内定待機に際して必要となる「特定活動ビザ」について解説!
外国人が企業から内定をもらった後、入社までにどのようなビザが必要なのか、どのような手続きが必要なのか、詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。大学に在籍している方、すでに卒業して就職活動をしている方のどちらも、内定待機のための特定活動ビザを取得しなければなりません。
今回は、特定活動ビザの概要を紹介した上で、取得要件や必要書類・審査期間などを解説します。さらに、特定活動ビザを取得後の注意点についても詳しく紹介するので、内定をもらった外国の方や、企業の採用担当の方はぜひ参考にしてください。
内定待機に必要な在留資格「特定活動ビザ」とは
企業から内定をもらった外国人は、在留資格「特定活動ビザ」への変更申請が必要です。なぜ変更が必要かというと、もともと取得していた在留資格で許可されている活動内容と、内定待機として在留する期間中の活動内容が異なってくるためです。
内定待機のための「特定活動ビザ」の対象者は、以下となっています。
・「留学」の在留資格で在留されている方
・継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留されている方
※参考:出入国在留管理庁「大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ」
対象となる外国の方は、速やかに在留資格の変更手続きを行いましょう。
内定待機時に必要な「特定活動ビザ」の取得要件
内定待機のために特定活動ビザを取得する際は、主に以下の要件を満たしている必要があります。
・本邦の教育機関を卒業したこと又は教育機関の課程を修了したこと
・内定後1年以内であって、かつ、卒業後1年6ヵ月以内に採用されること
・企業等において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」等就労に係るいずれかの在留資格への変更が見込まれること
・内定者の在留状況に問題がないこと
・内定者と一定期間ごとに連絡をとること、内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡することについて内定先の企業が誓約すること
※参考:出入国在留管理庁「大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ」
上記の中でもポイントとなるのは、内定後1年以内での変更申請であることに加え、学校を卒業して1年6ヵ月以内に採用されることです。仮に、1年以上の就職活動をしていた外国人が、8ヵ月後に採用される場合は、この在留資格の取得要件に当てはまりません。
また、規定されている就労ビザのうち、いずれかの在留資格の取得が見込まれることもポイントです。「技術・人文知識・国際業務」「介護」「教育」など、就労ビザの種類は複数ありますが、基本的に警備業務や配送業務に従事できる就労ビザはないので注意しておきましょう。
内定者が取得する「特定活動ビザ」の必要書類・審査期間
次に、内定者が取得する特定活動ビザの必要書類や審査期間を確認しましょう。
必要書類
内定者が特定活動ビザへ在留資格を変更する際は、以下の書類が必要となります。
1.在留資格変更許可申請書
2.写真
3.パスポート及び在留カード(提示用)
4.申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書
5.内定した企業で働くにあたり、就労ビザへの変更申請に必要な資料
以下の項目が記載された文書を用意する。
(1)内定した企業名
(2)主たる勤務場所(支店・事業所名および所在地、電話番号)
※ 派遣契約に基づく就労を予定している場合は、派遣先の勤務場所についても記載願います。
(3)事業内容
(4)給与(報酬)額
(5)職務内容
6.内定した事実、及び内定日を確認できる資料
7.連絡義務等の遵守が記載された誓約書
8.採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(該当する活動がある場合に限る。)
※参考:出入国在留管理庁「大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を希望する場合」
上記のうち、4の「支弁能力を証する文書」としては、銀行の残高証明や通帳のコピーなどが該当します。また、7の誓約書とは、内定先企業と外国人が定期的に連絡を取ることや、内定取り消しの場合は出入国在留管理庁へすぐに連絡することなどが記された書類のことです。
特定活動ビザの申請に際しては、これらの必要書類を漏れなく準備する必要があります。
審査期間
出入国在留管理庁の「在留審査処理期間(日数)」(令和5年4月~6月許可分)によると、特定活動ビザへの変更申請が許可されるまでの平均日数は36.9日となっています。
ただし、あくまで平均日数であるため、申請する時期や内容によってはさらに多くの期間を要する可能性もあります。
内定待機のための「特定活動ビザ」を取得した後の注意点
続いて、内定待機のための特定活動ビザを取得後、気を付けたい注意点について紹介します。
アルバイト・インターンシップで報酬を受ける際は「資格外活動許可」が必要
特定活動ビザを取得した外国人がアルバイトに従事したり、報酬のあるインターンシップ活動に参加したりする際は、「資格外活動許可」を受ける必要があります。
以下の項目では、2種類の資格外活動許可について詳しく見ていきましょう。
包括許可
1週につき28時間以内で稼働する場合は、「包括許可」を受ける必要があります。外国人が在籍している教育機関が長期休業中の場合、1日の活動は8時間以内となります。包括許可を申請する際は、「資格外活動許可申請書」の提出のみで問題ありません。
なお、アルバイト従事のために包括許可をすでに受けていたような場合、インターンシップの参加に向けて改めて許可を受ける必要はないとされています。
個別許可
1週につき28時間を超えて稼働する場合は、「個別許可」を受ける必要があります。インターンシップを目的に個別許可を受ける場合、9割以上の単位を取得している大学4年生、もしくは修士2年生、博士3年生などが主な対象と想定されています。
個別許可の申請に際しては、前述の「資格外活動許可申請書」のほか、以下のような書類が必要となります。
【インターンシップの場合】
・活動予定機関が作成した資格外活動について証明する文書、または活動予定機関との契約書
・大学生・大学院生の方は、在学する大学からの在学証明書
・成績証明書等
【アルバイトの場合】
・活動内容や活動時間,報酬等について説明する文書(任意様式)
※参考:出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
上記のとおり、インターンシップとアルバイトのどちらで個別許可を取得するかで必要書類も変わるので留意しておきましょう。
入社日までに対象の在留資格へ変更する
内定待機の特定活動ビザは、実際に就労するまでの在留活動を認められる資格です。そのため、内定先企業の入社日までには、就労先の業務内容に見合った在留資格を改めて取得しておく必要があります。
もし在留資格の変更が入社日までに間に合わなかった場合は働くことができません。特定活動ビザのまま働いてしまうと、在留資格を取り消されるおそれもあるので絶対にやめましょう。入社日までの在留資格変更が間に合うように、3ヵ月ほど前より変更申請手続きをスタートすることをおすすめします。
まとめ
留学生、および就職活動中の外国人が内定をもらった際は、内定待機のための特定活動ビザへの変更手続きが必要です。取得要件が規定されているほか、必要書類も細かく指定されているので、しっかりと確認したうえで在留資格の変更申請を行いましょう。
「自身が取得要件に当てはまるか分からない」「必要書類を準備する時間がない」という方は、さむらい行政書士法人までご相談ください。当事務所ではオンライン相談を実施しているほか、在留資格変更に関するさまざまなサポートも行っています。
特定活動ビザを取得した後、実際に就労ビザへ切り替える際のお手伝いも可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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