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特定活動ワーキングホリデーに就労制限はある?指定書や雇用保険、注意点を解説

在留資格「ワーキングホリデー」の取得は、海外の方が日本に訪れ、旅行や仕事などを行うための手段の1つです。ワーキングホリデーを使って日本から海外に行く方も多いため、言葉自体は広く知られています。

 

しかし、海外の方がワーキングホリデーで日本に滞在するためにはどのような要件があるのか、またワーキングホリデーには就労制限があるのかなど疑問に思う方も多いのではないでしょうか。さらに、ワーキングホリデーで就労する場合の雇用保険などについても知っておきたいポイントでしょう。

 

そこで、本記事ではワーキングホリデーの概要やワーキングホリデーでの就労制限の有無、またワーキングホリデーで就労した際の雇用保険などの扱いについて詳しく解説します。

 

ワーキングホリデーで日本に滞在している方やワーキングホリデーの方の雇用を考えている方は、ぜひ本記事を参考に知識を深めてください。

特定活動「ワーキングホリデー」とは

海外の方が日本に滞在するための1つの手段である特定活動「ワーキングホリデー」。具体的にどのような資格のことを指すのか確認してみましょう。

在留資格「ワーキングホリデー」とは

ワーキングホリデーという言葉自体には聞き馴染みがある方も多いと思います。海外の方が日本に滞在するために取得するワーキングホリデーは、在留資格「特定活動」にあたるものです。

 

ワーキングホリデーは協定を結ぶ2国間および地域間で若者の滞在を認める制度で、異文化交流や相互理解が目的とされています。在留資格「ワーキングホリデー」は観光ビザや就労ビザのように活動の制限がありません。学業・仕事・旅行など、ある程度自由に活動できるのがワーキングホリデーの特徴です。そのため、学校に通った後、アルバイトでお金を貯めて旅行を楽しむなんてこともできます。

 

在留資格「ワーキングホリデー」の在留期間は6ヶ月もしくは1年です。また、在留資格「ワーキングホリデー」は何度も取得できるものではなく、1ヵ国につき1度のみという決まりがあります。そのため、過去にワーキングホリデーで日本を訪れた海外の方が、再び日本でワーキングホリデーを行うことはできません。

在留資格「ワーキングホリデー」の特徴

ワーキングホリデーの最大の特徴は、就労制限がないことです。

 

通常、留学などで海外の方が日本を訪れている場合は、資格外活動の許可を得なければならなりません。さらに労働時間は週28時間までと決められています。しかし、在留資格「ワーキングホリデー」では労働時間の取り決めなどはなく、基本的に職種の選択も自由です。

 

また、ワーキングホリデー取得者の雇用形態にも制限はありません。在留期間が短い分、正社員で雇用されることは少ないですが、アルバイト・パート・正社員・派遣社員・契約社員など、雇用形態は自由です。

 

在留資格「ワーキングホリデー」では日本人と同じように働きながら、日本での生活を体験できます。

「ワーキングホリデー」になれる条件

海外の方がワーキングホリデーで日本に滞在するためには、いくつかの条件があります。以下では、「発給要件」および「対象国」を確認してみましょう。

 

なお、海外の方が在留資格「ワーキングホリデー」を取得する際には、自国もしくは自地域にある最寄りの日本大使館などで手続きを行う必要があります。

 

発給要件

ワーキングホリデーの発給要件は以下の通りです。

• ワーキングホリデー制度を導入した相手国の国民・住民であること
• 主に「休暇」が目的であること
• 18歳以上30歳以下であること
• 子供や被扶養者は連れてこないこと
• 有効なパスポートと帰りのチケット、もしくは帰りのチケットを購入できる資金を持っていること
• 滞在中に生活できるだけの資金があること
• 健康であること
• 過去にワーキングホリデーを取得したことがないこと

 

年齢制限に関しては、基本的に18歳以上30歳以下と定められています。ただし、オーストリア・カナダ・韓国・アイスランドの4か国はこの限りではありません。

 

オーストリア・カナダ・韓国の方に関しては18歳以上25歳以下と、さらに年齢が制限されています。しかし、政府当局が認める場合には30歳以下まで取得可能な場合もあることを覚えておきましょう。

 

アイスランドの方がワーキングホリデーを取得する場合は、18歳以上26歳以下である必要があります。

 

また、前述の通り、ワーキングホリデーは基本的に1ヵ国につき1度きりのため、過去にワーキングホリデーを取得し日本に訪れている方の取得は認められません。

 

