外国人の両親(親)の呼び寄せビザについて解説
母国にいる両親が、高齢になって心配だから日本に呼びたいというお問い合わせを頻繁に頂きます。もちろん、親族訪問という理由で、短期滞在ビザで呼び寄せることはできますが、中長期的に呼ぶにはどのようにしたらよいでしょうか。
外国人が両親を日本に呼び寄せ、中長期的に日本にいてもらうビザの取得について解説します。
親を日本に中長期的に呼ぶには、①「特定活動」(老親扶養)、②高度外国人材制度による招聘という方法があります。
1.「特定活動」(老親扶養)
一般的には、海外在住の人を日本へ呼び寄せるには、在留資格認定証明書交付申請をする必要があるのですが、このビザは、在留資格として制度上規定がされていないので、上記申請による呼び寄せはできません。
そこで、「短期滞在」で親に来てもらった後、「短期滞在」から「特定活動」への在留資格変更申請をすることになります。
ただし、この老親扶養にビザを取得するには、実務上、多くの条件があります。
①招聘人
招聘人は、帰化した日本人または、中長期の在留資格を取得していることが必要です。招聘人側に犯罪歴や、オーバーステイなど違反がある場合は、許可される可能性が低くなります。
②親の年齢
先ほど述べましたが、このビザは制度上規定されていないビザなので、人道上の観点から在留を認めるのが相当といったような状況がなければなりません。
したがって、年齢は70歳以上(最近の傾向では75歳以上)でなければ許可の可能性は低くなっています。70歳未満であっても、その他の事情によっては可能性がないわけではありません。ただ、かなり難易度が高いので、経験豊富な行政書士に依頼しないと許可を得るのは難しいでしょう。
②健康状態
母国で暮らしていくには、現実的に困難という状況が必要なので、健康であると許可はおりにくい傾向があります。高齢であれば、多くの方が抱えるような腰の痛みや、高血圧などのみでは、母国で暮らしていくには、現実的に困難とは判断されないでしょう。
したがって、家族の介護がなければ、命の危険にかかわるといったような状況が必要です。たとえば、医師が家族と住まわなければ、危険と判断するような病気や認知症といった症状があることが必要になります。
そのことを証明する医師の診断書(医師が家族と住むことを強く奨励する内容が必要)がある方がよいでしょう。日本の病院でも診てもらい、日本の医師が出した診断書がある方がよいです。
③他の親族の有無
配偶者が高齢であっても、二人で支え合っていけば、生活に特段支障がないと判断された場合には、不許可になります。また、招聘人の兄弟が母国にいる場合は、その兄弟が面倒を見ればよいので、やはり許可はおりにくいでしょう。
許可がおりやすい事例は、配偶者が既に死亡または離婚していて、配偶者からの介護を期待できる状況になく、招聘人の兄弟もいないような状況が代表的です。
④年収
老親扶養という名前の通り、親族が扶養することが必要になります。したがって、親の生活費を出し、親が病気の場合はその医療費も出すだけの財力、すなわち、招聘人または招聘人の配偶者に安定した十分な収入があることが必要になります。
⑤住居
親を呼び、親の面倒を見るためのビザなので、基本的には同居することが必要となってきます。したがって、一緒に暮らす家の広さも必要です。
⑥申請方法
制度上規定されていないビザなので、申請窓口にいきなり持って行っても申請を受け付けてくれません。申請の要件を満たしているかのチェックをしてもらわなければ受付にならないのです。したがって、事前相談を経てからの申請になります。
せっかく書類を用意し、理由書も書き、申請書を作成したとしても、この事前相談の時点で受け付けられなかった場合は、すべて徒労に終わってしまいます。
老親扶養は大変難しいビザなので、経験豊富な行政書士に相談し、しっかりとしたものを作ってもらいましょう。
2.高度外国人材制度による招聘
高度外国人材に対する優遇措置の一つとして、主に子供の面倒を見るために親を呼び寄せることが出来ます。
この制度を利用するには次の要件を満たしていることが必要です。
● 1 申請人の子又は子の配偶者である高度外国人材と同居すること
● 2 申請人の入国の時点において、高度外国人材の世帯年収が800万円以上であること。
● 3 高度外国人材若しくはその配偶者の7歳未満の子の養育を行おうとするものであること、又は高度外国人材の妊娠中の配偶者若しくは妊娠中の当該高度外国人材に対し、介助、家事その他の必要な支援を行おうとするものであること。
● 4 申請人が高度外国人材の配偶者の父又は母である場合は、在留する当該高度外国人材の父又は母がいないこと。
● 5 申請人が高度外国人材の父又は母である場合は、在留する高度外国人材の配偶者の父又は母がいないこと。
以上を満たしている場合には、在留資格認定証明書交付申請をして呼び寄せます。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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