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製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)の申請方法や申請の流れ、注意点などを解説

海外展開が加速している日本の製造業において、製造業外国人受入事業は注目されている制度です。制度の利用を検討している企業の中には、

 

「申請の方法や流れを知りたい」

「注意するべきポイントを知りたい」

 

という方も多いのではないでしょうか?制度を利用するには、経済産業大臣の認定を得なければいけません。通常の就労ビザとは異なり、申請の流れは複雑です。そこでこの記事では、製造業外国人受入事業の申請方法や流れ、注意するべきポイントについて解説します。

 

ぜひ、最後までお読みください。

製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)とは?

製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)とは、外国人の方が最大1年間、製造現場で生産活動に従事できる制度です。対象となる業種は、金属製品製造業・非鉄金属製造業・繊維工業・電気機械器具製造業・業務用機械器具製造業などです。

 

海外生産拠点の技能者や現場マネジメントの人材育成を促し、国内製造業における海外展開や国際競争力の強化を目的としています。単純な労働力として、外国人の方を受け入れるのではない点が大きな特徴です。

 

例えば、同じ企業内であれば、在留資格「企業内転勤」を利用する方法もあります。しかし、求められる職種はITエンジニア・会計業務・翻訳者など、在留資格「技術」の範囲内です。製造業の生産現場における職種(例えば、単純なライン作業など)では、要件が満たせず審査は厳しいのが特徴です。

 

製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)の制度を利用すれば、「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」では難しかった生産現場を担う外国人従業員を受け入れやすくなります。外国人従業員が、日本で学んだ技術を将来的に海外の事業所や子会社に普及・移転させることで、国内生産拠点と海外生産拠点との連携もしやすくなります。

製造業外国人受入事業の対象となる外国人の要件

対象となる外国人の方の要件は、以下の通りです。

 

• 海外事業所などで1年以上の勤務経験がある
• 修得させる予定の技術を既に有していない
• 最大1年間の就労期間を超えないこと(入国時に6カ月の滞在が認められ、1回のみ更新が可能)
• 同じ技能を有する日本人と同等以上の報酬がある
• 帰国後、修得した専門技術を要する業務に就く
• 家族の滞在は不可
• 原則として、帰国後1年以内の解雇は禁止

制度を利用できる企業の条件

制度を利用できる企業の条件は、以下の通りです。

 

• 過去5年間に労働関係法令違反により罰金以上の刑に処されていない
• 労働関係法令および社会保険関係法令を遵守する
• 労働安全衛生法関係法令において、労働災害防止のための最低基準を上回る措置がされている
• 過去5年間に製造特定活動に関わる不正行為を行っていない
• 過去3年間に、特定外国人従業員の相当数(1カ月以内に30人以上)を非自発的に離職させていない
• 製造特定活動計画の認定が取り消された場合、取り消し日から5年を経過している
• 過去5年間に製造特定活動計画に反する重大な事実が生じていない
• 外国人従業員の帰国担保措置と住居の確保を行う
• 外国人従業員が適切にコミュニケーションを取れる体制を整える

制度を利用する方法

制度を利用するには、製造特定活動計画を作成し、経済産業大臣の認定を得なければいけません。製造特定活動計画とは、海外拠点の事業所から外国人従業員を日本に呼び寄せ、特定の専門技術を修得させるためのプランをまとめたものです。

 

認定を得た後は、在留資格「特定活動」を取得し、制度が利用できます。

 

詳しい申請の流れについては、次項で詳しく解説します。

製造業外国人受入事業の申請方法

ここでは、申請方法について詳しく見ていきましょう。

申請の流れ

申請の流れは、以下の通りです。

1. 製造業特定活動計画書の作成・必要書類を集めて提出

必要書類については、後述します。

2. 経済産業大臣の認定を受ける

3. 在留資格認定証明書交付申請の準備

必要書類は、以下の通りです。

• 在留資格認定証明書交付申請書
• 写真
• 返信用封筒
• 告示第4の認定を受けた製造特定活動計画認定証の写し
• 雇用契約書の写し
• 申請人の履歴書
• 申請人の身分を証明する文書(パスポートなど)
• 受入企業の概要が確認できる書類
• 受入企業の外国にある事業所と外国人従業員との間で締結された契約書の写し(出向命令書・転勤命令書・辞令など)

4. 出入国在留管理局にて在留資格認定証明書交付申請

手続きは、外国人の方の居住予定地、または受入企業の所在地を管轄する地方出入国在留館局で行います。

5. 在留資格認定証明書の交付

企業の方は、在留資格認定証明書を外国人本人に送付してください。

6. ビザの申請

外国人の方は、国の大使館または領事館にてビザの手続きをします。

必要書類は、以下の通りです。

• ビザ申請書
• 写真
• パスポート
• 在留資格認定証明書

7. ビザの交付・来日

ビザが交付されたら来日し、業務の開始です。

8. 来日後の対応

外国人の方の来日後、受入企業は以下の報告をしなければいけません。

• ハローワークへ届出
• 3カ月に1回のペースで計画の実施状況を経済産業省に報告
• 外国人の帰国時に経済産業省に報告
• 外国人の帰国時にハローワークに届出
• 外国人の帰国した1年後に雇用状況を経済産業省に報告

