経営管理ビザの更新が不許可になる理由
お客様から、「経費管理ビザの更新が不許可になったので、再申請をお願いしたい。」とのお問い合わせを多くいただきます。
経営管理ビザが不許可になった場合は、日本にいられなくなるだけでなく、苦労して作った事業も継続できなくなってしまうという大変な痛手を被ってしまいますね。
経営管理ビザの更新は、事業がしっかりと実体を伴ったものであるのか、その事業が今後も継続安定して行えるものであるかを審査するため、自動的に更新されるわけではないのでしっかりとした申請をする必要があります。
1.審査項目
では、更新の際はどのような項目が審査されるのでしょうか。審査項目を確認すれば、更新が不許可になる理由が自ずとわかってきます。
①決算報告書
会社の経営が今後も続けられるかどうかが最も重要視されるため、この決算報告書が重要となります。したがって、赤字決算ではなく、若干でも良いので黒字決算のほうが許可になる可能性が高くなります。
もっとも、赤字決算だからと言って、必ずしも更新が不許可になるということありません。会社を設立した1期目は、取引先を開拓している途上であることも多いため、赤字は珍しくありません。したがって、ビジネスモデルにもよりますが、1期目は赤字か黒字かだけではなく、売上や経費、負債等、総合的に判断されます。
2期目以降においても、赤字というだけで更新が不許可になることはありませんが、1期目に比べ、より合理的な説明もする必要があります。
②売上
黒字であっても、売上がほとんどなく事業を営んでいるのかが怪しい場合は、更新が不許可になる可能性があります。したがって、ビジネスモデルに応じた一定以上規模の売上げがある必要があります。
③事業計画書
赤字決算である場合は、今後の事業計画書を提出します。漠然とした計画を示した事業計画書ではなく、新たな取引先が決算後または直前に決まり、来期の売上げが改善するなど、具体的かつ合理的なしっかりとした事業計画書を提出する必要があります。その事業計画書を提出することで今後、事業が継続安定して続けられることを示していきます。
④税金関係
会社として法人税等の税金を完納していることが必要です。また、個人としても住民税を完納していることも必要になります。
⑤報酬
会社の決算を黒字化もしくは赤字を少しでも減らし、決算書の見栄えを少しでも良くするために役員報酬をかなり削られる方がいますが、生活するのに困るようなレベルまで減らすことはやめましょう。役員報酬が月額5万円や10万円では、出入国在留管理庁からどうやって日本で生活していくのか疑問を持たれてしまいます。また、過度な節税目的と思われてしまうのもマイナスです。
最低でも、新卒社員と同等の月額18万円くらいにしておいた方がよいでしょう。18万円あれば、特に贅沢をしなければ生活することは充分に可能な額と考えられています。
2.更新が不許可になる場合
経営管理ビザの更新が不許可になる場合は、次の場合です。
①直近年度とその前の年の2期にわたって「債務超過」だった場合
債務超過とは、会社の全資産を売却してもなお、借金を返せない状態のことを言います。決算書にある貸借対照表を見れば判断できます。
②直近年度のその前の年度の2期にわたって売上総利益がない場合
売上総利益=売上-原価のことです。決算書にある損益計算から判断され、粗利ともいいます。
③店舗系ビジネスで、従業員が確保できなくなった場合
飲食店、整体院やネイルサロンなどの店舗系ビジネスでは、経営者自身が料理を作ったり、施術をしたりすることは原則としてできないため、接客をする従業員が確保されていることが必要です。従業員が確保できなくなったということは、経営者自らが接客することを意味してしまうので、更新が不許可になる可能性が高くなります。
④日本にほとんどいない場合
外国人経営者が1年のほとんどを海外で過ごしているような場合は、更新が不許可になる可能性が高くなります。経営管理ビザはあくまで日本でのビジネスをするために、日本にいることが必要であろうということで、もらえる資格です。ほとんど海外にいた場合は、「登記にはない別の経営者がいるのではないだろうか。この外国人は名目上の経営者に過ぎないのではないだろうか。この外国人にビザを発給する必要はないのでは?」と思われてしまいかねません。
ビジネスモデルとして、海外出張が必須で長く滞在するような場合は、理由書で合理的な理由を述べることが求められます。
ビザの更新は、新規で申請するより簡単と思われがちですが、個々人の状況によっては、更新のほうが難しいことも多くあります。一度不許可になってしまうと、時間的制約も負担となるため、少しでも不安要素がある場合には、経営管理ビザに詳しい行政書士に相談することをお勧めします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
外国人会社設立・支店設置
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