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経営管理ビザ(在留資格)の取得手続きと更新の流れを解説

経営管理ビザ

日本で母国料理を提供する飲食店を開業したい─ 海外在住だが、新たに日本でコンサルティング会社を起業したい─ 留学生ビザで在留しているが、日本での起業を見据えて経営管理ビザに変更したい─。

 

在留外国人の数も年々増え、グローバル化が顕著な今の時代に、日本での起業や子会社設立、日本企業での経営・管理業務従事などを検討している外国人の方は少なくないのではないでしょうか。

 

そもそも在留資格「経営・管理」とは何か? 経営管理ビザを取得したいが、何をどうすればいいのか? 経営管理ビザを取得するための要件は? 経営管理ビザで行える事業とは? 在留期間は? 資本金は? ビザ更新の方法は?

 

経営管理ビザの取得や更新について、多くの疑問や不安を抱えている外国人の方のために、ここでは経営管理ビザの概要を、要点を絞って分かりやすく解説していきます。

経営管理ビザとは?

経営管理ビザとは、在留資格「経営・管理」を有する外国人に付与される、就労ビザの一種です。入管法では、日本において貿易その他の事業の経営を行い、または当該事業の管理に従事する活動を行う場合に、経営管理ビザが必要とされています。

 

具体的には、外国人が日本で起業して事業を行う場合、または日本企業に投資して経営に携わる場合、あるいは日本にある企業の管理業務を行う場合などにおいて、経営管理ビザが必要となります。

 

かつては、「投資・経営」という在留資格で「投資経営ビザ」と呼ばれていましたが、2015年の入管法改正により、在留資格が「経営・管理」に変更されたことから、ビザ名も「経営管理ビザ」に変わりました。

 

従来の投資経営ビザは「外国資本の投資」が前提にありましたが、経営管理ビザでは国内資本企業の経営・管理業務も行うことができるようになりました。その結果、外国人が自己資本で起業することや、外国資本によらない日本企業での経営管理に携わることが可能となり、活動の幅は大きく広がりました。

 

ちなみに、経営管理ビザにおける経営者とは、日本国内に事業所がある法人等において、実質的に権限を有して事業を行う外国人経営者を指します。

 

同じく、経営管理ビザにおける管理者とは、日本国内に事業所がある法人等において、実際に事業を管理する外国人を意味します。

 

経営管理ビザにおける経営者、管理者と認められるには、単に取締役、監査役、支店長、部長、工場長などの肩書があるだけでなく、実質的に会社の経営や業務執行などの権限を有しているか、または実際に事業の管理業務に従事しているかという点がポイントとなり、ビザ発給の審査でも、その点が重要視されます。

 

実際に業務に携わらない形式上の役職者(非常勤役員など)には、経営管理ビザは付与されず、「技術・人文知識・国際業務ビザ」など他の就労ビザの取得が必要となります。

 

余談ですが、政府発表の2019年12月の在留外国人統計によれば、在留外国人は293万3137人で、そのうち在留資格「経営・管理」での在留者は全体の9・3%の2万7249人となっています。

 

在留資格別の在留者は、「永住者」(約79万人)、「技能実習」(約41万人)、「留学」(約35万人)、「技術・人文知識・国際業務」(約27万人)、「定住者」、「家族滞在」(ともに約20万人)の順になっていますが、経営管理ビザも今後、取得者が増えていくことが予想されています。

 

また、地域別の在留者は、アジアが全体の約84%にあたる約246万人と圧倒的に多く、中でも中国(約81万人)、韓国(約45万人)、ベトナム(約41万人)、フィリピン(約28万人)が群を抜いています。以下、南米が約28万人、欧州が約8万人、北米が約7万人となっています。

経営管理ビザで可能な業務内容

次に、経営管理ビザで可能な業務内容を具体的に見ていきましょう。経営管理ビザを取得して、日本で行う業務形態には、主に以下の4つが考えられます。

 

1.自ら出資して、日本で新たな会社を設立し、その経営・管理業務に携わる

2.日本の企業に出資して、その企業の経営・管理業務に携わる

3.日本に外国企業の子会社を設立し、その会社の経営・管理業務に携わる

4.日本の企業、または日本にある外資系企業の管理業務に携わる

 

経営管理ビザの取得を考えている外国人の方には、1番目の、自らの出資による起業を検討されている方が少なくないのではないでしょうか。

 

