興行ビザを取得するための必要書類は?書類別の準備時の注意点も解説
外国人のアーティストやダンサー、モデル、スポーツ選手を日本へ招へいして活動してもらうために必要なビザが「興行ビザ(在留資格:興行)」です。しかし、興行ビザは就労系ビザの中でも特に審査が厳しく、必要書類も多岐にわたるため、手間と労力がかかります。
特に申請が初めての場合、「どの書類を揃えればよいのか」「自分のケースではどこに注意すべきか」と悩む方も多いでしょう。そこで本記事では、興行ビザ申請に必要な書類や申請時の注意点、ビザ取得を成功させるポイントを解説します。
興行ビザの基本
興行ビザ(在留資格「興行」)は、外国人の芸能活動やスポーツ活動、モデル活動、制作・収録などを日本で行うために必要となる就労系ビザです。活動内容に応じて求められる要件や書類が大きく異なるため、まずは興行ビザがどのような活動を対象としているのかを理解することが重要です。
興行ビザで認められる主な活動
興行ビザで認められる活動は大きく3つに分類され、対象範囲は非常に広いのが特徴です。代表例として、外国人歌手やダンサーが出演するライブや舞台、俳優による公演、海外モデルのファッションショー出演、プロスポーツ大会への参加、テレビ番組や映画の撮影・収録があります。
これらは、観客を入れる興行活動か、制作・撮影中心の芸能活動かによって区分が分かれ、求められる書類や会場要件が異なります。さらに、芸能人のマネージャー、演出家、振付師、コーチなど、興行に不可欠なスタッフも対象となる場合があり、契約内容と役割が明確であることが重要なポイントとなります。
在留期間と活動範囲の基本ルール
興行ビザの在留期間は「3年/1年/6月/3月/30日」と複数の設定があり、活動内容や契約期間に合わせて決定されます。短期イベントや単発の収録であれば30日や3月が選択されることが多く、継続した公演やシリーズ制作など長期の活動であれば1年や3年が付与されることもあります。
また、在留資格ごとに認められる活動範囲が明確に定められており、特定の活動のみが許可される点に注意が必要です。興行ビザで認められていない副次的な活動を行う場合は、事前に「資格外活動許可」を申請しなければ不法就労と判断される可能性があります。
無報酬活動でもビザが必要となる理由
興行ビザで特に誤解が多いのが「無報酬ならビザは不要では?」という点です。入管が重視するのは“報酬の有無”ではなく、“活動内容の社会的性質”です。たとえば、観客を入れるライブに出演したり、商業目的のイベントに参加したりする場合は、無報酬であっても実質的には興行活動と判断され、興行ビザが必要になります。
交通費や宿泊費のみ支給されるボランティアライブでも、不特定多数の観客を対象とする場合は注意が必要です。逆に、企業内の研修やクローズドな収録など、観客のいない非商業的活動に該当する場合は、別の在留資格が適切となる可能性があります。活動内容を正しく区分することが、申請成功の第一歩といえるでしょう。
興行ビザの活動区分(1号・2号・3号)の違い
興行ビザは、活動内容によって「1号・2号・3号」の3種類に区分されています。公演・スポーツ・制作など活動の性質に応じて求められる書類や要件が大きく異なるため、まず自分のケースがどの区分に該当するのかを正しく判断することが、申請成功への最重要ポイントとなります。
興行ビザ1号の区分(イ・ロ・ハ)と要件の違い
興行ビザ1号は、演劇・音楽・舞踊など「観客を入れる公演活動」が対象で、イ/ロ/ハの3つに細分化されています。
区分 | 主な対象 | 特徴・要件の例 |
|---|---|---|
1号イ | 劇場・ホール等 | 風営法1〜3号以外で行う公演。招聘機関の適正性、契約内容の明確化が必須。 |
1号ロ | 公的色が強い公演 | 公的機関主催、敷地10万㎡施設、収容人数100人以上、報酬50万円/1日など緩和条件を満たす場合。 |
1号ハ | ライブレストラン等 | 舞台13㎡以上、控室9㎡以上、常勤職員5名以上など、厳格な数値要件の疎明が必要。 |
とくに1号ハは施設基準が細かく、図面・座席表・写真などを揃えて立証することが申請成功の鍵となります。
興行ビザ2号(スポーツ等)の対象者と要件
興行ビザ2号は、スポーツやその他の興行活動に従事する外国人を対象とし、以下のようなケースが該当します。
■ 主な対象者
- プロスポーツ選手(サッカー・野球・格闘技など)
- サーカス団員
- eスポーツ選手
