどのように関わっているのかを示すために必要です。「正当な契約が結ばれた上での活動」であることを明確にするためにも必ず用意しましょう。
- 出演契約書・業務委託契約書
- 契約関係図(招へい機関と出演者の関係が分かる図)
- 報酬額・支払い条件の明記
- プロモーション資料や広告素材(イベント概要を説明するもの)
6. 補足・任意資料(提出が望ましいもの)
法務省・入管では必須とは明記していないものの、申請の信頼性を高めるうえで提出が望ましい書類がいくつかあります。不許可のリスクを下げたい場合や、初回申請で不安がある方は、下記の補足資料を積極的に用意しましょう。
- 滞在スケジュール表(公演や移動日程の詳細)
- プロフィール冊子・出演実績をまとめた資料
- 反社会的勢力との無関係を証明する申立書
- 渡航時の健康状態に関する書類(必要な場合)
興行ビザ申請でよくある注意点
「書類を一通り揃えれば、あとは提出するだけ」と考えがちですが、実は興行ビザの審査では、細かな不備や申請内容の整合性が原因で不許可となるケースも少なくありません。
とくに初めて申請する方や、過去に別のビザで経験がある方こそ、「興行ビザ特有の注意点」に見落としがある傾向にあります。ここでは、事前に念頭におくべき注意点を解説します。
書類不備による申請遅延のリスク
最も多いトラブルが、基本的な書類の不備です。たとえば以下のようなケースが多く見受けられます。
- 写真サイズの間違い(背景付きやサイズ違い)
- 登記事項証明書が古く、発行日から3ヶ月を超えている
- 契約書や依頼書に抜け漏れがある(署名・押印・日付なし など)
- 添付ファイルの不備(PDFが破損している、印刷に適さない など)
これらの不備により、申請が一旦差し戻されたり、補完書類の提出を求められることで、審査期間が予定よりも長引いてしまうリスクがあります。特にイベントの日程が迫っている場合には、開催スケジュールに影響するなど致命的な状況につながりかねません。
契約内容と招へい機関の一致が必要
申請書類のなかでも、契約関係は審査の中心となる部分です。そこでしばしば起こるのが、契約書に記載された団体(契約主体)と、申請時に登録された招へい機関の不一致です。
たとえば、イベントの企画会社が契約書の主体となっていて、実際の申請は別法人が行っているようなケースでは、「契約と申請が一致していない」と判断されるおそれがあります。
このような場合、追加で「委任状」や「業務委託契約書」を補足資料として提出することで解消できることもありますが、最初から契約関係を整理し、登場人物(法人)の整理と役割を明確にしておくことが重要です。
報酬額の明記が必須
書類には報酬額の明記が必須となっています。特に「1号ホ」(風俗営業関係施設での興行)では、報酬額の基準を満たしていないと不許可になるリスクが高い点に注意が必要です。
具体的には、法務省が定める「出演者1人あたり、1興行あたり50,000円以上(例)」という基準を満たしていない場合、契約の正当性が疑われ、申請が却下される可能性があります。
また、「報酬額は応相談」や「未定」といった曖昧な記載もNGです。契約書には、金額・支払い条件・日数を明確に記載しなければなりません。
飲食施設での公演は要注意
ナイトクラブ、キャバレー、ホストクラブなど、いわゆる風営法に関わる施設での出演は、申請審査が非常に厳しくなります。
なぜなら、これらの施設では、ビザ取得を悪用した不法就労や不正興行が過去に多数発覚している背景があるため、行政側も慎重に審査を行っているためです。そのため、施設の営業許可証の提示や、出演内容が風俗営業に該当しないことを示す必要があります。
また、飲食店でのイベント開催があっても、「観覧目的が主か、飲食提供が主か」によって審査の見解が分かれるため、施設使用の趣旨説明や営業形態の資料をしっかり添えることが求められます。
興行ビザ申請のステップ
興行ビザの取得には、単に書類を提出するだけでなく、複数の段階を踏んだプロセスが必要です。とくに初めての申請では、どこから手を付ければよいのか戸惑うことも多いでしょう。
ここでは、申請前の準備段階から、在留資格認定証明書(COE)の取得、そして実際に来日するまでの流れを解説します。
ステップ1.申請前の準備
申請の第一歩は、出演者・主催者・施設など関係者間での準備と確認です。具体的には以下のような手順を踏みます。
- ・出演内容・スケジュール・報酬・施設の選定と合意
- ・招へい機関(日本側の主催者)が決定
- ・契約書の作成・署名・押印
- ・必要書類リストの確認と収集
- ・申請者側(出演者本人)のパスポートや経歴の準備