特に、日本でばりばり働きたいと考えている在留外国人の方にとって、就労に制限のない、身分または地位に基づく在留資格(永住者、日本人や永住の配偶者等、定住者)を有している場合は別として、経営管理ビザは他の就労系のビザに比べて魅力的で、実用性が高いのは間違いないでしょう。

 

現実に、厳しい審査はありますが、「留学ビザ」で在留している留学生が、卒業後に経営管理ビザを取得して起業するケースが増えています。また就労系ビザである「技術・人文知識・国際業務ビザ」や、資格外活動の許可を取らないと就労できない「家族滞在ビザ」から経営管理ビザに変更する外国人の方も少なくありません。

 

いずれにしても、2015年の入管法の改正で、「外国資本の投資」という縛りがなくなったことにより、経営管理ビザを取得すれば、上記のどの業務形態でも事業に携わることが可能になりました。これは日本で起業したい、事業を行いたいと考えている外国人にとって、画期的な改正だったと言えるでしょう。

 

ちなみに、日本の企業に出資するだけ、または日本の不動産を取得するだけで、日本に滞在しない場合などは、経営管理ビザを取得することはできません。そうしたケースでは、経営管理ビザではなく、「技術・人文知識・国際業務ビザ」、あるいは「企業内転勤ビザ」などに該当する場合もあるので、注意が必要です。

 

さらに、他の就労系のビザにはない、経営管理ビザの魅力として、事業内容に制限がなく、法律で認められている限りは、どんな業種でも行えることが挙げられます。

 

貿易会社やマーケティングリサーチ会社から、飲食業、不動産業、観光業、中古自動車販売業、整体院、語学教室、音楽教室、日本のアニメ文化の海外発信業務、アートギャラリー、日本文化の創作活動……。経営管理ビザを取得すれば、賭博や売春などの違法な事業でない限り、何でも希望する事業を日本で経営または管理することができるのです。

 

また、経営管理ビザは希望する事業で起業できるだけでなく、外国人のメイドも招へいできるなど、他の就労ビザに比べてメリットは大きく、ビザ取得を希望する外国人は今後さらに増えていくことが予想されます。

在留期間に関して

現在、経営管理ビザによる在留期間は、「5年」「3年」「1年」「4カ月」「3カ月」の5種類です。

 

2015年に入管法が改正されるまでは、在留期間は4種類でしたが、投資経営ビザから経営管理ビザへの移行に伴い、新たに「4カ月」という在留期間が追加されました。

 

この「4カ月」という在留期間が新たに認められたことで、日本で企業を検討していた外国人に劇的な変化が訪れます。

 

それまで海外に在住する外国人が、協力者なしに日本で起業することは困難でした。というのも、会社の登記手続きの際には、資本金を振り込む銀行口座のコピーが不可欠なのですが、3カ月の在留期間では住民登録ができず、在留カードも発行されないため、協力者の銀行口座を借りなければビザ申請ができなかったのです。

 

そして、協力者の銀行口座を借りることは、少なからずリスクを伴いました。協力者の口座が凍結されたケースもあれば、協力者が疑似発起人として責任を問われる可能性もないとは言えませんでした。日本で協力者を探すこと自体が、リスクを伴う、困難な作業だったと言えます。

 

それが、「4カ月」の在留期間が認められたことにより、在留期間が3カ月を超えないと不可能だった住民登録、在留カード入手が可能となり、銀行口座も容易に開設することができるようになりました。これにより、外国人が来日後に1人で会社設立登記をすることが可能となり、外国人が日本で起業しやすい環境が整ったと言っていいでしょう。

 

ちなみに、経営管理ビザの在留期間は、入国管理局が申請書に書かれた「就労予定期間」や「希望する在留期間」(変更・更新のみ)、および経営管理を行う事業の規模、内容などを総合的に審査したうえで最終決定することになります。

 

新規で経営管理ビザを取得する場合、在留期間は「1年」に設定されるケースが多いと言われています。

経営管理ビザの取得方法

それでは、経営管理ビザを取得するためには、どのような要件が必要となるのでしょうか。法務省令では、経営管理ビザの取得条件として、以下の要件を満たしていることが必要と定めています。少なくても申請人が以下の要件をクリアしていないと、経営管理ビザを申請しても許可されることはありません。

1.事業所が日本に存在していること

すでに国内に事業所があること、または新規に起業する場合は、日本国内に事業所が確保されていることが必要です。

 

