介護ビザ(在留資格「介護」)で転職する際の手続きを解説
外国人の方が日本で働くには、適切な就労ビザを取得しなければなりません。
介護職の場合は、介護ビザなどが必要です。
介護ビザで働く中で、転職をする機会がある方もいるでしょう。
現在、介護ビザで転職を考えている外国人の方の中には、
「転職後の手続きは必要?」
「在留資格は変更する?」
「会社側の対応は?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、介護ビザで転職する際の手続きについて詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
介護ビザの概要
ここでは、介護ビザの概要について見ていきましょう。
在留資格「介護」とは
在留資格「介護」は、介護分野で働くのに必要な就労ビザの1種です。
種類 | 介護(介護ビザ) |
|---|---|
在留期間 | 5年・3年・1年・3カ月のいずれか(更新も可能) |
できる活動 | ・介護(訪問サービスや夜勤も可能) ・介護の指導 |
申請条件 | ・介護福祉士の国家資格がある ・日本の機関(企業)と契約している ・日本人と同等かそれ以上の報酬を受ける |
外国人が介護ビザを取得するメリット
介護ビザは、ほかの介護系のビザと比べると、取得がやや難しいのが特徴です。
取得の難易度が高い分、メリットは多くあります。
訪問介護もできる
介護ビザは、業務の制限がありません。
取得すれば、介護に関する業務全般を行えます。
ほかの介護系のビザでは訪問介護はできませんが、介護ビザであれば訪問介護も可能です。
加えて、夜勤なども担当できます。
家族も日本に滞在できる
介護ビザで働く外国人の方の家族は、家族滞在ビザを取得できます。
家族滞在ビザの対象者は、介護ビザ保有者の配偶者と子どもです。
兄弟姉妹や両親は対象外のため、注意しましょう。
日本の永住権が取得できる可能性がある
介護ビザは滞在期間の更新が可能で、更新回数に制限がありません。
更新し続ければ、永住権の申請条件を満たせる可能性があります。
永住権の主な申請条件は、以下のとおりです。
- ・日本で5年以上就労資格や居住資格を有している
- ・10年以上日本で暮らしている
介護ビザで5年以上働き、更新を続けて10年以上滞在できれば、永住権を取得できるチャンスがあります。
外国人が転職する時に必要な手続き
ここでは、外国人が転職する時に必要な手続きについて見ていきましょう。
変更の届出をする
就労ビザで滞在している方が転職する場合、契約している機関が変更する旨を届け出なければなりません。
届出が必要な事由は、以下のとおりです。
- ・契約機関が名称や所在地を変更した
- ・契約機関が消滅した
- ・契約機関との契約が終了もしくは新たな契約をした
14日以内に届出をする
転職をする場合は、転職の事由が発生してから14日以内に届出を行わなければなりません。
届出の事項は、以下のとおりです。
- ・契約機関との契約が終了したケース
転職や退職などで、現在の所属先との契約が終了したケースです。
届出書に必要事項を記入して、提出します。
記入事項は、以下のとおりです。
- ・氏名・生年月日・性別・国籍・地域・住居地・在留カードの番号
- ・契約機関との契約が終了した年月日
- ・契約が終了した契約機関の名称および所在地
- ・新たな契約機関と契約を締結したケース
転職により、新たな所属先と契約を行ったケースです。
記入事項は、以下のとおりです。
- ・氏名・生年月日・性別・国籍・地域・住居地・在留カードの番号
- ・新たな契約機関と契約を締結した年月日
- ・契約が終了した契約機関の名称および所在地
- ・新たな契約機関の名称および所在地
- ・新たな契約機関における活動の内容
契約の終了と新たな契約締結の届出は、同時に行えます。
届出方法
届出の方法は、以下の3パターンがあります。
- ・1.郵送
届出書と在留カードのコピーを同封して、封筒の表面に朱書きで「届出書在中」または「ENCLOSED」と記入し、以下の宛先に送付してください。
〒160-0004
東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー14階
東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当
郵送の場合、届出書を受け付けた旨の連絡はありません。配達状況の記録が残る、または追跡確認ができる方法で送付するのがおすすめです。
- ・2.窓口
最寄りの出入国在留管理局の窓口にて、在留カードを提示して届出書を提出します。受付時間は、手続きによって曜日や時間が決められている場合があります。
- ・3.インターネット
出入国在留管理庁電子届出システムを利用して、手続きを行います。
24時間356日利用できるので、非常に便利なツールです。
はじめて利用する場合は、利用者情報登録をする必要があるため、注意しましょう。
在留資格変更に必要な書類一覧