申請書類

提出書類は、経済産業省のホームページから入手できます。原本1部と写し1部の計2部を提出してください。

 

提出書類は、以下の通りです。

• 製造特定活動計画認定申請書(様式第1号)
• 製造特定活動計画(様式第1号 別紙)
• 製造業外国従業員受入事業に関する事項(様式第1号 別紙1)
• 特定外国人従業員になろうとする者に関する事項(様式第1号 別紙2)
• 製造業外国従業員受入事業に係る実施体制図(様式第1号 別紙3)

 

上記に加えて、以下の添付書類も必要です。

• 登記事項証明書
• 海外生産拠点において実施する事業の内容が確認できる書類
• 海外生産拠点に関する内容が告示第3に規定する趣旨に合致すると判断するために必要と認められる書類(必要に応じて)
• 外国人と受入企業の雇用契約書および雇用条件書の写し
• 外国にある事業所との資本関係が確認できる書類
• 外国にある事業所の概要を明らかにする書類
• 企業買収の事実が確認できる書類(必要に応じて)
• 外国人を受け入れる事業所と受入企業との資本関係が確認できる書類(外国人を受け入れる事業所が受入企業の子会社である場合)
• 外国人ごとの業務計画
• 日本の事業所において同等の技能を有する日本人の報酬額が確認できる書類
• 外国人の勤務年数が確認できる書類
• 外国人を受け入れる事業所ごとの常勤職員数を明らかにする書類
• 直近の損益計算書および貸借対照表

 

書類の提出先または制度に関するお問い合わせ窓口は、以下の通りです。

経済産業省経済産業政策局産業人材課

住所:〒108-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1

連絡先:03-3501-1511(代表) 03-3501-2259(直通)

申請にかかる日数

経済産業省は正式な手続きの前に、事業内容が規定に合致するか・提出書類の記載内容などについて、担当者に事前相談するのを推奨しています。事前相談の申し込みは、お問い合わせ窓口からできるので、担当者から審査にかかる詳細な期間を確認しておくと安心です。

 

在留資格認定証明書交付申請の審査は通常1〜3カ月、ビザ申請は通常5業務日ほどかかります。

 

前述した通り、要件や必要書類は多岐にわたります。それぞれの審査期間に加えて、準備に時間を要する可能性もあるので、スケジュールには余裕を持っておきましょう。

申請における注意点

ここでは、申請における注意点を見ていきましょう。

 

審査のポイントは以下の3つです。

 

1. 本事業の趣旨に合致しているか

海外需要の新規取り込みを目的とする生産活動であるのかが判断のポイントです。

例えば、以下のような基準で審査されます。

• 受注条件として現地生産が課せられている
• 地産地消型の産業で現時点で日本からの輸出実績がない
• 新規生産拠点の設置により日本からの部品輸出増が見込まれる
• 日本国内の生産体制・生産余力では対応できず、現地工場を新設する
• ラインの増設・既存ラインの改良を行う

2. 特定の専門技術の移転の必要性およびその内容が明確であるか

以下のポイントを明確にする必要があります。

• 受け入れる外国人従業員が修得していない技術がある
• 受け入れる外国人従業員が海外生産拠点に帰国した際に担う役割において必要な技術である
• 当該技術の修得において国内生産拠点におけるOJTが有効である

 

受け入れた外国人従業員は、帰国後に海外生産拠点において新製品や新技術の導入に関して中心的な役割を担います。単に技術を修得するだけではなく、以下のような内容を含む必要があります。

• 各工程だけではなく全体工程の技術の修得を実施
• 生産管理や労務管理などのマネジメント能力の修得を実施
• 労働安全衛生や機械の安全管理などの知識の修得を実施
• 人材育成に係る指導者としての知識の修得を実施

3. 受け入れる現地従業員・受入企業が条件に合致しているか

条件については、対象となる外国人の要件と企業の条件の項目で前述した通りです。以下は、特に注意するべきポイントです。

外国人従業員の条件

• 海外子会社などで1年以上の勤務経験がある
• 日本での滞在は最長1年(入国時に6カ月の滞在が認められ、1回のみ更新が可能)
• 家族滞在は不可
• 同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬を支払う
• 帰国後、修得した特定の専門技術を要する業務に就く
• 帰国後1年以内の解雇は禁止

