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中国人が日本で興行ビザを取得する方法をわかりやすく解説

「興行ビザ」は、外国人の方が日本で興行活動や芸能活動をおこなうのに必要です。もちろん、中国人の方も興行に関わる活動をするのであれば必ず取得しなければいけません。

 

「興行ビザ」を取得したい中国人の方、もしくは「興行ビザ」で中国人を呼びたい企業の中には、

 

「取得までの流れや必要書類が知りたい」

「中国人が取得するポイントを知りたい」

 

という方も多いのではないでしょうか?この記事では、中国人が日本で「興行ビザ」を取得する方法とポイントについて解説します。ぜひ、最後までお読みください。

興行ビザとは?

「興行ビザ」とは、外国人の方が日本で演劇や演奏、その他の芸能活動、さらにスポーツなどに関わる興行活動をおこなうのに必要なものです。たとえば、俳優・歌手・モデル・ダンサー・プロスポーツ選手などが当てはまります。就労ビザの1つで、芸能ビザやアスリートビザなどと呼ばれることもあります。

 

「興行ビザ」は、国際文化の理解や交流を深めることで、日本の文化やスポーツの発展に寄与するために設けられました。しかし、保有している外国人は1564人(2021年末時点)と非常に少ないのが特徴です。厳しい要件に加えて必要書類も多いので、申請が難しいビザの1つと言われています。

興行ビザの分類と取得要件

「興行ビザ」は、活動内容によって1〜4号までのカテゴリーに分類されています。ここでは、それぞれの要件について見ていきましょう。

1号

1号は、比較的小規模な飲食をともなう施設で「演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏」の興行活動をするのに必要です。

(例)レストランでのコンサート、キャバレーでのダンスなど

以下は、1号の要件です。

 

1. 学歴・経歴

以下のいずれかを満たしていなければいけません。

 

• 外国の教育機関で、興行活動に関係する科目を2年以上専攻していること
• 外国での興行活動に関係する経験が2年以上あること

 

2. 招へい機関

以下のすべてを満たしていなければいけません。

 

• 外国人の出演者に対して、月額20万円以上の報酬を支払う
• 外国人の興行に関して、3年以上の経験がある経営者または管理者がいる
• 5名以上の常勤職員を雇用している
• 経営者や常勤の職員の中に、人身取引に関与した者・出入国管理および難民認定法に違反した者・売春防止法に違反した者・暴力団関係者がいない
• 過去3年間で外国人出演者・スタッフへの報酬の未払いがない

 

3. 施設

以下のすべてを満たしていなければいけません。

 

• 不特定多数の客を対象に外国人の興行をおこなう施設である
• 客の接待に従事する従業員が5名以上おり、外国人出演者が接待に従事する可能性がない
• 13平方メートル以上の舞台がある
• 9平方メートル以上の控室がある
• 施設の従業員が5名以上いる
• 経営者や常勤の職員の中に、人身取引に関与した者・出入国管理および難民認定法に違反した者・売春防止法に違反した者・暴力団関係者がいない

2号

2号は「演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏」の興行活動をするのに必要です。1号との違いは、比較的大規模な興行活動である点です。

(例)自治体や学校が主催する演劇、コンサートホールでのライブなど

 

以下は、2号の要件です。

以下のいずれかを満たしていなければいけません。

 

• 国、地方公共団体の機関や法人が主催する興行活動、および学校教育法に規定する学校でおこなわれる演劇などの興行活動
• 文化交流の目的で、国・地方公共団体・独立行政法人の資金援助を受けて設立された機関が主催する興行活動
• 敷地面積が10万平方メートル以上の施設でおこなわれる興行活動
• 客席の数が100席以上あり、飲食物を有償で提供せず、客の接待をしない施設でおこなわれる興行活動
• 当該興行での報酬が1日につき50万円以上(団体でおこなう場合は、当該団体が受ける総額)かつ、15日以下でおこなわれる興行活動

