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興行ビザ1号の取得ポイントをわかりやすく解説

「興行ビザ」は、外国人の方が日本で興行に関わる活動をするのに必要な在留資格です。法務省の在留資格別在留外国人のデータによると、興行ビザ1号を保有している外国人は、2023年6月時点で22,120人となります。数あるビザの中でも要件が厳しく必要書類も多岐にわたるため、申請が難しいとされています。

 

この記事では、1号を検討されている方に向けて「興行ビザ1号」の取得ポイントをわかりやすく解説します。ぜひ、最後までお読みください。

 

興行ビザの概要については、こちらを参照ください。

「興行ビザ1号」と他のビザとの違い

興行ビザ1号は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏などの興行に関わる活動を行う外国人を対象とした在留資格です。他のビザとの主な違いは、以下のとおりです。

活動内容

興行ビザ1号は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏などの興行に関わる活動を行うことが認められています。一方、他のビザでは、興行活動が認められていない場合があります。

報酬

興行ビザ1号は、1日の報酬が50万円以下の場合、報酬を受け取ることが認められています。一方、他のビザでは、報酬を受け取ることが認められていない場合があります。

在留期間

興行ビザ1号の在留期間は、3年、1年、6か月、3か月、15日の5パターンから選択できます。一方、他のビザでは、在留期間が3年や1年など選択肢が限られている場合があります。

申請方法

興行ビザ1号の申請は、在留資格認定証明書交付申請書を日本国外にある日本国大使館または領事館に提出します。一方、他のビザでは、在留資格変更許可申請書または在留資格取得許可申請書を日本国内にある法務局に提出します。

興行ビザ1号に該当する外国人

前述したとおり「興行ビザ1号」は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行に関わる活動をするのに必要です。ここでは1号に該当する外国人について具体的に見ていきましょう。

 

1号は、比較的小規模な飲食を提供する施設で興行活動をする外国人に当てはまります。具体例としては、以下となります。

・ライブハウスやレストランでのコンサートに出演する演奏家や歌手

・キャバレーやクラブでのダンスショーに出演するダンサー

・ショーパブでのパフォーマンスをするアーティスト

2号も、1号と同じく演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行に関わる活動が基準ですが、違いは、報酬と施設の規模となります。興行ビザの中でも1号は細かい要件が設けられており、取得するには、それらを正しく理解しておく必要があります。

興行ビザ1号の取得要件

4つのカテゴリーに分類されている興行ビザですが、前述したようにそれぞれ活動内容の範囲が異なります。中でも1号は比較的小規模の施設での興行活動を想定しているため、活動内容の範囲が狭いのが特徴です。

 

さらに、1号は興行ビザの中で最も要件が厳しいとされています。キャバレー・クラブ・スナックという場所の特性上、不法就労や人身売買などの犯罪行為がおこる可能性も考えられるからです。実際に興行ビザによる不法就労や不法残留が多発したため、平成18年6月より審査が厳格化されました。

 

取得するには、学歴や経歴・報酬・招へい機関・施設のそれぞれで定められた要件を満たさなければなりません。ここでは興行ビザ1号の要件について詳しく見ていきましょう。

学歴・経歴

学歴・経歴については、以下のいずれかを満たしていなければなりません。

・外国の教育機関で、当該活動に関する科目を2年以上専攻している

・外国で当該活動に関する経験が2年以上ある

ここでいう「教育機関」とは、専門学校や大学などを指します。たとえば、個人的なレッスンや塾などは含まれません。さらに、教育機関1年+実務経験1年=2年以上という場合も認められないため、注意が必要です。

報酬

申請人は、該当する機関との契約に基づいて興行活動を行わなければなりません。ここでいう契約とは、該当する機関が申請人に月額20万円以上の報酬を支払うことが明示されている場合です。契約書などに明確に記されている必要があります。