対象国

ワーキングホリデー制度は、1980年にオーストラリアと協定を結んだところから始まりました。現在は全26ヵ国がワーキングホリデー対象国に定められています。

対象国

1. オーストラリア

2. ニュージーランド

3. カナダ

4. 韓国

5. フランス

6. ドイツ

7. イギリス

8. アイルランド

9. デンマーク

10. 台湾

11. 香港

12. ノルウェー

13. ポルトガル

14. ポーランド

15. スロバキア

16. オーストリア

17. ハンガリー

18. スペイン

19. アルゼンチン

20. チリ

21. アイスランド

22. チェコ

23. リトアニア

24. スウェーデン

25. エストニア

26. オランダ

「ワーキングホリデー」所属の確認方法

在留資格「ワーキングホリデー」を所有していることを確認するためには、在留カードとパスポートの2つを確認しましょう。

 

在留資格「ワーキングホリデー」を取得している海外の方の在留カードには「特定活動」の記載があります。ワーキングホリデーが在留資格「特定活動」の1つであるためです。しかし、特定活動にはワーキングホリデー以外の在留資格も含まれているため、在留カードを確認しただけではワーキングホリデーを取得していることが明確ではありません。

 

そこで、在留カードとともにパスポートもチェックしてみましょう。パスポートの見方は「指示書」を確認することです。パスポートに貼り付けられる指示書にはワーキングホリデーで来日している旨が記載されています。

 

ワーキングホリデー所属の確認は、在留カード・パスポートともに必ず現物を確認しましょう。

「ワーキングホリデー」の注意点

ワーキングホリデーで日本に滞在する際には、いくつか気をつけるべき注意点があります。

 

1つは在留資格「ワーキングホリデー」は更新ができない点です。前述の通り、ワーキングホリデーの在留期間は6ヶ月もしくは1年で、それ以上期間を延ばすことはできません。ワーキングホリデーが終了してもなお、日本での滞在や就労を希望する場合には、他の在留資格への変更が必要となります。

 

また、ワーキングホリデーには就労制限がないことをお伝えしましたが、クラブやパチンコ店などの風俗関係は就労不可なことは覚えておかなければなりません。仮に風俗関係で働いてしまうと、強制的な退去となってしまう場合もあるため中止が必要です。

「ワーキングホリデー」の雇用保険について

学業・仕事・旅行など、あらゆる活動が自由に行えるワーキングホリデーですが、就労した場合の雇用保険への加入は必要なのでしょうか。ここでは、ワーキングホリデーで来日した海外の方の雇用保険やその他社会保険について解説します。

「ワーキングホリデー」は雇用保険への加入の必要がない

結論から言うと、在留資格「ワーキングホリデー」で就労した場合、雇用保険への加入は必要ありません。

 

ワーキングホリデーの在留目的はあくまで「休暇」です。そのため、ワーキングホリデー所属の海外の方は被保険者にはならないのです。

 

ワーキングホリデーの海外の方の雇用を考えている方は、雇用保険への加入が不要なことをよく覚えておきましょう。

雇用保険以外の社会保険は加入する必要がある

一方、雇用保険以外の社会保険へは加入する必要があります。

 

社会保険には「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」があり、ワーキングホリデーで滞在している方には日本人と同様の加入基準が適用されるため、原則社会保険への加入は必須です。

 

厚生年金保険と健康保険に関しては、ワーキングホリデーで在留中の方がアルバイト・パートで就労しており、月の労働時間・日数が通常の社員の4分の3以下の場合には加入対象外となります。ただし、以下の条件をすべて満たしている場合には、労働時間・日数が通常社員の4分の3以下でも厚生年金保険・健康保険に加入しなければなりません。

•週20時間以上働いている
• 1年以上の雇用期間が見込まれる
• 月額賃金が8万円以上
• 学生ではない
• 会社規模が501人以上の企業で働いている

 

また、社会保険協定を結んでいる国からワーキングホリデーで来日している方は、社会保険の支払いが免除される場合があります。社会保険協定とは、日本と海外での社会保険料の二重支払いを防止するための協定です。ただし、何が免除になるかは国によって異なるため確認が必要になります。以下に、日本と社会保険協定を結んでいる国をまとめました。