3号

3号は「演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏以外」の興行活動をするのに必要です。

(例)試合や大会に出場するプロスポーツ選手・eスポーツ選手、ファッションショーに出演するモデルなど

以下は、3号の要件です。

 

• 日本人と同等以上の報酬を受けること

4号

4号は、興行以外の芸能活動をするのに必要です。

(例)映画撮影に参加する俳優や監督、レコーディングに参加する歌手など

以下は、4号の要件です。

 

1. 以下のいずれかの芸能活動に従事すること

• 商品または事業のプロモーション活動
• 有線放送番組を含む放送番組または映画の製作に関わる活動
• 商業用写真の撮影に関わる活動
• 商業用のレコード・ビデオテープその他の記録媒体に録音または録画をおこなう活動

 

2. 日本人と同等以上の報酬を受けること

中国人を招へいする際の流れ

ここでは、中国人を招へいする際の流れを見ていきましょう。

必要書類、在留資格認定証明書交付申請書の作成

必要書類をすべて作成したら、出入国在留管理局で在留資格認定証明書の交付申請をします。申請は日本でおこなうため、招へい機関や依頼を受けた行政書士などが代理人となる場合が多いです。

 

審査は、通常1〜3カ月ほどかかります。来日するおおよそ3カ月前から申請が可能なので、興行スケジュールに合わせて準備を進めてください。

在留資格認定証明書交付申請書を海外へ送付

許可がおりると、申請をした代理人に「興行」の在留資格認定証明書が送られてきます。代理人は、証明書の原本を申請者本人である中国人に郵送してください。

 

中国への郵送は、時間がかかったり紛失したりすることも考えられます。対策として追跡が可能な国際郵便、たとえばEMS(国際スピード郵便)などを利用するのが良いでしょう。

ビザの申請

証明書の原本が送られてきたら、申請者である中国人本人が日本国大使館または総領事館でビザの申請をします。証明書だけでは、日本へ入国できません。必ず、ビザの申請をしてください。審査は、5業務日ほどかかります。

 

必要書類は、以下のとおりです。

• 在留資格認定証明書の原本
• 契約書のコピー
• パスポート
• 写真
• その他の身分証明書
• ビザの申請書

許可がおりると、パスポートに「興行」のシールが貼られ、ビザが発行されます。

来日

ビザの発行ができたら、3カ月以内に入国するようにしましょう。在留資格認定証明書の有効期限が3カ月なので、来日の日程調整に不備がないように気を付けましょう。

興行ビザの申請に必要な書類

ここでは、申請に必要な書類について見ていきましょう。

申請人に関する書類

以下は、1〜4号すべてに共通する申請人に関する書類です。

1. 在留資格認定証明書交付申請書
2. 写真
3. 返信用封筒
4. 申請人の経歴書または活動に関わる経歴を証明する文書
5. 申請人の日本での具体的な活動内容・期間・地位・報酬を証明する文書

2〜4号は、上記に加えて以下の書類も必要です。

• 興行に関わる契約書の写し(2号)
• 滞在日程表や興行日程表(2〜4号)
• 興行内容の情報が載った広告・チラシ・ホームページの写し(2〜4号)
• 雇用契約書や出演承諾書の写し(3〜4号)

招へい機関・契約機関に関する書類

以下は、1〜4号すべてに共通する招へい機関・契約機関に関する書類です。

1. 登記事項証明書
2. 直近の決算書の写し
3. 従業員名簿

1号は、上記に加えて以下の書類も必要です。

• 契約機関の経営者・管理者・常勤の職員の名簿
• 契約機関の経営者・管理者が興行に関わる業務を通算して3年以上経験していることを証明する資料
• 申立書
• 興行契約に関わる契約書の写し
• 外国人が報酬を受けたことを証明する領収書・銀行口座への振り込み記録の写し
• 給与台帳など報酬を支払ったことを証明する会計帳票の写し
• 非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書などの納税関係書類
• 決算書および法人税申告書の写し