受入企業の条件

• 労働関係法令および社会保険関係法令の遵守
• 受け入れる外国人従業員の帰国担保措置と住居の確保
• 受け入れる外国人従業員が適切にコミュニケーションを取れる体制の構築

製造分野におけるそのほか外国人在留資格

製造分野におけるそのほかの在留資格は、「特定活動(46号)」「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」の4つです。

 

ここでは、それぞれの特徴と製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)との違いについて見ていきましょう。

特定活動(46号)

「特定活動(46号)」は、2019年5月から運用が開始された比較的新しい在留資格です。

 

対象者は、以下の2点を満たす者です。

 

1. 日本の4年生大学または大学院を卒業・修了し学位を授与された者

2. 日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上または日本の大学・大学院で日本語を専攻し卒業・修了した者

 

製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)は外国人の勤務経験が求められるのに対して、「特定活動(46号)」は外国人の学歴や日本語能力を重視しているのが大きな特徴です。通訳・翻訳の必要がある業務や、円滑な意思疎通を必要とする業務に就く場合が多く、高い日本語能力を必要とします。例えば製造業の場合、工場のライン作業で日本人従業員から受けた指示を、日本語が得意ではない技能実習生などに外国語で伝達・指導する役割を求められる場合が多いです。

 

在留期間は、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)は最長1年なのに対して、「特定活動(46号)」は5年を超えない範囲で指定されます。入管法上の問題がなければ、回数制限なしでビザの更新が可能です。

加えて、家族滞在も可能です。

技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」は、それぞれの頭文字を取って技人国ビザと呼ばれる在留資格です。

 

対象者は、以下の通りです。

 

1. 国内外の大学・短大を卒業した者

2. 日本の専門学校を卒業した者

3. 一定年数以上の実務経験がある者(10年以上、職種によっては3年以上)

 

「特定活動(46号)」と同様に、一定の学歴もしくは職務経験が求められます。学歴や職歴に関係した専門知識を必要とする仕事に従事する必要があり、製造業における単純労働での申請は厳しいのが特徴です。いわゆる、ホワイトカラーの職種に対応した就労ビザの1つです。

 

在留期間は、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)が最長1年なのに対して、「技術・人文知識・国際業務」は5年を超えない範囲で指定されます。入管法上の問題がなければ、回数制限なしでビザの更新が可能です。

加えて、家族滞在も可能です。

特定技能

「特定技能」は、人手不足が深刻な分野で、一定の専門知識や技能を持つ外国人を即戦力として受け入れるための在留資格です。製造業では、「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3つの分野が該当します。

 

対象者は、以下の通りです。

 

1. 日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)A2レベル以上

2. 技能評価試験に合格した者

3. 技能実習2号を良好に修了した者

 

「特定技能」の資格者は同一分野の業種であれば転職が可能です。在留期間は、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)が最長1年なのに対して、「特定技能」は4カ月・6カ月・1年のいずれかが与えられます。在留期間の更新回数に制限があるため、在留できるのは最大で5年間と定められています。

 

「特定活動1号」の場合は、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)と同様に家族滞在が認められていません。

技術実習

「技能実習」は、人材育成を通じて技能や知識を発展途上国などの海外に移転し、国際協力を推進するために設けられた在留資格です。海外への技能移転を目的としているため、単なる労働力として外国人を雇用するための制度ではないのが特徴です。

 

在留期間は最大で5年間あり、1年目を1号、2・3年目を2号、4・5年目を3号としています。1年目と3年目にテストがあり、合格した場合のみ次の号へ進めるシステムです。2号を良好に修了すれば、「特定技能」の在留資格に移行が可能です。

 

「技能実習」では、原則として実習期間の6分の1の時間を座学の講習に充てます。講習では、日本語や日本での生活に必要な法律、技能に関する知識を学びます。6分の1の期間は、現場での実習がないため技術修得に費やすことができません。一方、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)であれば、座学での講習の必要がないため在留期間のすべてを技能修得に費やすことが可能です。

 

加えて、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)と同様に、家族滞在は認められていません。

まとめ

この記事では、製造業外国人受入事業(特定活動ビザ)について解説しました。

 

他の就労ビザとの大きな違いは、単なる労働力として外国人を日本に呼び寄せるのではない点です。外国人従業員は、日本で修得した技術を将来的に海外拠点の事業所や子会社に普及させる役割を担います。

 

制度を利用するには、通常のビザ申請の流れに加えて、製造業特定活動計画を作成し経済産業大臣の認定を得なければいけません。必要書類の量も申請におけるステップも、通常のビザに比べて多いのが特徴です。

 

申請準備にはある程度の時間を要します。経済産業省が推奨している通り、担当窓口へ相談すると安心です。また、同時に行政書士などの専門家に依頼して、スムーズに準備を進めてください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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