変更する在留資格によって、必要な書類は異なります。
共通する書類は、以下のとおりです。
- ・在留資格変更許可申請書
- ・写真
- ・パスポートおよび在留カード
手続き時に窓口で提示します。
上記以外では、変更する在留資格に応じた書類を提出します。
例えば、別の就労ビザから介護ビザへ変更する場合は、以下の書類も必要です。
- ・介護福祉士登録証の写し
- ・労働基準法第15条第1項および同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書
- ・申請者の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣の場合)
- ・招へい機関の概要を明らかにする資料
- ・技能移転に係る申告書(技能実習で在留していた場合)
加えて、許可された場合は、4,000円の手数料が必要です。
就労資格証明書を確認
就労資格証明書とは、外国人の方が自らの在留資格で行える収入をともなう活動、または報酬を受ける活動を証明する文書です。
在留資格と許可される活動は、リンクしています。
就労できる在留資格を持っていても、すべての職種や業務に従事できるわけではありません。
例えば、在留資格「介護」であれば、許可される活動は介護に関する業務です。
許可されない業務に就いている場合、外国人本人だけでなく、雇用した企業も罪に問われます。
就労資格証明書があれば、企業は採用前に外国人が就労する資格があるかを確認できるので、安心です。
外国人本人も、就職や転職の手続きをスムーズに行えます。
取得するには、書類を準備して交付申請を行います。
転職などによって勤務先や活動内容が変わる、または変わった方の必要書類は、以下のとおりです。
- ・就労資格証明書交付申請書
- ・資格外活動許可書の提示(該当者のみ)
- ・在留カードの提示
- ・パスポートまたは在留資格証明書の提示
- ・パスポートや在留資格証明書を提示できない方は、その理由を記した理由書
- ・身分証明書(申請取次者が手続きする場合)
- ・新たな勤務先や活動内容がわかる資料
- ・手数料1,200円
【介護ビザ】転職後に必要な手続き
ここでは、転職後に必要な手続きについて見ていきましょう。
転職後の在留期間の更新について
介護ビザの滞在期間は5年・3年・1年・3カ月のいずれかですが、5年ごとに更新するのが一般的です。
転職の時期によっては、介護ビザの更新をしなければなりません。
例えば、介護ビザの残りの滞在期間が3カ月ほどの時点で転職するケースなどが挙げられます。
更新時に必要な書類と提出方法
期間の更新で必要な書類は、以下のとおりです。
- ・在留期間更新許可申請書 1通
- ・写真
- ・パスポートおよび在留カード
手続き時に窓口で提示します。
- ・住民税の課税または非課税証明書、および納税証明書 各1通
1年間の総所得および納税状況が記載されたものを用意しましょう。
転職後に初めて更新の手続きをする方は、上記に加えて以下の書類も必要です。
- ・労働基準法第15条第1項および同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する書類
- ・招へい機関の概要を明らかにする以下のいずれかの書類
- ・勤務先などの沿革・役員・組織・事業内容などが詳細に記載された案内書
- ・勤務先などが作成した上記に準ずる資料
更新の申請は、お住まいの地域を管轄する出入国在留管理局にて行います。
マイナンバーカードをお持ちの外国人の方は、オンライン申請も可能です。
在留期間更新のタイミングについて
在留期間更新のタイミングは、現在の在留期間が満了する日以前です。
6カ月以上の期間が残っている方は、期間が満了する3カ月前から申請が可能とされています。
入院など特別な事情がある方は、3カ月以上前から申請を受け付けてくれるケースもあります。
申請の処理にかかる期間は、在留資格の種類によって異なりますが、一般的に2週間〜1カ月です。
更新をせずに滞在し続けると、不法滞在や不法就労の罪に問われます。
引き続き日本での滞在を続けたい方は、期間が満了する前に、必ず更新の手続きを行ってください。
就労ビザの変更が必要なケース
現在持っている就労ビザ(在留資格)の範囲外の仕事に転職する場合は、在留資格を変更しなければなりません。
例えば、転職により介護ビザから別の就労ビザへの変更が必要なケースとして、以下の例が挙げられます。
転職事例 | 在留資格の変更先 |
|---|---|
介護職→営業職 | 「介護」→「技術・人文知識・国際業務」 |
介護職→ITエンジニア | 「介護」→「技術・人文知識・国際業務」 |
介護職→通訳・翻訳者 | 「介護」→「技術・人文知識・国際業務」 |
介護職→会社の経営者 | 「介護」→「経営・管理」 |
【介護ビザ】転職する際に会社側で必要な手続き
転職をする場合は、外国人本人だけでなく、会社側が行う手続きもあります。
ここでは、転職する際に会社側で必要な手続きについて見ていきましょう。
