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外国人が特定活動46号を取得する要件と申請方法を詳しく解説します

留学生が日本の大学・大学院を卒業後、そのまま日本で就職するケースは多くあります。留学生が就労のために取得可能なのが、在留資格「特定活動46号」です。

 

しかし、留学生の中にはどのような要件を満たせば「特定活動46号」が取得できるのか、取得申請時に必要なものは何なのか、わからずに困っている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、在留資格「特定活動46号」について、取得要件から申請方法までわかりやすく解説します。これから「特定活動46号」の取得を考えている留学生の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

在留資格とは

在留資格とは外国人が日本に在留するために取得するべき法的資格です。外国人が日本で特定の活動を行えること、または一定の身分・地位であることを証明するものになります。よって、学業や就労などの活動、永住者や日本人の配偶者としての居住などを希望する場合は、在留資格の取得が必要不可欠です。

 

現在「出入国管理及び難民認定法」によって定められている在留資格は、全部で29種類あります。以下に、29の在留資格を一覧にまとめました。

1. 外交
2. 公用
3. 教授
4. 芸術
5. 宗教
6. 報道
7. 高度専門職
8. 経営・管理
9. 法律・会計業務
10. 医療
11. 研究
12. 教育
13. 技術・人文知識・国際業務
14. 企業内転勤
15. 介護
16. 興行
17. 技能
18. 特定技能
19. 技能実習
20. 文化活動
21. 短期滞在
22. 留学
23. 研修
24. 家族滞在
25. 特定活動
26. 永住者
27. 日本人の配偶者等
28. 永住者の配偶者等29. 定住者

それぞれの在留資格では、日本で行える活動などが決められています。中には、就労が認められないものや、制限されているものもあるため、目的や希望の活動内容にあった在留資格を取得することが大切です。また、一度に保有できる在留資格は1種類だけということも覚えておきましょう。

 

しばしば在留資格と間違えられやすいのが査証(ビザ)ですが、査証は日本への入国が許可されたことを証明するものです。よって、査証の役目は日本に入国した時点で終了となります。一方、在留資格は日本入国後の滞在や活動を行うための資格なので、査証と在留資格ではそれぞれ用途が異なります。とはいえ、日本でなんらかの活動を行う場合には、査証・在留資格両方の取得が必要になります。

特定活動46号について

「特定活動46号」とはどのような在留資格なのか、概要・取得要件・在留期間について確認してみましょう。「特定活動46号」の注意点についてもまとめています。

特定活動46号とは

「特定活動46号(本邦大学卒業者)」は、留学生の卒業後の就労を認める在留資格です。

 

これまで留学生が卒業後に就労を希望する場合には、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するのが一般的でした。しかし、「技術・人文知識・国際業務」は大学・大学院で身に付けた専門的知識やスキルを活用する業務に従事するための在留資格であり、従事できる業務の幅は広くありません。

 

そこで、「技術・人文知識・国際業務」よりも幅広い業種への就労を可能にするために、2019年5月に新設されたのが「特定活動46号(本邦大学卒業者)」です。

要件

「特定活動46号」の取得要件を、以下4つに分けて見てみましょう。

 

• 申請基準
• 就業場所
• 可能な業種
• 就業形態

 

順番に解説します。

申請基準

申請基準は以下の2つになります。

 

1. 日本の大学もしくは大学院を卒業し、学位を取得していること
2. 高度な日本語能力があること

 

基準の1つが日本の大学・大学院を卒業していることです。「特定活動46号」の場合、短期大学・専門学校・日本語学校を卒業した留学生は対象外となります。また、たとえ海外の大学・大学院を卒業していても要件は満たさないことを覚えておきましょう。

 

高度な日本語能力を証明するためには、以下のうちどちらかを取得する必要があります。

 

• 日本語能力試験のN1
• ビジネス日本語能力テスト480点以上

 

