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日本料理店で働きたい外国人の特定活動ビザの取得に関して解説

和食は、ユネスコの無形文化遺産に登録されており、世界的にも注目される存在です。外国人留学生の中には、卒業後の進路に料理人での就労を目指す方もいるでしょう。

 

農林水産省は、調理系の学校を卒業した留学生を対象に、日本料理店などで働きながら技術を学べる制度を設けています。制度を利用するには、農林水産省の認定と在留資格「特定活動」が必要です。

 

本記事では、留学生が料理人として就労するための「特定活動」について、詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。

日本料理店で働ける「特定活動」ビザについて

日本料理店などで働ける「特定活動」を得るには、農林水産省が行う「日本の食文化海外普及人材育成事業」の認定を受ける必要があります。

 

ここでは、制度について詳しく見ていきましょう。

要件

要件は、外国人・受け入れ機関・取組実施機関のそれぞれで定められています。

 

1. 外国人

在籍している学校で、知識と技術を学び、調理師・製菓衛生師免許もしくは免許の申請資格を得ている留学生が対象です。

 

要件は、以下の通りです。

• 取組実施機関で、調理または製菓の業務をするための知識と技能を修得し、成績が優秀かつ素行が善良である
• 調理の知識と技能を高めようとする意思、および帰国後に日本の食文化を世界へ発信する意思がある
• 満18歳以上
• 調理師または製菓衛生師免許の申請資格を有している者は、本事業に従事する時点で当該免許を取得している
• 製菓衛生師養成施設を卒業、または製菓分野の大学を修了した者は、卒業後3年以内に製菓衛生師の免許を取得する意思があり、申請書にその旨を宣誓している

留学ビザで在留中に、アルバイトによる週28時間以上のオーバーワークがあると、認定がおりない可能性があるので注意しましょう。

 

2. 受け入れ機関

外国人の雇用主となる飲食店を指します。

 

要件は、以下の通りです。

• 外国人調理師が調理の知識と技能を修得するため、実習計画を適切に実施できる事業所がある
• 健全かつ安定的な経営状況である
• 労働関係法令および社会保険関係法令を遵守している
• 過去3年間に外国人の受け入れ、または就労に関して不正行為を行っていない

 

3. 取組実施機関

調理師の養成施設を指します。例えば、調理師や製菓衛生師養成施設、または製菓分野の課程がある大学や専門学校などです。

 

要件は、以下の通りです。

• 実習計画の策定、および活動の実施に必要な事務を行う人員が確保されている
• 健全かつ安定的な経営状況である
• 職業安定法に基づく職業紹介の許可を受けている、または届出を行っている

期間

最大5年間で、更新はできません。

 

製菓分野において、製菓衛生師資格を取得していない場合は、最大3年間です。

該当する料理店

該当するのは、日本標準産業分類で以下の業種に分類される料理店です。

 

1. 飲食店(中分類76)

例えば、料亭・そば・うどん・すし・お好み焼き店などが挙げられます。日本料理以外の飲食店も対象です。

 

2. 菓子小売業(細分類番号5861)

例えば、製菓の小売店(ケーキ屋)などが挙げられます。

 

3. パン小売業(細分類番号5863)

例えば、製パンの小売店(パン屋)などが挙げられます。

 

4. 旅館・ホテル(細分類番号7511)

例えば、旅館・ホテル内の飲食店などが挙げられます。

 

5. リゾートクラブ(細分類番号7592)

例えば、リゾートクラブ内の飲食店などが挙げられます。

 

ただし、取組実施機関で学んだ知識や技術を活用し、実習期間中に一連の工程(下ごしらえ〜料理の完成まで)の実習が可能でなければいけません。

注意点

「日本の食文化海外普及人材育成事業」の目的は、日本の食文化を海外に普及させるための人材育成です。調理現場における人手不足の解消を目的とした就労ビザではないので注意してください。

 

加えて、在留期限の更新がないため延長はできません。日本に引き続き滞在したい場合は、在留資格を変更する必要があります。

 

5年後の帰国後、日本料理の料理人として「特定活動」ビザは取れない

料理人のための「特定活動」はないため、日本で料理人として働くのは難しいのが現状です。制度を利用した特定活動ビザの期限が切れたら、原則として本国へ帰国する必要があります。

 

引き続き日本で滞在したい場合は、ほかの在留資格へ変更しましょう。

 

例えば、飲食業に関わる資格は職種によって分けられ、以下の通りです。

 

1. 調理

• 技能
• 特定活動(日本の食文化海外普及人材育成事業)

