就労ビザの更新に納税証明書は必要?発行方法や発行に必要な書類についても解説
就労ビザを更新するにあたり、「納税証明書は必要なの?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、就労ビザの更新に納税証明書は必須です。また、納税証明書はきちんとした手順を踏めば税務署で発行してもらえます。
この記事では、就労ビザの更新で必要な納税証明書の概要や発行方法、チェックポイント、その他の必要書類について解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
就労ビザの更新に納税証明書は必要?
就労ビザを更新する際の審査では、納税状況などの素行も含めて総合的に評価されるため、納税証明書が必要となります。出入国在留管理庁のガイドラインによると、以下のように規定されています。
7 納税義務を履行していること
納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
※参考:出入国在留管理庁「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(令和2年2月改正)」
上記のとおり、納税は在留する外国人が果たすべき義務として定められているのです。例えば、納税義務を怠ったために刑に処された場合は、納税されていないと判断されて就労ビザの更新ができない可能性もあります。
納税証明書の発行方法と必要書類
納税証明書を発行する際は、オンライン上で手続きする方法と、書面を使って手続きする方法の2つのパターンがあります。オンラインでの手続きが可能であれば、窓口の待ち時間を短縮できるメリットがあります。
また、書面で発行する場合は、税務署の窓口で手続きする方法、もしくは郵送で手続きする方法のどちらかを選べます。
オンラインと書面、それぞれの手続きで必要な書類を以下に示します。
【オンラインで手続きして納税証明書を発行する際の必要書類】
1.オンラインで交付請求して税務署の窓口で納税証明書を受け取る場合
(1) 本人確認書類(個人番号カード又は運転免許証など)
(2) 番号確認書類(個人番号カード又は通知カードなど)
(3) 手数料の金額に相当する収入印紙または現金
※本人確認書類の種類によって、1枚の提示で足りるものと2枚の提示が必要なものに分かれます。
2.オンラインで請求して納税証明書を郵送で受け取る場合(電子証明書等が必要です。)
・電子署名を付与し、電子証明書を添付してe-taxで交付請求を行うことで、書面の納税証明書を郵送で受け取ることができます。
【書面で手続きして納税証明書を発行する際の必要書類】
1.郵送で納税証明書交付請求書を送付する場合
(1)必要事項を記載した納税証明書交付請求書
(2)手数料の金額に相当する収入印紙
(3)所要の切手を貼った返信用封筒
(4)番号確認書類の写し及び本人確認書類の写し
2.税務署の窓口に納税証明書交付請求書を提出して交付請求する場合
(1)必要事項を記載した納税証明書交付請求書
(2)手数料の金額に相当する収入印紙又は現金
(3)本人確認書類及び番号確認書類
納税証明書を発行する際は、手続き方法によって必要書類が異なるので注意しましょう。
納税証明書はいつの分の提出が必要?
納税証明書を提出する際は、「直近一年分(前年)」の証明書を用意しておかなければなりません。このとき留意しておきたいのは、一般的に「年度」は4月1日~翌年3月31日までを1つの区切りとしている点です。
そのため、令和6年(2024年)の3月31日までは「令和5年度」、4月1日以降は「令和6年度」という扱いになります。例えば、令和6年の8月に納税証明書を用意する場合は、令和6年度の納税証明書ではなく、令和5年度の納税証明書を用意する必要があります。
これは令和6年度の納税証明書は、「令和5年(2023年)1月1日~12月31日」における所得に基づいて作成されており、まだ納税を終えていないためです。直近一年分である令和5年度の納税証明書であれば、納税を終えているため、就労ビザ更新の必要書類として不備がありません。
就労ビザにおける納税証明書の3つのチェックポイント
次に、就労ビザの更新前に納税証明書を用意する際にチェックしておきたい3つのポイントについて解説します。
税金を滞納・遅延していないか
納税証明書は、基本的に納税義務を果たしていることを証明するための書類です。そのため、税金の滞納もしくは納税遅延している場合は、未納税者として扱われるため就労ビザの更新で不利になる恐れがあります。
仮に滞納などで何らかの刑に処されていない場合であっても、高額な税額の滞納や、長期間の納税遅延が発覚してしまうと、納税義務を怠っていると判断されてしまうので要注意です。
適切な住所となっているか
納税証明書の請求先は、現在住んでいる住所を所轄する税務署です。オンラインによる請求と書面による請求のどちらの方法であっても、請求先の税務署の条件は変わらないため、もしも住所変更などの手続きを終えていない場合は早急な対応が必須といえます。
例えば、前に住んでいた住所と異なる市区町村へ引っ越す場合は、「転出届」や「転入届」といった書類を提出しなければなりません。転入届は、転居してから原則14日以内に手続きを終えておく必要があるので注意しましょう。
資格外活動許可を持つ場合は納税額が範囲内であるか
資格外活動許可を持って就労している場合は、納税額が範囲内に収まっているかという点に気を付けなければなりません。就労ビザは16種類ありますが、それぞれの就労ビザで許可されている活動内容は基本的に異なります。
現在取得している就労ビザ以外の活動に従事する場合は、資格外活動許可を受ける必要があります。しかし、納税額が著しく多い場合などは、本来取得している就労ビザと、資格外活動許可で許可された活動以外に、別の就労活動を行っていると判断される恐れもあるので気を付けましょう。
納税証明書以外で就労ビザの更新に必要な書類
ここからは、納税証明書以外で就労ビザの更新に必要な書類について、「技術・人文知識・国際業務ビザ」を例に紹介します。なお、共通で用意する書類と、受入れ機関のカテゴリー1~4に応じて準備しなければならない書類があるので注意が必要です。
