事業継続力強化計画とは、自然災害等による事業活動への影響を軽減することを目指し、事業活動の継続に向けた取り組みを計画し、国から認定を受ける制度です。イメージとしては、「中小企業向けの簡易な防災・減災対策計画」といった感じで、地震等の災害が起きたときに、どうやって自社の事業を継続していくのかをあらかじめ計画しておくものです。BCP(事業継続計画)の簡易版といったイメージとなります。
事業継続力強化計画には、次のような事項をまとめていくこととなります。
・災害時の初動体制(従業員の避難方法・被害状況の把握・社内体制等)
・必要な対策(人員・設備・資金・情報保全等)
・実効性を確保するための準備(従業員への訓練・計画の見直し等)
日本は自然災害が多い国でもあります。事業継続力強化計画は、そんな自然災害が多い日本において、非常にマッチする取り組み計画であると言えます。
事業継続力強化計画のメリット
事業継続力強化計画の認定を受けることで、次のようなメリットがあります。
・補助金で優先採択の可能性がある(経済産業省管轄の補助金。2020年度ものづくり補助金では加点項目)
・日本政策金融公庫の低利融資(設備投資が基準利率から0.9%引き下げ)
・信用保証の別枠設定
・防災・減災設備にかかる税制優遇(20%の特別償却)
・国公認のロゴマークが利用できる(防災対策ができている企業とアピールできる)
なお、補助金での加点に関しては、毎年加点項目が変わるため、ご希望の補助金の最新の公募要領をご確認ください。
防災・減災対策設備への税制優遇
認定された事業継続力強化計画に従って取得した一定の設備等について、取得価額の20%の特別償却が可能となります。
ちなみに、特別償却というのは、特定の機械や設備を購入し利用した時に、税法で認められている通常の償却額に加えて、取得価額に一定割合を乗じて計算した金額を、上乗せして償却できる制度で、節税効果を早めることが可能となります。
事業継続力強化計画に書く主な内容
申請書には、防災・減災対策として必要な取組を計画に記載していきます。具体的には、①企業の概要、②自然災害等が事業活動に与える影響の認識(被害想定等)、③初動対応の内容、④事前対策の内容、⑤事前対策の実効性の確保に向けた取組等を記載することとなります。
記載すべき内容の具体的イメージは次の通りです。
被害想定
自社が遭遇する可能性がある自然災害と、その被害想定を書きます。この点については、会社の立地によって想定が変わってきます。つまり、例えば、東海地方の湾岸に立地しているのであれば、南海トラフ地震やそれに伴う津波被害を想定することとなりますし、崖の下に立地しているのであれば、土砂崩れの想定を記載していくこととなります。
ちなみに、想定する災害として新型コロナウイルスといった感染症の想定をすることも可能です。
初動対応
災害発生時の初動対応について、従業員の安否確認や会社の被害の確認、取引先への連絡等の具体策を書いていきます。例えば、「従業員の安否確認に関しては、SNSによって確認ができるグループを作っている」といったものがあげられます。
事前対策
災害発生時に備えた事前準備について記載します。例えば、「災害発生により従業員の一部の欠勤があったとしても、工場の生産体制をとめないよう、社員の多能工化を進める」といったものがあげられます。
事業継続力強化計画の申請の流れ
申請書を作成の上、最寄りの経済産業局へ提出することとなります。申請から認定までの期間は、約45日で、認定を受けると中小企業庁のホームページに公表をされます。
なお、ものづくり補助金の加点は、事業継続力強化計画の認定まで受けていなかったとしても、申請をしていれば加点となります(必ず最新の公募要領をご確認ください)。
事業継続力強化計画は、申請書も少なく、取り組みやすい計画の一つでもあります。自然災害が多い日本だからこそ、企業はそこで働く従業員などに安心や安全を提供することも社会的使命として求められていると考えます。
働く従業員のことも考えながら、補助金の加点や税制優遇措置などのメリットも得られる。この取り組みをしていることだけでも、従業員思いの会社であるといった社会的認知もされていきます。
加点になるかどうかは毎年の補助金制度によって変わりますが、この計画も取得しておいて損のあるものではありません。
取り組みやすい計画の一つですから、本書をお読みいただいたのをきっかけとして取り組んでみるのもいいのではないでしょうか?