事業者の方が、新商品の開発をしたいと考えたり、生産性を上げるために新しい機械やシステムを導入したいと考えたりしたとき、資金繰りの手段として使えるのが補助金です。補助金には、ものづくり補助金やIT導入補助金など、いくつかの種類があります。
ここでは、ものづくり補助金とIT導入補助金の違いや併用可能かどうかについてみていきます。
まずは、それぞれの制度の概要について見ていきましょう。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」といいます。
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が取り組む革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するために交付されるものです。
ものづくり補助金には、一般型、グローバル開発型、ビジネスモデル構築型と3つの種類があり、補助金の上限額は一般型が1000万円、グローバル開発型が3000万円、ビジネスモデル構築型が1億円となっています。
最大で1億円というとかなり大きな金額ですが、基本的には採択されることはまずありません。1000万円の一般型が原則と考えておいた方が良いでしょう。
IT導入補助金とは?
「IT導入補助金」とは、中小企業・小規模事業者の業務効率化・売上アップのためのITツール導入を補助する目的で交付される補助金です。
補助金の限度額は、ITツール導入にかかった費用の2分の1、最大で450万円が基本です(補助率が最大4分の3になる特別類型もあります)。
例えば、ITツールの導入に100万円かかった場合、50万円が支給されます。1000万円かかったときは、限度額の450万円が支給されます。
それぞれの違いは?
それぞれの補助金には、交付される金額や要件が異なるのはもちろんですが、そもそも補助金が交付される目的が異なりますので、どういうときに交付されるかがあらかじめ決まっています。自社で行った取り組みによってかかった経費がすべて補助金の対象となるわけではありませんので、自社が行いたい取組みによって、申請したい補助金を選ぶようにしましょう。
どういう場合にどの補助金を選べばよいのかについては、中小企業庁が公表している、以下の資料が参考になります。
中小企業庁 3つの補助金をチェック!
ここでは「小規模事業者持続化補助金」も含めた3つが紹介されています。
いくつかを抜粋して見てみましょう。
項目 |
ものづくり補助金 |
IT導入補助金 |
---|---|---|
○こんな人に |
・新事業にチャレンジしたい |
・ITで経営状況を「見える化」したい |
○補助金内容 |
100~1,000万円
新製品開発のための製造機器購入やシステム構築など |
40万円~450万円
バックオフィス効率化のためのITツール導入 |
このように、自社で行いたい取組みは何なのか、というところで申請できる補助金が決まってきますので、まずはこれを決定して、当該事業が補助金の対象になるのかどうかを考えるようにしましょう。
ものづくり補助金とIT導入補助金の併用は可能?
それでは、例えばある会社が新製品開発のための製造機器購入のためにものづくり補助金を申請したとき、同時に生産性向上のためにITツールの導入も検討したいと考えた場合、IT導入補助金も併せて申請することができるのでしょうか?
補助金や助成金には併用できるケースとできないケースがあり、同じ会社ばかりが補助金・助成金を独占的に利用することにならないように、同じ目的や対象の補助金は併用できないケースが多くなっています。
しかし、ものづくり補助金とIT導入補助金は、目的や対象が異なっているのはこれまでに見てきたとおりです。
そのため、上記のような例では要件を満たしていればどちらも補助金を受けられる可能性があります。
ただし、補助金は予算の枠が決まっており、要件を満たして申請さえすればどなたでも受けられるわけではありませんので、その点には注意が必要です。
いかがでしたでしょうか
補助金についてお悩みの方は、専門家に相談してみるとよいでしょう。代行を依頼するための費用はかかりますが、自分でやる場合よりも許可可能性が高くなり、かかる時間、手間等も短縮が可能です。これらの要素を比較しながら、利用を検討してみてください。