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興行ビザを取得する要件を分かりやすく解説

外国人が日本で興行活動のため来日しようとする場合、興行ビザの取得が必要となります。

 

興行活動とは、興行による収益によって、報酬を得る活動のことです。

 

興行活動とひとまとめに表現していますが、実際に行う活動は多岐にわたります。

 

そのため、来日して行う職業で考えた場合、いろいろな職業がこの「興行ビザ」の対象と考えられます。

 

一般的に想像するのは、歌手や俳優などがコンサートや舞台で来日するケースですが、そのほかにも、プロ野球やJリーグ、サーカスなどで来日する場合も、興行ビザの取得が必要となります。

 

興行ビザを取得するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

 

この記事では興行ビザの種類を説明しながら、興行ビザを取得する要件について分かりやすく解説します。

興行ビザを取得のするための要件

興行ビザを取得するために必要な要件は、どのようなものがあるのでしょうか。

 

興行ビザを取得する場合、来日して行う活動が「興行」によって行われる活動であることが必要です。

 

興行とは、演劇やコンサート、もしくはスポーツなどを行い、入場料をとって客にみてもらうことです。

 

無料のイベントであっても対象になる場合があるので、芸能人が来日して行うイベントは、すべて興行ビザの対象になるかもしれないと、考えるほうが良いでしょう。

 

また、興行ビザには興行活動ではない芸能活動について発行される種類のビザがあります。

 

そのため、芸能人が来日する場合は、興行ビザなのか、他のビザに該当するのかについてを、よく確認することが必要です。

 

興行ビザの取得にあたっては、細かい規定があります。

 

ビザの種類は、来日して行う活動内容や、規模、活動場所によって、興行ビザ1号から興行ビザ4号までの種類があります。

 

その規定は、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令にて定められています。

 

興行を行うために来日するという目的は一緒であっても、職業によっての違いや、その外国人を日本によび寄せる招聘機関によっても、ビザの種類が異なってきます。

 

興行を行う施設がどのようなものなのかについても、非常に細かい規定があります。

 

来日してイベントを行う予定であったのに、開催場所がビザの規定にあわず、イベント自体を開催することができなくなってしまうケースもあります。

 

そのため、規定をしっかりと把握したうえで、興行ビザの取得をする必要があるのです。

 

興行ビザは、来日する本人以外にも、スタッフなどあわせて来日する外国人も同じ興行ビザを取得する必要があります。

 

スタッフの仕事内容によっては興行ビザではない別の種類のビザが該当する場合がありますので、こちらについても、仕事内容をよく確認しなければなりません。

 

また、来日する外国人が、興行のためであっても、指導者的な立場での来日の場合は、「芸術」ビザに該当する場合があります。

 

以上のことから、興行ビザ1号から興行ビザ4号まで、各ビザの取得要件については、よく把握し、確認したうえで興行ビザの申請を行うことをおすすめします。

「興行ビザ1号」の取得要件

興行ビザ1号は、比較的小規模な演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏での興行を行う際に申請するビザです。

 

飲食店に設置されている舞台でのステージなどが想定されます。

 

興行ビザ1号の取得要件は非常に厳しく設定されています。

 

なぜなら、法改正以前は、興行ビザで来日したものの、実際には接客のある仕事に就くケースが散見されたことから、そのような不法就労や不法滞在を未然に防ぐために、非常に厳しい規定を設けているためです。

 

要件を確認して、ビザの取得に備えることが必須となります。

 

興行ビザ1号の取得要件は以下のとおりです。

学歴・経歴

申請人の学歴や経歴に関する規定は次のいずれかに該当することが要件となります。

•外国の教育機関において活動に関連する科目を2年以上の期間専攻した。

•2年以上外国においてその活動を経験した。

ただし、興行における1日の報酬の総額が500万円以上である場合はこの限りではありません。

 

興行が個人ではなく、団体での興行であった場合でも、団体で受ける報酬の総額で考え、500万円以上である場合はこの規定に含まれません。

報酬

申請人が興行を行う場合、その興行を行う機関との契約に基づいて活動を行います。

 

その契約の内容として、興行を行う機関が申請人に対して、月額20万円以上の報酬を支払うことがあきらかにされている必要があります。

 