社会保険協定締結国

• ドイツ
• イギリス
• 韓国
• アメリカ
• ベルギー
• フランス
• カナダ
• オーストラリア
• オランダ
• チェコ
• スペイン
• アイルランド
• ブラジル
• スイス
• ハンガリー
• インド
• ルクセンブルク
• フィリピン
• スロバキア
• 中国
• フィンランド
• スウェーデン
• イタリア

※イタリアのみ協定署名済みで未発行の国

ワーキングホリデーの所得税率

ワーキングホリデーの所得税率は固定で20.43%ということを覚えておきましょう。

 

通常、日本人には「累進課税制度」が適用されるため、所得額に応じて所得税率は異なります。しかし、ワーキングホリデーの在留者には累進課税制度は適用されません。なぜなら、ワーキングホリデーの場合は非居住者となるためです。

 

在留期間が短いワーキングホリデーではすべての方が「非居住者」扱いとなり、所得税率は20.43%で固定されています。ワーキングホリデーの方の所得税率はどの企業でも同様であり、所得額に関係なく20.43%の所得税が課せられるため、思ったより給与が低いと感じてしまうこともあるのです。

ワーキングホリデーで就労する場合には日本人の所得税率と異なることを覚えておかなければなりませんし、ワーキングホリデーの方を雇用する方は所得税率についてしっかり伝える必要があります。

「ワーキングホリデー」からそのまま就労はできる?

ワーキングホリデーの在留期間を終えても引き続き日本での就労を望む場合には、在留資格の変更が必要になります。

 

前述の通り、ワーキングホリデーは在留期間の更新ができないため、さらに日本での滞在および就労を望む場合には、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)や特定技能ビザへの変更を行わなければならないのです。

 

以下では、技術・人文知識・国際業務のそれぞれにあたる業務の例を挙げています。

技術

人文知識

国際業務

  • プログラマー
  • システムエンジニア
  • 土木建築の設計
  • 機械設計

など

  • 企画
  • 営業
  • 経理
  • 法務

など

  • 通訳
  • 翻訳
  • 語学指導
  • 海外取引

など

 

技術は「理系分野における専門知識・専門技術を必要とする業務」、人文知識は「文系分野における専門知識・専門技術が必要な業務」、国際業務は「海外の方特有の思考や能力を必要とする業務」をそれぞれ指します。

 

ワーキングホリデーから就労ビザへ変更する場合、1度出国することが原則となっています。なぜなら、多くのワーキングホリデー協定締結国でワーキングホリデーのビザ発給要件に「滞在期間が修了した際に日本を出国する意図があること」が定められているためです。

 

しかし、中には出国なく在留資格を変更できる国もあります。出国せずとも在留資格の変更が認められる国は、オーストラリア・カナダ・韓国・ニュージーランド・ドイツの5か国のみです。

 

出国をせずに変更することが認められていない国でも在留資格を変更できるケースもあるため、就労ビザへの変更が必要な場合は専門家に相談してみると良いでしょう。

 

また、手続きには時間がかかるため、在留資格変更の申請は余裕を持って行ってください。

まとめ

ワーキングホリデーの概要や就労制限の有無、就労した際の雇用保険などについて解説してきました。

 

ワーキングホリデーは在留資格「特定活動」の一種で、学業・仕事・旅行など、日本でのあらゆる活動が認められています。ワーキングホリデーの在留期間は6ヶ月もしくは1年で、それ以上の更新はできないことを覚えておきましょう。

 

ワーキングホリデーでは就労制限がありません。労働時間や職種、雇用形態は基本的に自由です。ただし、風俗関係での就労は認められていないので注意してください。

 

ワーキングホリデーを取得した方が日本で就労する場合、雇用保険への加入は必要ありません。なぜなら、ワーキングホリデーの方は「非居住者」扱いとなるためです。しかし、その他社会保険(厚生年金保険・健康保険・労災保険)への加入は原則必須となります。中には、厚生年金保険や健康保険への加入対象外となる場合もありますが、基本的には日本人同様、社会保険への加入が必要なことを覚えておきましょう。

 

ワーキングホリデーでの在留期間が終了し、その後も引き続き日本での就労を望む場合には就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への在留資格変更が求められます。日本にいながら在留資格を変更できる場合もあれば、1度出国しなければならない場合もあるため、就労ビザへの変更が必要な方は事前によく確認しておかなければなりません。

 

今回解説した内容を参考に、ワーキングホリデーでの就労、またワーキングホリデーの方の雇用をスムーズに行いましょう。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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