- 興行性のあるスポーツイベントの出演者
■ 主な審査ポイント
- 日本人と同等額以上の報酬設定
- 契約書に地位・報酬・活動期間が明確に記載されているか
- 競技内容と報酬額との整合性
- 主催者の運営体制や信用性
報酬額が低すぎたり契約内容が曖昧だと「要件不適合」と判断され、不許可リスクが高まります。活動内容を客観資料で十分に説明することが重要です。
興行ビザ3号(制作・収録中心活動)の特徴
興行ビザ3号は、観客を入れない「制作・収録中心」の芸能活動が対象です。
■ 代表例
- CM撮影・広告撮影
- 映画・ドラマ・番組収録
- 商業写真撮影
- レコーディング(音源録音)
■ 判断のポイント
- 観客の有無が最大の基準
- 収録場所・日程・出演内容を契約書で明確化
- 日本人と同等額以上の報酬設定
- 制作スケジュールの特定(曖昧だと追加資料の対象)
3号活動は、公開イベントとの線引きが重要です。撮影が一般公開される場合は1号・2号に該当することもあり、活動内容の整理と書類の整合性が求められます。
興行ビザの取得方法・流れ・期間
興行ビザは「在留資格認定証明書(COE)→査証申請」という2段階の手続きで進むため、一般的な就労ビザより準備項目が多くなります。活動区分の判断、会場や契約書類の準備、追加資料対応など、事前計画が成否を左右するため、スケジュール管理と書類精度が特に重要です。
申請前に行うべき事前確認と計画立案
興行ビザ申請を成功させるためには、申請前の「事前計画」が最重要です。まず公演内容や出演者、会場、期間などを整理し、どの区分(1号・2号・3号)に該当するかを確定します。会場の施設要件が厳しい1号ハの場合は、図面・寸法の確認を早期に行う必要があります。また、契約書の締結、収支計画、出演者の実績資料の収集など、準備項目が多岐にわたるため、以下のような逆算スケジュールが有効です。
■ 事前に確認すべき主な事項
- 活動区分の確定(1号イ/ロ/ハ・2号・3号)
- 会場の施設・収容人数・用途区分
- 契約内容(報酬・地位・活動内容)の明確化
- 出演者の実績証明資料の収集
- 収支計画・主催者の信用性資料の準備
COE申請から査証取得までの具体的な流れ
興行ビザ取得は、次のような流れで進みます。
【興行ビザ取得の標準フロー】
- 計画策定(会場確保、出演オファー、収支計画)
- 要件チェック(区分の当てはめ・施設要件・報酬基準)
- 必要書類の収集・作成(申請人・主催者・会場・契約書など)
- COE(在留資格認定証明書)申請
- 審査・追加資料対応
- COE交付 → 本人へ郵送
- 海外の日本大使館・領事館で査証申請
- 来日・入国審査
特に注意すべきは「追加資料請求」です。契約書と実績資料の整合性、施設要件の資料不足などが指摘されやすいため、事前に一貫性のある資料を用意しておくことがスムーズな審査につながります。
審査期間の目安とスケジュール確保のポイント
興行ビザの審査期間は案件によって大きく変動するため、必ず余裕を持ったスケジュールを確保する必要があります。
■ 審査期間の目安
- COE審査:1〜3か月
- 査証審査:5営業日程度
- COE郵送期間:3〜7日程度
特に、初めて興行ビザを申請する企業や団体は審査が長期化しやすい点に注意が必要です。また、大型イベントや複数出演者を招へいする案件では、追加資料の要求が増える傾向があり、1か月以内の取得が難しくなります。
■ スケジュール確保のポイント
- 公演日から 最低2〜3か月前 には準備を開始する
- 会場図面・消防書類は早期に確保する
- 契約内容は関係者間で早めに確定する
- 海外への郵送期間も必ず見込んでおくこと
準備が遅れると、イベント自体の延期につながることもあるため、早期の計画策定が欠かせません。
興行ビザ申請に必要な書類
興行ビザの必要書類は、申請人・活動内容・主催者・会場・報酬の5つのカテゴリに分かれます。活動区分(1号・2号・3号)によって求められる資料が異なるため、どの区分に該当するかを確定した上で、各資料を整合的に揃えることが審査通過の重要なポイントです。
申請人に関する書類
申請人(出演者・選手など)に関する書類は、活動内容の信頼性を示す基礎資料として重視されます。主な必要書類は以下のとおりです。
■ 主な必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 経歴書
- 過去の芸能活動を証明する資料