日本の大学・大学院で「日本語」を専攻し、卒業した場合には、上記2つの取得は免除されます。ただし、海外の大学・大学院で「日本語」を専攻し、卒業した場合は日本語能力保有の証明になりますが、日本の大学・大学院を卒業をしないと、1の基準は満たせないので注意しましょう。

 

就業場所

就業場所については「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」と定められています。「特定活動46号」ではパスポートに添付される指定書にて、就業場所が指定されるのです。そのため、指定された就業場所以外で就労することはできません。もし、指定された場所とは異なる就業場所で働きたい場合は、在留資格変更手続きが必要になります。

 

可能な業務

「特定活動46号」を取得して従事する業務に求められることは、以下の2つです。

 

• 日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務
• 日本の大学・大学院で習得した広い知識、応用的な能力を活用する業務

 

翻訳・通訳要素があったり、日本語を使って意思疎通する必要があったりする業務に従事しなければなりません。また、日本の大学・大学院で習得した幅広い知識や応用能力が活用できることが、「特定活動46号」で従事できる業務の条件です。

 

「特定活動46号」で従事できる業務の例を以下にまとめました。

飲食店

外国人客への接客、企画、仕入れなど
(※皿洗いや清掃のみへの従事は不可)

工場

外国人従業員・技能実習生への指示伝達・指導、品質管理、労務管理、製造ライン作業など
(※製造ラインで指示された作業のみの従事は不可)

小売店
(スーパーマーケット・コンビニエンスストアなど)

外国人客への接客・販売、在庫管理、仕入れなど
(※商品陳列や清掃のみへの従事は不可)

宿泊施設
(ホテルなど)

外国人客への接客、多言語対応の館内案内やホームページ作成など
(※清掃のみへの従事は不可)

タクシー会社

外国人客の観光案内・接客を行うタクシードライバー
(※車両整備、清掃のみへの従事は不可)

介護施設

外国人従業員・技能実習生への指導、外国人利用者との意思疎通・介護
(※清掃・衣類の洗濯のみへの従事は不可)

食品製造会社

他従業員とコミュニケーションを取りながら、商品企画・開発、製造ライン作業
(※製造ラインで指示された作業のみへの従事は不可)

 

「特定活動46号」では「技術・人文知識・国際業務」では認められていない単純作業への従事も可能です。しかし、上表(※)で記載した通り、単純作業のみへの従事はできません。

 

また、業務独占資格を要する業務、風俗関係業務への従事はできないので気を付けましょう。

 

就業形態

就業形態は常勤職員のみです。つまり、正社員や契約社員のみでの就業が認められており、パート・アルバイトでの就業は不可となります。

 

また、「特定活動46号」で就業した場合は、日本人従業員と同額以上の報酬が支払われることが必要です。

在留期間

在留期間は3ヶ月・6ヶ月・1年・3年・5年のいずれかです。在留期間は希望の在留期間・就労予定期間・雇用契約期間・就業場所の規模や安定性などを総合的に判断した上で、個別に決められます。

 

「特定活動46号」の在留期間は何度も更新可能です。更新を繰り返し、一定期間の経過と指定の条件を満たせば、在留資格「永住者」の取得もできます。更新が無制限であり、将来的に「永住者」取得の可能性もある点は、「特定活動46号」を取得する大きなメリットです。

特定活動46号の注意点

「特定活動46号」の注意点の1つは取得難易度が高いことです。「特定活動46号」取得のためには多くの要件をクリアしなければならず、要件や基準をしっかり理解しない限り不許可となってしまいます。「特定活動46号」には多くのメリットがある反面、取得が難しいというデメリットもあるのです。

 

また、一度「特定活動46号」で就業した後、転職を望む場合には、在留資格変更の手続きが必要になります。前述の通り、「特定活動46号」では就業場所が指定されるため、転職をする際に同じ在留資格では就労できないのです。転職時の在留資格変更を忘れないよう注意しましょう。

特定活動46号の在留資格の申請方法

「特定活動46号」の在留資格申請方法をご紹介します。申請の際には入念な準備が欠かせません。以下で解説する内容を参考に、スムーズに申請できるように準備しましょう。

申請方法

在留資格を取得するためには、指定された必要書類を提出する必要があります。

 