つまり、申請人の報酬は、月額20万円以上が支払われることが興行ビザ1号取得において必須となります。

招聘機関

•申請人と興行契約を行う機関は、次のいずれにも該当しなければなりません。

•外国人の興行に3年以上の経験を持つ経営者または管理者がいる。

•常勤の職員が5名以上いる。

•機関の経営者または常勤の職員は次のいずれにも該当しない。

 o 人身取引などを行ったり、仕向けたり、助けたりした者

 o 過去5年間に外国人に不法就労活動をさせたり、斡旋したり、不法就労活動を行うことを助けた者

 o 過去5年間に、店舗の営業活動のために、外国人に文書を偽造して不正にビザを取得させたり、仕向けたり、不正行為を助けたりした者

 o 集団密航についての罪および、売春についての罪により刑に処せられ、刑の執行の終了または、執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 o 暴力団員である、もしくは暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

•過去3年間において、契約した興行の在留資格をもって在留する外国人に対して報酬の全額を支払っている。

ただし、民族料理を提供する飲食店で、民族音楽の歌や踊りや演奏をする場合はこの限りではありません。

施設

興行を行う施設が次のいずれの要件にもあてはまることが必要です。

ただし、興行の在留資格をもって在留する者が申請人以外にいない場合は、「6」にあてはまれば認められます。

1. 不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設である。

2. 客の接待をして客が遊んだり飲食をしたりする施設である場合で、次に掲げるいずれの要件にも適合している

 1. 他から見通すことが困難な飲食店で、広さが5平方メートル以下の客席がある施設であり、客の接待をする従業員が5名以上いる。

 2. 興行の在留資格で活動する者は、客の接待をしない。

3. 13平方メートル以上の舞台がある。

4. 9平方メートル(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1.6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室がある。

5. 施設の従業員数が5名以上である。

6. 施設を運営する経営者や常勤の職員が、次のいずれにも該当しない。

 1. 人身取引などを行ったり、仕向けたり、助けたりした者

 2. 過去5年間に外国人に不法就労活動をさせたり、斡旋したり、不法就労活動を行うことを助けた者

 3. 過去5年間に、店舗の営業活動のために、外国人に文書を偽造して不正にビザを取得させたり、仕向けたり、不正行為を助けたりした者

 4. 集団密航についての罪および、売春についての罪により刑に処せられ、刑の執行の終了または、執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

 5. 暴力団員である、もしくは暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

注意点

興行ビザ1号は、興行ビザ2号の規定以外を定めたものです。

 

そのため、興行ビザ2号の規定にあてはまる場合は、興行ビザ1号の申請をすることができませんので、注意が必要です。

 

施設については、興行中に飲食を提供しないことが興行ビザ2号の要件ですが、興行中での提供がない場合でも、提供する設備があれば興行1号に該当するとみなされるケースがありますので、覚えておくとよいでしょう。

「興行ビザ2号」の取得要件

興行ビザ2号は、興行ビザ1号よりも規模の大きい、演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏での興行を行う際に申請します。

 

一般的なコンサートホールでの公演などがこれにあたりますので、多くはこの興行ビザ2号にあてはまると想定されます。

 

興行ビザ2号の取得要件としては、行われる興行がつぎのいずれかにあたることです。

国や地方公共団体、日本の法人、学校の主催

国や地方公共団体、日本の法人、学校が主催する演劇などの興行活動をする場合です。

 

日本で法律的に設立された法人であれば、これに該当します。

 

学校は専門学校も含まれますが、学校内での興行を示しているため、学校外で行う場合は、他の要件に照らし合わせる必要があります。

文化交流

外国との文化交流が目的で国、地方公共団体または独立行政法人の資金援助を受けて設立された機関が主催する、演劇などの興行活動をする場合です。

テーマパークなど

外国の情景や文化をテーマとしている、外国人による演劇などの興行を常に行っている、敷地面積が10万平方メートル以上の施設において、興行活動をする場合です。

チャリティ活動や、100人以上の施設での興行

営利目的ではない場合や、客席が100人以上であり、客席において飲食物の販売や接待をしない施設で、演劇などの興行活動をする場合。

 

通常のコンサートホールでの公演などがこれにあてはまります。

1日の報酬が50万円以上で15日を超えない興行

興行により団体、もしくは個人に支払われる報酬額が、1日につき50万円以上であり、15日を超えない期間日本に在留して演劇などの興行活動をする場合。

注意点

興行ビザ2号にあてはまる施設は、飲食を提供しないことが必要です。

 

イベント中に飲食物を提供しないとしても、施設内に提供できる場所が設置されていた場合、許可が下りない場合があります。

 

興行ビザ2号で興行を行うためには、行う施設の確認を必ず行うことをおすすめします。

「興行ビザ3号」の取得要件

興行ビザ3号の要件として法令で定められていることは、日本人がその仕事をする場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることだけです。