外国人の雇い入れや転職の際はハローワークへ届け出る
企業が外国人を雇用する場合、「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出しなければなりません。
外国人雇用状況の届出は、外国人労働者の雇用管理や再就職支援などを目的に設定された制度です。
ハローワークは届出に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主への助言・指導・外国人の再就職支援を行います。
以下に該当しない外国人の方は、すべて届出の対象です。
- ・特別永住者
- ・在留資格「外交」
- ・在留資格「公用」
届出の方法は、以下の2パターンです。
- ・1.ハローワークの窓口に提出
雇用する外国人の勤務先(事業所・店舗・工場など)の住所を管轄するハローワークに提出します。
- ・2.オンライン提出
厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を利用して、オンラインで提出します。
利用するには、IDとパスワードの設定が必要です。
過去に1度でもハローワークの窓口で提出した方は、IDとパスワードの新規登録ができません。
オンライン提出をしたい場合は、届出を行ったハローワークに問い合わせてください。
届出は、外国人を雇用する時だけでなく、外国人が離職した時も提出しなければなりません。
届出の提出は義務のため、忘れないように注意しましょう。
届け出を怠った場合は罰金の対象となる
外国人雇用状況の届出は、外国人を雇用する事業主の義務です。
届出を怠る、または虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金が科されます。
届出の提出期限は、以下のとおりです。
- ・雇用保険の被保険者とならない場合の外国人雇用状況の届出
雇用・離職ともに翌月末日までに提出します。
- ・雇用保険の被保険者となる場合の届出
雇用の場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から起算して10日以内に提出します。
介護ビザで転職する際の手続きFAQ
ここでは、介護ビザで転職する際の手続きに関するFAQについて見ていきましょう。
ビザ審査中に転職した場合はどうなりますか?
審査中に転職してはいけない、という規定はありません。
ただし、審査中に転職すると、申請時に提出した情報に矛盾が生じる可能性があります。
例えば、審査中のビザの活動内容と転職後の活動内容が異なる場合は、注意が必要です。
在留資格で認められた範囲外の活動をする場合、不法滞在や不法就労などの罪に問われます。
特に、永住ビザなどの審査中に転職するのは、非常にリスクが高いです。
どうしても転職しなければならない方は、審査官に事情を理解してもらえるだけの確実な理由を用意する必要があります。
転職で在留資格を変更するタイミングは?
転職で在留資格を変更するタイミングは、一般的に以下の流れで行います。
- ・現職を退職
- ・在留資格変更許可申請
- ・審査
- ・許可
- ・転職先へ入社
在留資格と活動内容はリンクしている必要があるため、基本的には退職後に在留資格を変更します。
転職後の活動内容が現在の在留資格と異なる場合は、必ず変更の申請をしてください。
変更をしないで転職をする場合、不法滞在や不法就労の罪に問われます。
外国人本人だけでなく、雇用する企業側も罰せられる可能性があるため、十分に注意しましょう。
転職でビザ更新するには何が必要ですか?
転職でビザを更新するのに必要な手続きは、以下のとおりです。
- ・在留資格変更許可申請
転職後の業務が、現在の在留資格で許可される範囲外の活動の場合は、変更の手続きが必要です。
- ・在留期間更新許可申請
在留期間が残り少ない場合は、期間更新の手続きをしましょう。
- ・所属機関に関する届出
転職後14日以内に、所属機関に関する届出を行います。
- ・就労資格証明書交付申請
転職後の活動内容が、在留資格の範囲内の活動であると証明する書類です。
申請は義務ではありませんが、スムーズに転職できるので、取得するのをおすすめします。
まとめ
この記事では、介護ビザで転職する際の手続きについて解説しました。
転職をした場合は、14日以内に変更の届出を提出しなければなりません。
転職後の活動内容によっては、在留資格の変更も必要です。
活動内容が変わらない転職でも、在留期間が残り少ない場合は、更新の手続きが必要です。
加えて、外国人本人だけではなく、会社側が行う手続きもあります。
転職をする際は、手続きに不備がないように準備を進めましょう。
各種手続きに関して不安のある方は、行政書士などの専門家に相談・依頼すると安心です。
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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