近代社会において未曾有の損害を与えている新型コロナウイルスの影響で、世界規模での経済環境の悪化を受け、日本経済の維持のため、2020年2月から経済産業省主体のコロナ関連の補助金制度により経済対策が実施されています。
その中でも中小企業向けコロナ関連補助金の活用方法として、下記にいくつかの補助金制度の概要を説明していきます。
①持続化給付金
(対象者)
・新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同付比較で50%以上減少している
資本金10億円未満の法人、個人事業主やフリーランス、医療法人、農業法人、社会福祉法人、NPO法人など幅広い者が対象になります。
(給付金上限)
・200万円(法人の場合)、100万円(個人事業主の場合)
持続化給付金は、日本政府としても過去に前例がないほどの超緩和条件(ほぼ無条件)での事業者向け給付金制度です。過去の様々な給付金制度でも、フリーランスにまで補償を広げたものはありませんでしたので、日本政府としても経済を支えるという意気込みを感じる給付金制度だと思います。
②家賃支援給付金
新型ウイルス感染症を契機とした2020年5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して家賃支援給付金を支給するものです。
(対象者)
テナント事業者のうち、中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者であって、2020年5月から12月において、
・いずれか1か月の売上高が前年同月と比べ、50%以上減少していること。
・連続する3か月間の売上高が前年同月と比べ、30%以上減少していること。
この両方の条件を満たしている者が給付対象者になります。
(給付金額・上限)
本給付金申請の直前1か月以内に支払った金額を算定の基礎として、6か月分を受給することができる。
ただし、申請1か月前に支払った賃料が75万円以下の場合は、支払い賃料の2/3が給付率となり、75万円を超えてくる分の給付率は1/3になります。
例えば、申請前に支払家賃が30万円の場合、2/3給付で月20万円の6か月分で120万円の給付金が受け取れます。
申請前に支払った家賃が90万円だった場合、75万円までは2/3給付で60万円、75万をこえる部分は1/3給付なので、5万円となり、月額65万円の6カ月で390万円の給付金が受け取れる計算になります。
法人の場合は、月額100万円の6か月分である600万円が、個人事業主の場合、月額50万円の6か月分である300万円までが給付の上限になります。
③ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 「特別枠」「事業再開枠」
通称「ものづくり補助金」といわれる補助金に関して、通常の補助金以外に、「特別枠」と「事業再開枠」が創設されました。
これは、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り超えるために、積極的に投資を行う事業者の支援の為の枠組みになります。
(給付条件)
まず「特別枠」給付条件としては補助対象経費の1/6以上が以下のいずれかの要件に合致する投資であること。
・類型A:サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと。(例えば、部品調達困難による部品の内製化、客先の営業停止に伴う、新規顧客開拓)
・類型B:非対面ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でサービスを提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと。(例えば、店舗販売からネット販売へのシフトなど)
・類型C:テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実施できるような環境を整備すること。(例えば、Web会議システムの導入など)
(補助率・補助上限額)
特別枠としての補助の上限額は1000万円で、補助率は類型Aで3/2、類型BCで3/4の補助率となっています。
次に、「事業再開枠」としての給付条件は、業種別ガイドラインに基づいた感染防止対策の実施をすることにより、その対策費に対して給付金がもらえます。具体的には
・消毒、マスク、清掃
・飛沫防止対策(アクリル板、透明ビニールシート等の設置)
・換気設備の設置
・その他衛生管理(サーモカメラ・キーレスシステム等)
これらの設備設置や実施に必要になった費用のうち、上限が50万円までの補助がでることになります。
以上の補助金のほかにも、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金でも、「通常枠」以外に、ものづくり補助金と同様に「特別枠」「事業再開枠」が設定されています。
以上がすべての補助金というわけではないですが、比較的活用がしやすい、物になります。
これらはそれぞれで申請が可能になりますので、中小企業向けコロナ関連補助金の情報を集め、うまく組み合わせて活用をしていくことがコロナ禍の経済環境を乗り切る方法に一役買うことは間違いないと思います。