その際、賃貸借契約書等には、その物件の使用目的が事務所、店舗などの「事業用」と記載されていることが不可欠です。事業所が住居スペースと兼用になっている場合は、基本的に事業所とは認められない傾向にあります。

 

また事業所の実態も、事業主が単独で一区画を使用していること、職員が常勤していること、電話やコピー機ほか事業に必要な設備が整っていることなど、継続的に業務を行える状態であることが求められます。

 

独立した個室を有するレンタルオフィスは事務所と認められる可能性が高いと言えますが、最近はやりのバーチャルオフィス、他の事務所の一画を間借りしたオフィス、キッチングカーなどの移動式の車両などは、経営管理ビザにおける事業所とは認められないので注意が必要です。

 

もちろん、事務所を借りる際の賃貸借契約は法人名義で行い、郵便受けや事業所の表札、ドアなどには法人名を明記しておくことも重要です。

 

入国管理局に対しては、こうした事業所の概要を記した不動産登記簿謄本や賃貸借契約書などの必要資料を提出することが不可欠です。

2.事業規模が以下のいずれかに該当していることが必要

(1)日本に居住する常勤職員が2人以上

「常勤職員」とは日本人や永住者、特別永住者、日本人や永住者の配偶者等で、経営または管理に従事する申請者は含まれません。

 

(2)資本金または出資総額が500万円以上

「資本金」は自己資金であることが望ましいですが、親や親族から調達した資金でも経営管理ビザを取得することは可能です。また、資本金は実際に事業で使われる資金であることが必要で、見せ金などの形式的な出資は認められません。

 

(3)事業が上記2項目に準じる規模であること

「準じる規模」とは、例えば常勤職員1人、資本金250万の場合などが想定されます。また個人事業主の場合は、資金調達の経緯や資金の使途などの立証を求められます。

3.申請人が事業の経営または管理について3年以上の経験を有し、かつ日本人が従事する場合の報酬と同等以上の報酬を受けること

「3年以上の経験」とは、過去に事業の経営や管理に携わっていた期間が3年以上必要ということですが、この3年間には大学院で経営または管理に関わる科目を専攻していた期間を含みます。

 

また、「日本人と同等以上の報酬」とは、外国人経営者の生活を維持するための最低金額として、一般的に18万円以上であることが必要と言われ、それに満たないと、外国人経営者の生活が破綻しているとみられ、ビザが更新されない可能性が高くなります。

 

経営管理ビザを取得するには、以上の3つの要件を満たすことが必須となりますが、2019年の入管法改正で、入国管理局による在留資格の審査が厳格化されたことにより、経営管理ビザの取得、更新の審査もより厳しくなっているのが現状です。

 

法令に明記はされていませんが、昨今のビザ発給の審査現場では、「会社の実態」「事業の継続性・安定性」「申請人の経歴」が重要視されると言われており、ビザの申請手続きにおいては、それらの説明に細心の注意を払う必要があります。

 

「会社の実態」は事業目的、事業内容、出資金の出どころ、申請人の具体的な役職や職務内容など、「事業の継続性・安定性」は売上、営業品目、仕入れ・販売ルート、取引先、業績予測、途中で事業が立ち行かなくなる可能性などを総合判断します。また「申請人の経歴」は申請人の履歴や申請理由、過去の日本での在留情況などを審査します。

 

経営管理ビザの審査実務は、面談ではなく、すべて提出書類で判断されるため、上記の「会社の実態」「事業の継続性・安定性」「申請人の経歴」等を判断する資料の提出が不可欠となります。その提出書類の中で最も重要と言われるのが「事業計画書」です。

 

この事業計画書では、事業の動機・目的、市場規模と将来性、自社の強み、組織の概要、資金調達方法、収益計画、申請者の経歴、リスク対策などを可能な限り具体的に、分かりやすく説明することが重要です。

 

入国管理局では、経営管理ビザの要件を満たしていることはもちろん、申請人の本気度や事業の実態、実現可能性、継続性、安定性などを、事業計画書をもとに審査して、ビザの許可、不許可の重要な判断材料とするのです。

 

事業計画書は、入国審査官が可能な限り、スムーズに理解できる内容で作成します。具体的には、A4用紙10~20ページくらいに論点をまとめ、グラフや図表なども織り交ぜ、分かりやすく、シンプルに作成することがポイントです。ページ数が多過ぎたり、内容が必要以上に煩雑だったりすると、審査官が理解しづらく、マイナスになるリスクがあります。

 

