補助金の申請は行政書士と社会保険労務士どちらに頼むのが良いのでしょうか?
このような疑問をお持ちの方は、おそらく補助金と助成金の区別が出来ていないのではないかと思います。
そこで、ここではまず補助金と助成金の違いから解説をはじめて、補助金のサポートはだれに頼めば良いのか?ということを説明していきます。
「助成金」は社会保険労務士の独占業務
まず、厚生労働省の助成金は社会保険労務士しか代理申請が出来ません。つまり、行政書士を含む他の士業では、お客様に代わって助成金の申請をすることは出来ないのです。
おそらくこの知識からの派生で、補助金はだれに頼めば良いのか?という疑問にたどり着いていることと思います。
しかし、助成金と補助金は全くの別物です。
助成金がなぜ社会保険労務士の独占業務なのかと言うと、まず、助成金とは雇用関係や労働環境の改善に対して交付されるお金です。次に、社会保険労務士がどんな専門家なのかと言うと、社会保険や労務に関する問題解決の専門家です。
そして、これらを管轄する主体も「厚生労働省」と共通しています。
ここまで聞けばお分かりいただけるように助成金と社会保険労務士は親和性が高く、実は法律で助成金の代理申請は社会保険労務士の独占業務とされています。
では、補助金はどうなのでしょうか?
補助金に、「助成金=社会保険労務士」といった独占的に業務を行う士業があるかと言うと、実はそのような士業はありません。
行政書士でも税理士でも、士業以外のコンサルタントでも良いのです。
補助金の支給を受けるには審査に通過しないといけない
少し、補助金と助成金の違いについてまとめてみます。
<<補助金>>
・主な所管省庁:経済産業省
・目的:中小企業や小規模事業者の事業の活性化や効率化等のサポート
・審査の有無:事業計画に精通した審査員の審査を受け、採択率は40%
・支給タイミング:後払い
・独占士業:なし
<<助成金>>
・主な所管省庁:厚生労働省
・目的:雇用促進や、雇用環境整備、人材育成等のサポート
・審査の有無:要件さえ満たせば受給可能
・支給タイミング:後払い
・独占士業:社会保険労務士
このように補助金と助成金は書簡の行政機関が異なり、その目的も違います。
しかし、この中でも特に注意していただきたい違いがあります。
それは、補助金を支給するためには事業計画を策定し、審査を通過しないといけないということです。
また、補助金は募集開始から募集締め切りまで全てスケジュールが決まっており、限られた期間の中で事業計画書を作成する必要があるため、かなりハードな内容となります。
ちなみに、審査を担当するのは中小企業診断士や大手企業OBなど、事業計画に精通した人で、補助金の採択率は40%と、半分以上の方が不合格となります。
しっかりと作り込んだ事業計画を策定しなければ採択されることは難しいでしょう。
ここまでで分かることは、補助金は厳しい審査を通らないともらうことのできないお金で、その目的からも分かるように、社会保険や雇用関係のプロである社会保険労務士に特別馴染みが深いものではありません。
では行政書士ならいいのか?と言われると、必ずしもそうとは言えません。行政書士は取り扱える業務が多くあり、それぞれ専門分野を持って業務を行うことがほとんどだからです。
そこで肝となるのが、補助金の申請を頼むのは、補助金の申請に特化したサービスを提供している事務所が良い、ということです。
特に、補助金は申請スケジュールがしっかり決まっています。
補助金申請の流れ
補助金申請の流れ
- 募集開始
- 募集締め切り(募集開始から6週間ほど)
- 採択が決定する(募集締め切りから3週間ほど、採択率平均40%)
- 採択決定後に事業を実施する
- 実施後に補助金が給付される
特に、①~②の期間はとてもタイトですので、上手くスケジュール調整をしながら、短い期間で合理的な説得力のある事業計画書を作ってもらう専門家に依頼する必要があります。
ですので、例えば
こないだ助成金を顧問の社労士さんにお願いしたから、補助金も同じ先生に依頼しようかなと安易に考えるのではなく、助成金と補助金は全くの別物、それぞれの分野にはそれぞれ精通した専門家がいる、ということを認識して、専門家を選ぶようにしましょう。