留学生の場合、在学中に就業先が決まる場合もあれば、卒業後も就職活動を続ける場合もあるでしょう。在学中に就労先が決まれば、在留資格「留学」から「特定活動46号」への在留資格変更手続きを行います。

 

「特定活動46号」での就労を目指して、卒業後も就職活動を行いたい場合には「特定活動(転職活動)」」への在留資格変更が可能です。その場合も、指定の書類の提出が求められますが、最長1年間は就職活動が行えます。

 

就職活動により就労先が決まった際には、再度在留資格変更手続きを行い、「特定活動46号」を取得しましょう。

必要書類

留学生が「特定活動46号」への在留資格変更手続きを行う際の必要書類を以下にまとめました。

提出書類

1.在留資格変更許可申請書 1通

2.写真 1枚(縦4㎝×横3㎝)

3.返信用封筒 1通

4.パスポートおよび在留カード 提示

5.申請人の活動内容などを明らかにする資料(労働条件を明示する文書の写し)

6.雇用理由書(様式自由)

7.学歴を証明する文書(卒業証書(写し)または卒業証明書)

8.日本語能力を証明する文書

9.事業内容を明らかにする以下いずれかの資料

1.勤務先の沿革・役員・組織・事業内容などが記載された案内書

2.その他の勤務先などの作成した上記に9.1に準ずる文書

3.登記事項証明書

4.勤務先のホームページの写し(トップページのみで可)

 

写真は提出3ヶ月以内に撮影したものを用意し、裏面に氏名を記載しましょう。

 

申請人の活動内容などを明らかにする資料としては、労働条件通知書・雇用契約書・採用内定通知書などの書類を用意してください。また、雇用理由書は所属機関が作成するものであり、所属機関名および代表者名の記名押印が必要となるので気を付けましょう。

 

日本語能力を証明する文書としては、日本語能力試験N1、またはビジネス日本語能力テスト480点以上の成績証明書の写しを準備します。

申請先

在留資格取得・変更・更新は居住地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請を行います。在留資格の管轄が出入国在留管理庁のためです。

 

前項でお伝えした必要書類を不備や漏れがないように準備し、地方出入国在留管理官署に提出しましょう。

申請にかかる期間

通常、在留資格申請後の審査には2週間〜1ヶ月ほどかかります。審査の過程で追加資料を求められることもあり、審査が長期化する場合もあるため、申請は余裕を持って行うよう心がけましょう。

申請の注意点

申請の際に注意すべきは、従事する業務内容を明確にすることです。

 

業務内容が「特定活動46号」の要件を満たしているのかは、「申請人の活動内容などを明らかにする資料」「雇用理由書」で判断されます。例えば、業務内容について総合職と記載するといった、あいまいな記載では、業務内容が要件に沿ったものであるかは明確になりません。業務内容はできるだけ詳しく記載するようにしてください。

 

また、雇用理由書に関しては、「申請人の活動内容などを明らかにする資料」で従事可能な業務であることが判断できる場合は提出の必要がないとされています。しかし、申請時に提出せず、審査途中で雇用理由書を求められるケースもあるため、しっかりと準備して申請時に提出しておくと良いでしょう。

まとめ

「特定活動46号」は、留学生が大学・大学院卒業後に就労するために取得する在留資格です。留学生の幅広い業務への従事を実現するために2019年に新設されました。

 

「特定活動46号」には、「技能・人文知識・国際業務」に比べて従事できる業務の幅が広く、単純作業への従事も認められるメリットがある反面、クリアすべき要件が多く、取得の難易度が高いデメリットもあります。

 

また、申請時には必要書類をすべてそろえた上で、従事する業務内容を明確に記載するようにしてください。

 

ぜひ本記事で解説した内容を参考に、「特定活動46号」の取得、そして卒業後の就労を実現しましょう。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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