参考までに、経営管理ビザを新規に申請する際、主に以下のような多くの書類の提出が必要となります。

「共通書類」

・在留資格認定証明書交付申請書1通 ※地方入国管理官署、法務省HPなどで入手可
・証明写真1枚 ※縦4cm、横3cm
・返信用封筒

「会社に関する書類」

・事業計画書
・登記事項証明書
・定款のコピー
・払込証明書のコピー ※会社設立時の個人通帳のコピー
・会社名義の銀行口座の通帳コピー
・法人設立届出書 ※税務署の受付印があるもの
・事業所の賃貸借契約書のコピー ※名義人、使用目的などに注意
・事業所の写真 ※外観、郵便受け、事務所入口、オフィス内ほか
・その他

「本人に関する書類」

・履歴書
・申請理由書
・出資金調達を証明する書類 ※通帳コピーなど
・大学の卒業証明書のコピー
・パスポートのコピー
・日本語能力を証明する書類 ※日本語能力試験の合格証など
・事業の経営管理に3年以上携わった実績の証明書(大学院の専攻証明書を含む)

「日本にある会社の役員になる場合」

・最新年度の貸借対照表・損益計算書のコピー
・その他

ちなみに、経営管理ビザの審査期間は一般的に3カ月前後と言われています。提出書類に不備があったり、申請時期が多忙期であったりすると、審査期間が延びることもありますので、注意が必要です。

経営管理ビザの更新方法

せっかく苦労して経営管理ビザを取得しても、更新が認められなければ意味がありません。最後に経営管理ビザの更新方法についてまとめてみました。

 

更新手続きの流れとしては、まず必要書類を準備し、更新申請書を作成します。そして、作成した更新申請書を出入国在留管理局へ提出し、無事審査が通れば、出入国在留管理局で在留カード(更新されたビザ)を受け取ることができます。

 

ここで、更新の審査をするうえで、入国管理局が重要視するのは、「事業の安定性と継続性」です。予定した売上と実際の売上が大きく違う、事業計画や事業内容に変動があった、事業所が変更されたなど、入国管理ビザの取得時と変更点がある場合は、その理由も合わせて、詳細に必要書類に記載しなければなりません。

 

具体的には、日本法人の損益計算書、貸借対照表を確認しながら総合的に判断することになります。会社設立直後の1期は赤字になることが少なくなく、その一点ですぐに更新却下とはなりませんが、2期連続で債務超過だったり、売上総利益が計上されていなかったりすると、事業の継続性を疑問視して、ビザの更新を拒否する可能性も出てきます。

 

一方、2期以上連続で黒字決算が続けば、経営者の経歴や会社の経営状況等も総合的に判断し、3年の経営管理ビザ(通常は1年)が認められるケースも出てきます。ただし、経費削減のため、役員報酬を低い水準にすることは避けた方がいいでしょう。

 

ちなみに、更新の際の提出書類は、カテゴリー1からカテゴリー4まで、4つに分類されたカテゴリーごとに異なりますが、在留期間更新許可申請書と写真の提出、およびパスポートと在留カードの提示は全カテゴリーで必要となります。

 

ハードルの高い経営管理ビザの取得とは違い、更新は申請書類を提出しさえすれば大丈夫、などと安易に構えていると、予想に反して更新が却下されてしまうケースも少なくないため、ビザ取得時と同様、万全の準備をして更新の申請手続きに臨むことが必要です。

まとめ

日本で自ら起業して、または既存の企業で事業の「経営」「管理」に携わるために必要な「経営管理ビザ」。入管法の改正で事業の幅も広がり、大変魅力的な就労ビザと言える一方で、その申請手続きは複雑、煩雑で、ビザの取得は容易ではありません。

 

また、入国管理局の審査も年々厳しさを増してきており、審査に3カ月以上かかることも少なくないのが現状で、仮にビザの取得に失敗した場合、会社設立や事務所確保などに費やした多額の出費が無駄になってしまうリスクも否定できません。

 

日本で自ら起業したい、日本の企業で経営・管理に携わりたい、継続して事業に従事したい。そんな夢と希望をお持ちの外国人の方が、できるだけ確実かつ迅速に経営管理ビザを取得、または更新するためにも、経営管理ビザに多くの実績を持つ行政書士に依頼してみるのもいいのではないでしょうか。

 

さむらい行政書士法人では、経営管理ビザの取得、更新を希望する外国人の方の信頼に応えるため、最善を尽くすことをお約束します。

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