この時点で、活動内容が興行ビザに該当するか、1号・2号・3号のどれに当てはまるかを明確にしておくことが重要です。また、イベント開催日から逆算して、最低でも2~3か月前には準備を開始するのが望ましいです。
在留資格認定証明書(COE)取得の流れ
本格的な申請手続きは、在留資格認定証明書(COE)の申請から始まります。COEは、外国人が日本で活動するために必要な「入国の許可証」のようなもので、これがないとビザ発給ができません。
- 日本の主催者が、地方出入国在留管理局へCOEを申請
- 必要書類をすべて添付して提出
- 通常は1~2か月前後で審査結果が通知される
- 許可されると、COE(書面またはPDF)が発行される
注意点としては、書類不備や内容の矛盾で補足資料を求められると、審査が長引く場合があるため、初回から丁寧に準備することが大切です。
在外公館でのビザ取得と来日までの段取り
COEを取得した後は、出演者本人が自国または居住国の日本大使館・領事館(在外公館)でビザ申請を行います。
- COE、パスポート、ビザ申請書などを持参し、在外公館で申請する
- 通常、数日~1週間程度でビザが発給される
- ビザ発給後、フライトを手配して来日する
来日前には、スケジュールに沿って滞在先・送迎・通訳体制の準備も必要です。とくに短期滞在(90日以内)の場合や複数都市での公演がある場合には、移動計画についても詳細にまとめておきましょう。
興行ビザを成功させるためのポイント
興行ビザ申請を成功させるには、単に書類を揃えるだけでなく、いくつかのポイントがあります。ここでは、審査通過の確率を高めるために、事前に押さえておくべきポイントを3つ解説します。
最新の申請要件・基準に注意する
興行ビザに関する申請基準は、法務省や入国管理局の運用方針により、定期的に変更されることがあります。特に近年では、コロナ禍に伴う渡航制限や水際対策の影響で、提出書類の内容や審査の基準が一時的に変更されたケースも見られました。
そのため、「数年前に取ったときはこうだったから」と古い情報を基に準備してしまうと、現在の基準と合っておらず不受理や差し戻しになる危険性があります。
申請前には、法務省公式サイトや専門家の最新情報を必ず確認し、今年度の運用方針に即した資料を用意するよう心がけましょう。
施設・契約・報酬の「三位一体」設計が合否を左右する
興行ビザの審査で特に重要視されるのが、「施設の適正性」「契約内容の妥当性」「報酬の明確性」が三位一体となって整っているかどうかです。
以下のような一貫性が求められます。
- ・契約書に明記された報酬と、主催者の支払い能力(決算資料など)の整合性
- ・使用施設の営業形態と、出演内容が合致しているか
- ・招へい機関と契約機関が一致し、報酬の支払い責任が明確であること
一つでもズレがあると、「虚偽申請の疑い」や「実態不明」とみなされ、審査官からの信頼性が損なわれる要因となります。すべての要素をリンクさせながら、整合性のある申請設計を行いましょう。
信頼できる専門家に相談する
興行ビザの申請は、特に法人間の契約関係が複雑だったり、出演者が多数いる場合に、書類の量・種類が非常に多くなりがちです。さらに、ケースごとの例外対応や特殊な判断も必要とされる場面があり、自己判断だけで対応するのはリスクが大きいといえます。
そこでおすすめなのが、ビザ取得に精通した行政書士など専門家に相談することです。
<専門家に相談するメリット>
- ・最新の審査傾向や実務経験に基づいたアドバイスが得られる
- ・書類作成や収集のサポートをしてもらえる
- ・審査機関とのやりとりを代行してもらえる場合もある
申請時やその後のトラブルを未然に防ぐためにも、専門家の力を借りることが、ビザ成功の近道といえるでしょう。
まとめ
興行ビザの申請には、単なる必要書類の準備だけでなく、契約内容や施設との整合性、報酬の適正性など、さまざまな角度からの整った申請設計が求められます。
スケジュールや費用がかかる公演・イベントにおいて、申請の遅延や不許可は大きな損失につながりかねません。そうした事態を防ぐためも、経験と実績のある専門家に相談することをおすすめします。
さむらい行政書士法人では、豊富なビザ申請支援の実績と最新の法令知識をもとに、興行ビザ取得に向けた万全のサポートを行っています。安心してイベントを開催するためにも、ぜひ一度ご相談ください。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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