2〜4号は、上記に加えて以下の書類も必要です。

• その他の招へい機関の概要を明らかにする資料(2号)
• 招へい機関が興行を請け負っている場合は、請負契約書の写し(3号)
• パンフレットやホームページの写しなどの案内書(4号)

施設に関する書類

以下は、1〜3号すべてに共通する施設に関する書類です。4号には、施設に関する書類はありません。

1. 営業許可書の写し
2. 間取りなどが記載されている施設の図面
3. 客席・控室・外観などがわかる施設の写真

 

1号は、上記に加えて以下の書類も必要です。

• 興行に関わる契約書の写し
• 登記事項証明書
• 直近の決算書の写し
• その他の契約機関の概要を明記した資料
• 運営機関の経営者・出演施設に関わる業務に従事する常勤の職員の名簿(5名以上雇用していなければいけません)
• 申立書

 

3号は、上記に加えて以下の書類も必要です。

• 登記事項証明書
• 直近の決算書の写し
• 従業員名簿

結核非発病証明書を提出する必要がある場合も

中国の国籍を持つ方で中長期在留者として来日する場合は、在留資格認定証明書交付申請の際に結核非発病証明書の提出が必要です。

 

結核は感染症の1つで、厚生労働省によると、毎年1万5000人以上の患者が発症し、約2000人が亡くなっています。近年では、結核の罹患率の高い国の方が日本滞在中に発症するケースが増加しています。

 

そのため感染症対策として、結核の罹患率の高い国の国籍を持って中長期在留する予定の外国人を対象に、入国前に結核ではないことを証明するための「結核スクリーニング」が導入されました。対象となるのは、フィリピン・ベトナム・中国・インドネシア・ネパール・ミャンマーの国籍を持つ中長期在留予定の外国人です。

中国人を呼ぶ場合のポイント

ここでは、中国人を呼ぶ場合のポイントを見ていきましょう。

プロであることが重要

「興行ビザ」では、申請人である中国人が興行に関するプロであることが重要です。2〜4号は、申請人の経歴や実績に明確な要件を定めていませんが、実績を証明できるようにしておきましょう。

日本で活動を行う施設の契約書、図面、施設の写真が必要

中国人が、日本で興行をおこなう施設の情報も重要です。特に1号と2号は、施設の広さや座席数など細かく要件を定めています。施設の要件を満たしている証明として、以下の資料を用意しておきましょう。

• 興行に関する契約書
• 施設の図面
• 施設の写真

日本で初めて活動する場合は経歴や活動内容の証明を提出する必要がある

 

中国人が日本で初めて興行活動をする場合は、経歴や活動内容の証明が必要です。前述したとおり、中国人が興行に関するプロであることが重要です。今までの経歴や学歴も含め、実績を証明できる資料を用意しておきましょう。

 

たとえば、以下のような書類があると証明しやすいです。

• プロ契約を締結していれば契約書
• ホームページのプロフィール
• 発売されたCDなどの情報
• 公演実績がわかる資料

興行ビザの在留期間

在留期間は「3年・1年・6カ月・3カ月・15日」の5種類があります。必ず希望する期間がもらえるわけではなく、申請人の実績や興行スケジュール、所属機関の規模などを総合的に判断して決定されます。

 

期間を延長したい場合は、申請をすれば更新が可能です。在留期間を過ぎた状態で日本に滞在し続けるのは、不法滞在の罪に問われるので注意してください。

まとめ

この記事では、中国人が日本で「興行ビザ」を取得する方法について解説しました。

 

「興行ビザ」は、1〜4号のカテゴリーに分類され、それぞれ要件と必要書類が異なります。

 

審査では、中国人の方が興行に関するプロであること・興行予定の施設が要件を満たしていることなどがポイントです。さらに、中長期在留する予定であれば、結核スクリーニングを受け、結核非発病証明書を発行しなければいけません。

 

「興行ビザ」を取得するまでには、ある程度の時間と労力が必要です。興行スケジュールに間に合わせるためにも、計画的に準備を進めてください。行政書士などの専門家に依頼すると、スムーズに準備が進められるのでおすすめです。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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