 

2. 接客

• 特定技能(外食業)
• 特定活動(46号)

 

3. 事務職

• 技術・人文知識・国際業務

 

5年後に日本で働く場合は調理師以外での就労となる

調理師として働くには、技能ビザが必要です。しかし、技能ビザは10年以上の実務経験が求められるため、特定活動ビザからの変更はできません。引き続き日本で就労する場合は、調理師以外の職種を検討しましょう。

 

例えば、大学を卒業していれば、上記で挙げた特定活動(46号)や技術・人文知識・国際業務を取得できる可能性があります。

「日本の食文化海外普及人材育成事業」に改正された

以前までは、日本料理の海外普及を目的としており、調理系の専門学校を卒業した留学生を対象に、日本料理店で働きながら技術を学べる制度でした。クールジャパンの議論の中で、日本料理以外の料理や製菓も対象とすることが決ま
り、制度の一部が改正されたのです。

 

改正により、今までは日本料理店でのみ可能だったのが、日本料理店以外の飲食店・製菓・製パンの小売店・ホテル・旅館などでも働きながら技術を学べるようになりました。

 

名称も「日本料理海外普及人材育成事業」から「日本の食文化海外普及人材育成事業」に変更されました。

「特定活動」ビザの申請方法

在留資格を「留学」から「特定活動」に変更しなければいけません。

申請方法

外国人本人または代理人が、在留資格変更許可申請をします。申請は、地方出入国在留管理局の窓口で行います。必要書類を集めて、窓口に提出してください。マイナンバーをお持ちの方は、オンライン申請も可能です。

必要書類

• 在留資格変更許可申請書
• 写真
• パスポートおよび在留カード

上記は、すべての申請人に共通する必要書類です。

 

上記以外では、

• 納税証明書
• 課税証明書
• 日本の食文化海外普及人材育成事業実施要領の様式第4号・第6号
• 実習状況を説明する資料

などが必要です。

 

申請人の状況に応じて、必要書類は異なります。詳しい書類については、出入国在留管理局に個別で相談してください。

申請先

お住まいの地域を管轄している地方出入国在留管理局で行います。

申請にかかる期間

審査は、通常1週間〜1カ月かかります。法務省のデータによると、「特定活動」への変更は令和4年で35日間でした。

申請の注意点

在留資格変更許可申請は、農林水産省の認定を受けてから行わなければいけません。

 

以下は、申請までの一般的な流れです。

1. 受け入れ機関から内定をもらう
2. 取組実施機関と受け入れ機関が共同で実習計画を作成し、農林水産省へ申請する
3. 農林水産省から認定を受けた後、外国人本人が在留資格変更許可申請を行う

受け入れ機関側の準備も必要

制度を利用するには、受け入れ機関側の準備も必要です。

 

ここでは、報酬・雇用人数・実習計画について詳しく見ていきましょう。

報酬に決まりがある

報酬は、日本人と同等かそれ以上でなければいけません。労働基準法では、報酬などの待遇を国籍で差別するのを禁止しています。本制度を利用した外国人は、働きながら学ぶ実習生という立場ですが、日本人と同等以上の報酬が必要です。

雇用できる外国人の人数が決まっている

雇用できる外国人の人数は決まっており、1事業所あたり3名以内です。

実習計画の認定が必要

制度を利用するには、実習計画を申請人(外国人)の在留期間1カ月以上前までに農林水産省に申請し、認定を受けなければいけません。実習計画は、受け入れ機関と取組実施機関が共同で作成します。

 

加えて、取組実施機関には以下の報告義務があります。

 

• 計画通りに実習が行われているかを半年に1回のペースで、受け入れ機関に対して監査を行い、結果を地方出入国在留管理局に報告する。
• 受け入れ後1年目は半年に1回、2年目以降は必要に応じて外国人と面談をし、結果を農林水産省に報告する。
• 外国人の知識や技能の修得状況を1年に1回評価し、結果を農林水産省に報告する。

まとめ

本記事では、外国人留学生が日本料理店などで働くための「特定活動」について、詳しく解説しました。

 

農林水産省が実施している「日本の食文化海外普及人材育成事業」の制度を利用すれば、特定活動ビザで料理人として就労できます。今までは日本料理店に限定されていましたが、制度の改正により、日本料理店以外の飲食店や、製菓・製パンの小売店でも働けるようになりました。

 

制度を利用するには、農林水産省から実習計画の認定を受けなければいけません。加えて、在留資格を「留学」から「特定活動」へ変更する必要があります。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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