(例:ポスター、プログラム、新聞・雑誌記事、SNSフォロワー数など)
書類を準備する際は、出演者の実績がわかる資料を複数用意するほど信用性が高まります。その際、出演時の役割(主演・出演・サポートなど)を記載すると良いでしょう。
過去の実績が乏しい場合は、受賞歴や公式証明書など、第三者が発行した資料を組み合わせて提出しましょう。
入国後の活動計画・契約に関する書類
活動計画と契約書類は、興行ビザ審査の中心となる資料です。「誰が・どこで・いつ・どのような活動をするのか」を明確に示す必要があります。
■ 主な必要書類
- 活動日程表・滞在スケジュール
- 興行内容を示す広告・チラシ・Webページ
- 雇用契約書/出演契約書/出演承諾書
■ 契約書に必須の記載事項
- 活動内容(演目・競技・収録内容)
- 期間・日数・会場
- 報酬額(単価×回数=総額)
- 支払時期・方法
- 立場(出演者・演奏者・選手・スタッフ等)
契約内容が曖昧な場合、追加資料を求められたり不許可につながるため、項目はできる限り詳細に記載し、他の資料との相違や矛盾がないか確認しましょう。
招聘機関(主催者)に求められる書類
招聘機関(日本側の主催者・制作会社)の信用性を示す資料も重要です。入管は「主催者が適正に外国人を管理できるか」を厳しく確認します。
■ 主な必要書類
- 登記事項証明書/直近の決算書(損益計算書・貸借対照表)
- 従業員名簿
- 会社概要・事業内容がわかる資料
- 過去の興行実績(ある場合)
注意点として、財務内容が弱い場合は補足説明や補強資料が求められます。主催者が初めて申請する場合は「適正に運営できる体制」を資料で丁寧に示すことが大切です。また、事業目的と興行内容が一致しており、矛盾がないようにしましょう。
主催者の信用性が不足している場合、申請人側に問題がなくても不許可の原因となるため、会社情報の疎明は丁寧に行う必要があります。
会場(施設)に関する書類
1号イ・ロ・ハに該当する場合、会場に関する書類提出も重要です。また、ライブレストランやホールなど、施設区分によって求められる要件が大きく異なるため注意しましょう。
■ 主な必要書類
- 営業許可証の写し
- 施設図面(寸法入り)
- 座席表・収容人数が分かる資料
- 控室や舞台の写真
- 消防関係書類(収容人数の証明)
実際に図面に寸法が記載されていない、収容人数の根拠が示せないなど、会場資料の不備は多いため注意が必要です。
興行ビザ取得時の注意点と審査ポイント
興行ビザは就労系ビザの中でも審査が厳しく、書類の整合性や施設基準の証明、主催者の信用性など多面的な確認が行われます。不許可リスクを減らすためには、入管が何を重視して判断するのかを理解し、活動内容・契約内容・会場資料を一貫性のある形で示すことが重要です。
入管が重視する判断ポイント
入管は興行ビザを審査する際、次のような観点から「適切な活動かどうか」を総合判断します。
■ 入管が重視する主な要素
- 公衆性:観客が不特定多数かどうか
- 施設区分:会場が風営法1〜3号に該当するか
- 収容人員:特に「1号ロ」の100人要件など
- 接待の有無:飲食提供や接待行為が行われるか
- 契約内容の明確性:報酬・活動期間・役割が明確か
- 主催者の信用性:財務状況、運営実績、体制の有無
とくに会場資料の整合性(図面・収容人数・用途区分)はチェックが厳しく、わずかな記載不足でも追加資料を求められやすい項目です。事前に関連書類を丁寧に揃えることが審査通過の鍵となります。
不許可となりやすい典型事例とその対策
興行ビザで不許可になるケースには一定の傾向があります。以下のような典型的なケースは特に注意が必要です。
■ 不許可になりやすいケースと対策
問題点 | 典型例 | 対策 |
|---|---|---|
区分選択ミス | 公演なのに3号で申請 | 活動内容を整理し、条項に当てはまるか確認する |
会場要件不足 | 座席数不明、舞台面積が図面で読めない | 寸法入り図面・消防書類・座席表を記載する |
契約書の不備 | 報酬や活動内容が抽象的 | 単価・日数・役割を数値化し他資料と整合性をチェックする |
出演者の実績不足 | 証明資料が少ない | プログラム・記事・受賞歴など複数資料で補強する |
このように、書類が揃っていても、内容の整合性が取れていないと不許可となるため、一つの活動を複数資料で裏付けることが重要です。
審査遅延を防ぐための準備・スケジュール管理