 

そのため、興行ビザ3号の取得要件としては、申請人が行う興行活動が興行ビザ3号にあてはまるかどうかが重要だといえます。

「興行ビザ3号」に該当する外国人

興行ビザ3号は、演劇などの芸能活動以外で、報酬を得て活動をするプロが該当します。

 

つまり、興行ビザ1号、興行ビザ2号の活動にあたらない興行活動であれば、興行ビザ3号の対象と考えらえる可能性があるということです。

 

興行活動の例としては、プロスポーツや、サーカス、コンテストなどで、個人競技だけでなく、団体競技においても、興行ビザ3号の取得が必要となります。

 

具体的な例としては以下のとおりです。

•プロ野球(独立リーグもプロチームであるため、要件を満たしていれば含まれる)

•Jリーグ(サッカー)

•BJリーグ(バスケットボール)

e-スポーツ選手も興行ビザ3号の対象です。

 

しかし、興行ビザ3号の規定は難しく、プロチームであっても興行収入やスポンサー収入からの収益をもって選手に報酬を与える契約を行っていなければ、興行ビザ3号以外のビザにあたる場合があります。

 

例えば実業団チームは、企業の収益から報酬もしくは給与が支払われるため、興行ビザではなく、特定活動ビザを申請します。

 

アマチュアであるか、プロであるかが判断基準とも言えますが、スポーツによってはその基準が異なるため、ビザの規定にあわせて確認するとよいでしょう。

 

なお、コンテストや、ゴルフのように、賞金のみが報酬であるものは、興行ビザ3号の対象となります。

 

また、他の興行ビザでも同じことがいえますが、主となるプロ選手以外に、トレーナーやコーチなどの関係者も、選手と同じ種類の興行ビザを取得して来日する必要があります。

 

例外として関係者がマーケティングの仕事を行う場合には、技術・人文知識・国際業務ビザになる場合があるため、仕事内容をよく確認して申請を行う必要があります。

注意点

興行ビザ3号は、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏以外の興行活動が対象ですが、外国人をよぶ機関が興行収入やスポンサー収入をもとに報酬を支払うかどうかがポイントとなります。

 

その規定を満たさない場合は、別の興行ビザになる可能性があります。

 

また、同行者の行う活動も別のビザになる可能性があるため、来日する外国人の活動内容の把握と確認も必要といえるでしょう。

「興行ビザ4号」の取得要件

興行ビザ4号は、興行以外の芸能活動を行う場合に申請します。

要件は、日本人がこの活動を行う場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることです。

興行以外の芸能活動は、いろいろな活動が考えられますが、以下の活動のいずれかに含まれることが必要です。

商品または事業の宣伝活動

宣伝活動で来日するケースが該当します。

 

興行ビザ4号は、「興行」以外の活動について認められますので、宣伝で来日しても、イベントが行われる、もしくは舞台挨拶など観客がいる場所での活動がある場合は、あてはまりません。

放送番組、または映画の製作活動

番組に出演することや、ドラマや映画の撮影を行う場合が該当します。

日本の企業との契約だけでなく、外国の企業との契約をもとに日本で撮影する場合にも興行ビザ4号があてはまります。

放送番組には、有線放送も含まれます。

商業用写真の撮影活動

雑誌の写真撮影や、プロモーション用のスチール撮影などが該当します。

 

撮影会などのイベントはあてはまりません。

商業用の録音または録画を行う活動

レコーディングやプロモーションビデオの撮影などが該当します。

 

こちらも公開録音など観客がいる状況ではあてはまりません。

注意点

興行ビザ4号は興行以外の芸能活動において認められるビザであるため、観客を動員してのイベントなどはすべてあてはまりません。

 

無観客であっても、客席がある施設で公演を行う場合は、興行ビザ4号にはあてはまらないと考えられますので、確認が必要です。

まとめ

興行ビザは1号から4号までの種類があり、それぞれに取得要件があります。

 

細かい規定があるため、それぞれの要件を把握したうえで、申請人が行う日本での活動が、どの興行ビザにあてはまるのかを確認する必要があります。

 

また、興行ビザ3号のように、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏以外の興行を行うために来日する際には、興行契約を行う機関が、スポンサー収入か興行収入からの報酬を支払う必要があるため、招聘機関の確認も必要となります。

 

このように、興行ビザの取得要件は細かい規定があり、わかりにくいため、わからない場合や、不安な場合は「さむらい行政書士法人」へご相談ください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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