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外国人代表取締役の印鑑届とサイン証明

コロナウイルスの影響でテレワークが推進されたことをきっかけに、日本の印鑑文化が見直され始めていますが、まだまだその動きも始まったばかりで浸透しているとはいえません。日本の役所においても、同様で証明によってはまだ印鑑証明書を添付することが原則とされています。

 

例えば、代表取締役等の就任承諾書、代表取締役選任の取締役会の議事録等においては、市町村長の作成した印鑑証明書を添付することとされています。

 

しかし、外国人の方は印鑑を作成していない方がほとんどだと思います。そこで、このように印鑑証明書が必要とされているとき、どのようにすればよいでしょうか。外国人代表取締役の印鑑届とサイン証明について解説します。

 

商業登記規則第9条5項1号には以下のような記載があります。

 

登記の申請書に押印すべき者が印鑑を提出する場合には,印鑑を明らかにした書面に商業登記規則第9条第1項各号に定める事項のほか,氏名,住所,年月日及び登記所の表示を記載し,押印したもの(以下「印鑑届書」という。)をもって行い,当該印鑑届書に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後3月以内のものを添付しなければならない。

 

つまり、登記には『印鑑届が必要なのが原則』になっています。

 

しかし、ほとんどの外国人には印鑑文化がないので、そのことを考慮する以下のような通達が法務省からなされています。

 

外国人が申請書に押印して登記の申請をする場合における印鑑の提出についても,1の手続による。この場合において,印鑑届書の署名が本人のものであることの当該外国人の本国官憲(当該国の領事及び日本における権限がある官憲を含む。以下同じ。)の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。 なお,あらかじめ登記所に印鑑を提出していない外国人が登記の申請をする場合(会社の支店の所在地において登記の申請をする場合を除く。)には,当該登記の申請書又は委任状の署名が本人のものであることの本国官憲の証明が必要である。

 

『外国人が申請書に押印して登記の申請をする場合における印鑑の提出についても,1の手続による。』というのは、外国人であっても印鑑証明書を添付するのが原則であることを確認しています。

 

もっとも、その下の記述では、外国人が印鑑証明書に代えることができるとされています。

 

まとめると、次のような場合です。

 

①代表取締役等の就任承諾書、代表取締役選任の取締役会の議事録等に外国人が署名していること

②その署名が外国人本人のものであること

③当該外国人の本国官憲の作成した証明書(サイン証明書)を添付すること

 

上記①と②についてはわかりやすいと思います。③については、ややわかりにくいですね。以下で見てみましょう。

(1)「本国官憲の作成した証明書」とは?

「本国官憲」とあるので、例えば、韓国人代表取締役の場合は、韓国にいる領事が作成した証明書であることは明らかですが、外国にいる領事の作成した証明書でも問題ないでしょうか。これに関しては、領事の所在地国を限定しないものとされています。つまり、日本以外の国に駐在する本国の領事も含まれるということになります。

中国在住の韓国人については、駐日韓国大使館でも、在中国韓国大使館でも、韓国の領事が作成したサイン証明を利用することができるということになります。

(2)本国官憲の署名証明書を取得することができないときは?

署名証明書を取得することができないときは、「やむを得ない事情」があれば、

 

①登記の申請書に押印すべき者の作成したその旨の上申書

②当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した署名証明書の添付をすること

 

によって、市町村長の作成した印鑑証明書に代えることができるとされています。

(3)「やむを得ない事情」とは?

やむを得ない事情とは、以下のような外国人の本国の法制上の理由等が必要です。具体的には以下のような場合です。

 

①当該外国人の本国に署名証明書の制度自体がなく、本国官憲において署名証明書を取得することができない場合

②当該外国人の本国においては署名証明書の取得が可能であるが、当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名証明書を取得することができない場合

③当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない場合

 

これで、外国人代表取締役の場合に、印鑑証明書を求められて、登記手続きが進まないといった困った状況は避けられそうですね。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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