招へい機関

招へい機関とは、日本で就労したい外国人を呼び寄せる企業を指します。いわゆる、ビザスポンサーと呼ばれる存在です。招へい機関については、以下のすべてを満たしていなければいけません。

・外国人の興行に関わる業務について3年以上の経験がある経営者や管理者がいる

・5名以上の職員が常勤で雇用されている

・招へい機関の経営者や常勤の職員が、過去5年間に人身取引や売春防止法違反の罪で処されていない、さらに暴力団や反社会的勢力の一員になっていない

・過去3年間の興行契約において、外国人に対して支払う報酬のすべてを支払っている

例外として、外国の民族料理を提供する飲食店での契約で、月額20万円以上の報酬を受けて当飲食店で外国の民族音楽に関する歌謡・舞踏・演奏などの興行活動を行う場合は、上記の要件を満たしていなくても構いません。民族料理を提供する飲食店とは、在留資格「技能」を持つ調理師がいる飲食店を指します。

 

過去に興行ビザの招へい機関になった経験がない場合は、新しく1号で招へい機関になるのは難しいです。ただし、外国人の在留期間が15日以内で、1日あたりの報酬額が50万円以上の場合は、2号の基準に当てはまります。このような場合は、招へい実績がなくても2号で申請の許可がおりる可能性があります。

施設

施設については、以下のすべてを満たしていなければなりません。

・不特定多数の客を対象として外国人の興行を行う施設である

・風俗法第2条第1項第1号または第2号に規定する営業を営む施設の場合は、接待に従事する従業員が5名以上おり、興行活動をおこなう外国人が客の接待に従事するおそれがない

・13平方メートル以上の舞台がある

・9平方メートル以上の出演者の控室がある(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数1名につき1.6平方メートルを加えた面積が必要)

・当該施設に従業員が5名以上いる

・当該施設の運営機関の経営者や常勤の職員が、過去5年間に人身売買や売春防止法違反の罪で処されていない、さらに暴力団や反社会的勢力の一員になっていない

不特定多数の客を対象としているため、例えば会員制の施設などは当てはまりません。さらに興行ビザでの接待も認められていません。配膳などの業務も同様に範囲外の活動になるため注意してください。必ず接待に従事する従業員が別にいなければなりません。

 

出演者の控室が施設の同一建物内に用意できない場合、興行に影響しない距離であれば、施設の外にあっても問題ないです。

 

例外として、当該施設で興行活動を行う者が申請者以外にいない場合は、上記で記した最後の項目「当該施設の運営機関の経営者や常勤の職員が、過去5年間に人身売買や売春防止法違反の罪で処されていない、さらに暴力団や反社会的勢力の一員になっていない」のみを満たしていれば良いとされています。

「興行ビザ1号」の発行手順

ここでは「興行ビザ1号」の発行手順を見ていきます。書類の準備にかかる時間と審査にかかる期間を考慮して興行スケジュールから逆算し、予定に間に合うよう準備してください。

在留資格認定証明書

出入国在留管理局で在留資格認定証明書を発行します。必要書類を集めたら、招へい機関などの受け入れ先が代理人となって日本で申請します。申請の際に、代理人の身分を証明する文書、例えば会社の身分証明書などの提示が必要です。

 

審査の期間は通常、1~3ヶ月ほどです。予定している興行活動に間に合うように申請してください。来日する予定の3ヶ月ほど前から、申請が可能です。在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月です。余裕をもって準備をするのが重要ですが、あまり早すぎると入国前に期限が切れてしまう可能性もあるため、気をつけてください。

 

審査の結果、受理されると在留資格認定証明書が発行されます。証明書があれば、すぐに入国許可というわけではありません。証明書は、ビザ発行の審査をスムーズに行うための事前準備だと考えてください。

 

発行に必要な書類については次項で解説します。

興行ビザの発行

在留資格認定証明書が発行されると、申請をした代理人に送られます。代理人は、申請者本人である外国人に原本を郵送します。原本が届いたら、必要な書類をそろえてお住いの国の日本大使館または総領事館でビザ発行の手続きをしてください。