興行ビザは、イベント日程が決まっている案件が多いため、スケジュール遅延は致命的です。審査の長期化を防ぐためには、次の点に注意が必要です。
■ 審査遅延の主な原因
- 追加資料の要求が多い
- 契約書の不整合
- 会場資料(図面・収容人数)の不備
- 主催者の信用性資料の不足
- 初申請による審査の慎重化
遅延を防ぐポイントとしては、公演日の2〜3か月前には準備を開始することです。特に、海外への郵送期間は必ず考慮し、遅れがないようにしましょう。契約内容は早めに関係者と確定し、会場資料を最優先で確保するなどして、追加資料を求められた場合に即対応できる体制を整えることが大切です。
複合活動(混合事案)の取り扱いについて
興行ビザでは、公演とワークショップ、撮影と出演など複数の活動が混在するケースが多く見られます。これらは活動内容ごとに本来必要な在留資格が異なるため、正しい「主たる活動」の判断が不可欠です。適切な区分整理と、必要に応じた資格外活動許可の活用がポイントとなります。
興行活動と芸術・文化ビザが混在する場合
公演に加えてワークショップや講義を行うケースでは、興行ビザと芸術・文化ビザが混在する代表的な事案になります。入管では、以下の観点から「主たる活動」を判断します。
■ 主たる活動を判断する基準
- 活動時間の割合(どちらが主に行われるか)
- 報酬の割合(どちらの対価が高いか)
- 活動場所の性質(公開か非公開か)
- 観客の有無(興行性の有無)
例えば、公演(興行)がメインで、ワークショップが付随的な活動であれば興行ビザが適切です。一方、講師活動が中心で、出演が単発の場合は、芸術や文化活動の区分が妥当となるケースもあります。このように興行活動の内容をあらかじめ整理しておくことで、不許可リスクを回避できます。
資格外活動許可が必要となるケース
複合活動では、主たる活動は興行ビザで申請し、副次的な活動は資格外活動許可を取得する方法が一般的です。
■ 資格外活動許可が必要となるケース
- 興行ビザで来日 → 付随的にワークショップ講師を行う
- 3号(制作)で来日 → プチ公演など興行性のある活動も行う
- スポーツ選手(2号) → イベント出演やトークショーを行う
注意点としては、資格外活動が「主活動」になってはなりません。資格外活動を行う場合は、必ず 事前に申請する必要があります。無許可活動は不法就労とみなされますので、注意しましょう。
あくまで資格外活動許可は補助的に使う制度のため、メインの活動内容を慎重に区分して申請を行うことが求められます。
活動分類の誤認と解決策について
混合事案では、活動の分類を誤ることで不許可になるケースが少なくありません。
■ よくある誤認パターン
- 公演なのに「制作中心」と判断して3号で申請した
- 撮影が公開されるイベントなのに1号を選ばなかった
- 興行性があるのに「無報酬」を理由にビザ不要と誤認した
- ワークショップ中心なのに興行ビザで申請していた
このような場合の解決策としては、活動内容を 「公開/非公開」「観客の有無」 で仕分けることがポイントです。また、契約書には活動割合を明確に記載しましょう。
申請の際は、会場資料・スケジュールを複数組み合わせて証明することが大切です。もし、不明点がある場合は、条項当てはめを先に行うことが推奨されます。
ただし、混合事案の整理は複雑であるため、特に初めて申請する場合は、時間と労力がかかります。スムーズに申請を進めるためには、あらかじめ行政書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
まとめ
興行ビザは、活動内容に応じて1号・2号・3号の区分が細かく分かれ、さらに施設要件、契約内容、報酬基準など、多岐にわたる項目を総合的に立証する必要があります。
とくに、活動区分の誤認や会場資料の不足、契約内容の曖昧さは不許可の大きな原因となるため、活動内容を正しく整理し、必要書類を一つひとつ丁寧に揃えることが重要です。また、複合事案や初めての申請では、想定外の追加資料が求められることも多いため、早めの計画とスケジュール管理が欠かせません。
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プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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