【所属機関の利用申出に係るカテゴリー】
カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 |
---|---|---|---|
次のいずれかに該当する機関 (1)日本の証券取引所に上場している企業 (2)保険業を営む相互会社 (3)日本又は外国の国・地方公共団体 (4)独立行政法人 (5)特殊法人・認可法人 (6)日本の国・地方公共団体認可の公益法人 (7)法人税法別表第1に掲げる公共法人 (8)高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業) (9)一定の条件を満たす企業等 | 次のいずれかに該当する機関 (1)前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人 (2)在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関(カテゴリー1及び4の機関を除く。) | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) | 左のいずれにも該当しない団体・個人 |
※参考:出入国在留管理庁「所属機関の利用申出に係るカテゴリー」
【共通書類】
・在留資格変更許可申請書
・写真
・パスポート及び在留カード
【カテゴリー1の該当機関】
・四季報の写し、または日本の証券取引所への上場を証明する文書(写し)
・主務官庁からの設立許可を証明する文書(写し)
・イノベーション創出企業であることを証明する文書(例:補助金交付決定通知書の写し)
・各省庁が規定する「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例:認定証等の写し)
【カテゴリー2の該当機関】
・前年分の職員給与所得に関する源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を証明する文書(例:お知らせメール等)
【カテゴリー3の該当機関】
・前年分の職員給与所得に関する源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
【カテゴリー3・4の該当機関】
・申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
1.労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書
2.日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
3.外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
1.申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書
2.学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書
a.大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。)
b.在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。)
c.IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
※ 共通書類の「専門士、または高度専門士であることを証明する文書」を提出している場合は不要
d.外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書
・登記事項証明書
・事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
1.勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書
2.その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書
・直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書
【カテゴリー4の該当機関】
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
1.源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
2.上記1を除く機関の場合
a.給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
b.次のいずれかの資料
(ア) 直近3ヵ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)
(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
※参考:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
上記のとおり、技術・人文知識・国際業務ビザの更新には多くの書類を用意しなければなりません。技術・人文知識・国際業務ビザの詳細については、こちらを参考にしてみてください。
まとめ
就労ビザの更新では、納税証明書を用意しておく必要があります。ただし、原則として納税を証明するための証明書であるため、納税遅延・未納などの状態である場合は、就労ビザの更新が不許可になってしまう恐れもあります。
また、納税証明書以外にも就労ビザの更新には多くの書類を提出しなければなりません。さむらい行政書士法人であれば、納税証明書も含めた必要書類の準備をサポート可能です。
これまで多くの就労ビザ申請・更新を代行しており、許可率は99.7%と高い実績を持っています。就労ビザの更新でお悩みの方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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