日本における就労ビザの取得難易度はどのくらい?取得が難しい理由についても紹介
外国籍の人が日本で働くために必要な就労ビザを取得する場合において、どのくらい難易度が高いのか知りたい方も多いのではないでしょうか。一口に就労ビザといっても複数の種類があり、種類よってさまざまな取得要件が科せられています。
今回は、就労ビザ取得の難しさについて紹介した上で、取得が難しい理由について、外国人本人と受入れ機関の2つの視点で解説します。これから日本で働きたいという外国の方や、企業担当の方はぜひ参考にしてください。
就労ビザを取得する難易度はどのくらい?
就労ビザを取得する難易度は個人が持っている経歴や学歴などによって異なるため、「どのくらい難しいのか」と具体的に示すのは難しいです。とはいえ、それぞれの就労ビザで一定の要件を満たす必要があるため、簡単に取得できる在留資格でないことは確かです。
たとえば、在留期間が5年で、配偶者の就労なども許可される「高度専門職ビザ」を取得するには、高度人材ポイント制の「学歴」「職歴」「収入」などの項目で70点に達する必要があります。
高度専門職ビザはあくまで一例ですが、いずれの就労ビザに関しても、相応の準備は不可欠といえるでしょう。
なぜ就労ビザの取得が難しいの?
就労ビザの取得が難しい理由として、まず挙げられるのは「在留資格認定証明書交付申請書」をはじめとした数々の必要書類を用意しなければならない点です。加えて、書類を準備した後は、外国人の居住予定地・受入れ機関の所在地を管轄する出入国在留管理庁へ書類を提出しなければならず、手続きも煩雑です。
また、外国人と受入れ機関に対し、それぞれ要件が課されていることも、取得のハードルを上げている要因といえます。次の項目では、就労ビザの取得が難しい理由について、外国人本人と受入れ機関の双方の視点で見ていきましょう。
【外国人本人】就労ビザの取得が難しい2つの理由
まずは、外国人本人の就労ビザの取得が難しい理由につい、2つ紹介します。
1.一定以上の学歴や実務経験が必要である
外国人が就労ビザを取得するには、一定以上の学歴や実務経験の要件を満たさなければなりません。たとえば、技術・人文知識・国際業務ビザを取得して、自然科学または人文科学に関わる業務に従事する場合は、以下の学歴の要件を満たす必要があります。
・関連する科目を専攻し、大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと
・関連する科目を専攻し「本邦」の専修学校の専門課程を修了したこと
ただし、学歴要件を満たせない場合、10年以上の実務経験があれば問題ありません。
続いて、調理師やスポーツ指導者など、さまざまな職種の外国人が取得対象の「技能ビザ」を例に確認しましょう。技能ビザは1号~9号まで分かれており、1号から6号は実務経験が10年以上、8号は実務経験3年以上など、細かく規定されています。
2.就労ビザによっては高度な専門性や実績が必要である
就労ビザの種類によっては、外国人の高度な専門性や実績が求められます。例えば、教育機関で語学教師として働く外国人向けの「教育ビザ」を取得する場合は、大学卒業、あるいは教育に関する免許の取得などの要件のほか、以下のいずれかの要件も満たす必要があります。
・外国語の教育を行う場合は、該当する外国語で12年以上の教育を受けている
・外国語教育以外の科目を教育する場合は、その科目の教育について教育機関で5年以上従事した実務経験がある
また、作曲家や画家など芸術に関わる活動に従事する外国人向けの「芸術ビザ」では、芸術活動での業績を証明する資料として、入賞、入選等の実績がわかる資料や、過去の作品等の目録などが必要になるケースがあります。
【受入れ機関側】就労ビザの取得が難しい3つの理由
次に、就労ビザの取得が難しい理由として受入れ機関側の視点で3つ紹介します。
1.適切な労働条件を設定しなければならない
就労ビザの取得にあたって、企業は主に以下の労働条件を満たしておく必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
1.均等待遇 | ・労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならないこと。 |
2.労働条件の明示 | ・外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること。 |
3.賃金の支払い | ・最低賃金額以上の賃金を支払うとともに、基本給、割増賃金等の賃金を全額支払うこと。 ・居住費等を賃金から控除等する場合、労使協定が必要であること。また、控除額は実費を勘案し、不当な額とならないようにすること。 |
4.適正な労働時間の管理等 | ・法定労働時間の遵守等、適正な労働時間の管理を行うとともに、時間外・休日労働の削減に努めること。 ・労働時間の状況の把握に当たっては、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他適切な方法によるものとすること。 ・労働基準法等の定めるところにより、年次有給休暇を与えるとともに、時季指定により与える場合には、外国人労働者の意見を聴き、尊重するよう努めること。 |
5. 労働基準法等の周知 | ・労働基準法等の定めるところにより、その内容、就業規則、労使協定等について周知を行うこと。その際には、外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること。 |
6. 労働者名簿等の調整 | ・労働者名簿、賃金台帳及び年次有給休暇簿を調整すること。 |
7. 金品の返還等 | ・外国人労働者の旅券、在留カード等を保管しないようにすること。また、退職の際には、当該労働者の権利に属する金品を返還すること。 |
8. 寄宿舎 | ・事業附属寄宿舎に寄宿させる場合、労働者の健康の保持等に必要な措置を講ずること。 |
9. 雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇の確保 | ・外国人労働者についても、短時間・有期労働法又は労働者派遣法に定める、正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差や差別的取扱いの禁止に関する規定を遵守すること。 ・外国人労働者から求めがあった場合、通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由等について説明すること。 |
※参考:厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(平成31年4月版)
上表のとおり、外国人の待遇や賃金の支払いに関して、労働条件の基準が設けられているため、受入れ機関は基準を逸脱しないように注意しなければなりません。
2.企業の経営状況を良好にしておく必要がある
外国人を受け入れる企業の経営状況を良好にしておくことも、重要なポイントです。企業規模によっては、直近の決算書の提出が求められます。また、新設したばかりの会社や新規事業部で外国人を雇用する場合は、事業計画書の提出が必要です。
仮に赤字決算の会社であっても、事業計画書や疎明資料などで、今後の事業の継続性や安定性を証明できれば、外国人材を雇用できる可能性はあります。いずれにしても、自社で外国人材を受け入れるためには、必要資料をしっかりと準備することが大切です。
3.外国人に対する支援体制を整えておく必要がある
就労ビザの中でも、人材の確保が難しい12の特定産業分野で就労する外国人向けの「特定技能ビザ」は、取得を目指す場合に受入れ機関側の支援体制を整えておく必要があります。
たとえば、特定技能1号の外国人を受け入れる際は、「1号特定技能外国人支援計画書」を作成した上で、出入国在留管理庁へ提出しなければなりません。
「公的手続きの支援」や「生活に必要な契約に係る支援」など、記載すべき項目は多岐にわたります。自社での対応が難しい場合は、行政書士などの専門家への依頼も検討しましょう。
まとめ
就労ビザの難易度を数値などで示すことはできませんが、いずれの就労ビザに関しても用意すべき書類は多い傾向にあります。また、外国人本人と受入れ機関の両者が、それぞれ要件を満たしておかなければならない点も留意しておきましょう。
就労ビザ申請のサポートを専門家へ依頼したいという方は、さむらい行政書士法人へお任せください。当事務所では、毎月50~100件の国内トップクラスの就労ビザ申請を手がけており、これまで世界各国の外国の方を受け入れるサポートをしてきました。
オンラインによる無料相談も受け付けていますので、日本での就労を目指す外国の方や、外国人材の受け入れを検討している企業担当の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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