 

在留資格認定証明書の申請は、日本で行うため代理人を通してできます。しかし、ビザの申請は原則として申請者本人が行う必要があるため、注意してください。

 

ビザの発行に必要な書類は、以下の通りです。

・在留資格認定証明書(原本)

・パスポート

・写真

・その他の身分証明書

・ビザ申請書

ビザの審査は通常5業務日ほどかかります。ビザ申請の許可がおりたら、申請を行った日本大使館または総領事館にパスポートを取りに行きましょう。許可されていれば、パスポートに「興行」のシールが貼られます。

来日

無事にビザ申請が完了したら、いよいよ来日です。前述した通り通り、在留資格認定証明書だけでは入国できません。必ずビザを取得してから入国してください。

興行ビザ1号の申請に必要な書類

ここでは「興行ビザ1号」の申請に必要な書類について見ていきましょう。

申請人に関する書類

申請人に関する書類は、以下の通りです。

1. 在留資格認定証明書交付申請書1通

必ず1号の申請書を用意してください。申請書は出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。

2. 写真1葉

縦4センチメートル・横3センチメートルで提出日前の3ヶ月以内に撮影されたものを用意して、申請書に添付します。指定の規格を満たさないと、写真の撮り直しを要求されるので注意しましょう。

3. 返信用封筒 1通

定形封筒に返信先住所を明記し、404円分の切手を貼付したものを用意してください。

4. 申請人の経歴書または活動に関わる経歴を証明する文書 適宜

ホームページのプロフィール・公演実績など

5.申請人の日本での具体的な活動内容・期間・地位・報酬を証明する文書 1通

報酬を証明する文書は、支払いの時期や方法を明示しなければなりません。さらに、報酬から控除される費用や報酬受領後に支払うべき費用が予定されている場合は、その額および算定根拠を明示した文書が必要です。

招へい機関・契約機関に関する書類

招へい機関・契約機関に関する書類は、以下の通りです。

1. 契約機関に関わる以下の資料

・登記事項証明書 1通

・直近の決算書の写し 1通

・その他の契約機関の概要を明記した資料 適宜

2. 興行契約に基づいて演劇などの興行に関わる活動をする場合は以下の資料

・契約機関の経営者・管理者・常勤の職員の名簿 1通

※5名以上雇用していなければなりません。

・契約機関の経営者・管理者が興行に関わる業務を通算して3年以上経験していることを証明する資料 適宜

・申立書 1通

契約機関の経営者や常勤の職員が、入管法第7条第1項第2号「興行」の項の下欄第1号ロ(3)に掲げる者のいずれにも該当していないことを申し立てる文書です。申立書は、出入国在留管理庁のホームページリンクのからダウンロードできます。

