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国際結婚と特別養子縁組について解説

国際結婚をして、日本人と外国人の夫婦が、特別養子縁組をして子供を迎える場合はどのようにすればよいでしょうか。

1 特別養子縁組とは

 

「特別養子縁組」とは、「実方の血族との親族関係が終了する縁組」のことです(民法817条の2第1項)。

 

つまり、特別養子縁組制度は、養子となるお子さんの生みの親との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。これは、子どもの福祉の増進を図るために設けられました。

 

なお、普通養子縁組の場合には、実の父・実の母との親族関係は無くなりません。

普通養子縁組と特別養子縁組との違いは以下の通りになります。

 

 

普通養子縁組

特別養子縁組

養親

20歳以上

25歳以上(夫婦の一方)

配偶者がある者

養子

養親より年下

15歳未満が原則

効果

親子関係発生

親子関係発生

実親との親子関係終了

手続き

養子と養親の同意

家庭裁判所の許可(未成年の場合)

養親の請求

実親の同意

6か月以上の監護

家庭裁判所の審判

離縁

協議が原則

①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があるとき

②実父母が相当の監護をすることができること

 

特別養子縁組の養親は、必ず配偶者のある者でないといけません。また、夫婦は共同で養親になる必要があります。

 

特別養子縁組の場合は、上記表のように養親は25歳以上の必要がありますが、夫婦の一方が25歳に達している場合は、もう一方は20歳以上であれば特別養子縁組ができます。こ年齢の基準時は、家庭裁判所への申立て時ではなく、審判時となっています。

2 日本人と外国人の夫婦が、日本に在住していて日本の子供を特別養子にする場合

 

では、日本人と外国人が国際結婚をして特別養子として日本人の子供を迎える場合はどうすればよいでしょうか。

 

この国際養子縁組の場合、国際私法により、適用される法律は養親の本国法になります(法の適用に関する通則法(以下、「通則法」とする)31条1項)。

つまり、①養父と養子との関係については、養父の本国法、また、②養母と養子との関係については、養母の本国法が適用されます。

 

通則法

(養子縁組)

第三十一条  養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

2  養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

 

特別養子縁組は、日本法では夫婦は共同で養親になることが必要なので、外国人配偶者の同意も必要です。

もっとも、外国人配偶者の本国法も適用されるため、外国人配偶者の国の法律で特別養子縁組が認められているかも重要になってきます。

仮に、外国人配偶者の本国法では、特別養子縁組つまり養子と実親との親子関係が断絶する養子縁組を認めていない場合は、特別養子縁組をすることはできないと解釈されます。

 

このような場合は、普通養子縁組をすることで養子にするほかありません。

 

このように、国際結婚をした場合に、特別養子縁組が認められるかどうかは、日本法のみならず、外国人配偶者の国の法律でどのようになっているかも見なくてはならないということに注意してください。

 

なお、上記通則法に「養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。」とあるように、外国人配偶者の本国法では、6か月の試験養育期間や家庭裁判所の審判など子供のための要件を要求していない場合であっても、子供の福祉の観点から日本国籍の子供の場合には、それらの要件も必要になります。

 

3 日本人と外国人の夫婦が、外国に在住していて外国の子供を特別養子にする場合

 

この場合としてよくあるのが、外国人配偶者側の親族の子供を特別養子にする場合です。

 

この場合も、日本人と外国人配偶者のそれぞれの国の法律が適用されますが、子供は先ほど述べた事例とは異なり、外国籍ということになるので、日本の在留資格が取得できるかを心配される方も多いと思います。

 

特別養子縁組の場合は、「日本人の配偶者等」という在留資格が認められます。

なお、外国人配偶者の本国法で、特別養子縁組を認めていない場合は、普通養子縁組をすることになりますが、この場合は、子供は「定住者」という在留資格で入国することが可能です。

 

4 まとめ

 

養子にする子どもの状況や外国人配偶者の本国法によって、取得する在留資格も異なり、養子縁組をする国によっても揃えるべき資料が異なってきます。

養子縁組を考えている場合は、まずは専門の行政書士に相談することをおすすめします。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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