・契約機関が過去3年間に結んだ興行契約に基づいて、興行の在留資格をもつ外国人に対して、報酬の全額を支払っていることを証明する以下のいずれかの文書

A.興行契約に関わる契約書の写し 適宜

B.外国人が報酬を受けたことを証明する領収書・銀行口座への振り込み記録の写し 適宜

C.給与台帳など報酬を支払ったことを証明する会計帳票の写し 適宜

D.非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)などの納税関係書類 適宜

E.決算書および法人税申告書の写し 適宜

3. その他の参考となる資料 適宜

・滞在日程表・公演日程表・公演内容を知らせる広告やチラシなど

滞在日程表は、滞在ホテル・フライト情報・移動日程などがまとめられたものを作成してください。

・施設に関する書類

施設に関する書類は、以下の通りです。

  • 1.興行を行う施設の概要を証明する以下の資料

営業許可書の写し 1通

・間取りなどが記載されている施設の図面 1通

・客席・控室・外観などが写っている施設の写真 適宜

  • 2.興行に関わる契約書の写し 1通

興行契約書のほかに契約機関と出演施設を運営する機関との出演に関する契約書なども含みます。

  • 3.出演施設を運営する機関に関する以下の資料

・登記事項証明書 1通

・直近の決算書の写し 1通

・その他の契約機関の概要を明記した資料 適宜

・運営機関の経営者・出演施設に関わる業務に従事する常勤の職員の名簿 1通

※5名以上雇用していなければなりません。

・申立書 1通

運営機関の経営者や常勤の職員が、入管法第7条第1項第2号「興行」の項の下欄第1号ハ(6)に掲げる者のいずれにも該当していないことを申し立てる文書です。

申立書は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。

興行ビザ1号の在留期間

ここでは興行ビザ1号の在留期間について見ていきましょう。

在留期間

在留期間は、3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・15日の5種類です。以下の観点から、総合的に審査されて決まります。

・就労予定期間

・希望する在留期間

・所属機関の規模や安定性

・外国人の方の活動実績

必ず希望する在留期間がもらえるわけではないので注意してください。3年や1年といった長めの期間を許可されるケースは、日本で長く興行活動している方や、大きな実績のある方がほとんどです。例えば、外国人力士やプロスポーツ選手などが挙げられます。

 

在留期間の日数は、入国してからカウントされます。在留資格認定証明書が交付された日やビザが発給された日からではありません。勘違いしやすいポイントのため注意してください。例えば3ヶ月の在留期間をもらって1月1日に入国したのであれば、4月1日までがその人の在留期間の期限です。

在留期間を更新するには?

「興行ビザ」は、在留期間を更新できます。許可された在留期間を超えて日本に滞在し続けるのは不法滞在です。必ず在留期間更新許可申請をしてください。

 

手続きは出入国在留管理局で行います。必要な書類は以下の通りです。

1.在留期間更新許可申請書 1通

申請書は出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。

2.写真 1葉

縦4センチメートル・横3センチメートルで提出日前の3カ月以内に撮影されたものを用意して、申請書に添付します。指定の規格を満たさないと、写真の撮り直しを要求されるので注意しましょう。

詳しい規定は、こちらから確認してください。

3.パスポートおよび在留カード

窓口で提示します。

4.具体的な活動の内容・期間を証明する以下のいずれかの文書

在職証明書 1通

雇用契約書の写し 1通

上記に準ずる文書 適宜

5.興行に関わる契約書の写し 1通

興行契約書の他に、契約機関と出演施設を運営する機関との出演に関する契約書なども含みます。

6.住民税の課税または非課税の証明書および納税証明書 各1通

1年間の総所得および納税状況が記載されたものを用意してください。更新のタイミングや給与体系によっては、日本での証明書が発行できない場合もあります。その場合は、代替の書類を用意してください。

7.前回の申請時から出演施設などに変更が発生した場合は、変更後の出演施設などの概要を明記した資料 適宜

8.活動日程表 1通

更新をする際に、基準を変更することも可能です。例えば、今までは1号だったものを2号に変更できます。ただしその際は、定められている要件を満たし、必要書類を新たに準備しなければいけません。

まとめ

この記事では、興行ビザ1号を取得する際のポイントについて解説しました。

 

興行ビザは、活動内容によって1号?4号に分類されます。1号は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行に関わる活動をする場合に当てはまります。1号を取得するには、細かく基準と要件が定められているので、正しく理解しなければいけません。

 

確認すべき基準と要件に加えて、必要な書類の量も多いため、数あるビザの中でも申請が難しいとされています。さらに近年では興行ビザによる不法就労などが問題となり、審査も厳格化しています。

 

しかし、厳しい基準と要件を理解し、しっかりと準備すれば取得は可能です。予定されている興行スケジュールに間に合うように、余裕をもって申請の予定を組みましょう。スムーズに準備したい方や不安な方は、行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

 

さむらい行政書士法人でも興行ビザ申請手続きをサポートしております。お気軽にお問い合わせください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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