ものづくり補助金の採択率は約40%です。更に言うと、合否以前に申請までたどり着かないケースもたくさんあります。こちらでは、経験則に基づく不採択理由(エントリーまでたどりつけないケース含む)をご紹介します。ちなみに、正式な不採択理由は公表されていません。
単なる設備の更新・追加
ものづくり補助金には「革新性」が必要となるため、単なる設備の更新・追加では合格できません。ですので、「単に設備を新しくしたい」といった理由であれば、申請自体が無駄になる可能性が高いのでやめておいた方が無難です。
なお、そういった場合は、エネルギー系の補助金等、他の設備投資に使える補助金を選択肢にいれたほうが賢明です。
競争劣位の解消にしかなっていない
競争劣位の解消とは、自社がライバルに出遅れている場合に、追加投資をすることで解消することをいいます(マイナスから0に戻す状況)。この場合は、「革新性」が全くないので、ものづくり補助金には合格できません。
事業内容に具体性がない
事業計画の根幹は「誰に」「何を」「どのように」売るかという枠組みです。こういった枠組みができておらず、抽象的な事しか書かれていない事業計画書は不採択となります。
ですので、市場分析や競合分析等をしっかり行い、「どういう事業で、なぜ成功するのか」といったことを具体的に計画書に落とし込む必要があります。
実現可能性がない
ものづくり補助金はチャレンジを応援する補助金ではあるのですが、チャレンジのベースとなるスキルやノウハウに疑いがあると、仮に革新性が認められるケースだとしても、「でも、実現可能性がないよね」と不採択となりがちです。
なぜなら、ビジネスにおいては必ず競合がいる以上、自社にノウハウが全くない状態での勝負では「それじゃ競合には勝てないよね」と審査側に判断されてしまうからです。
自社の強みが生かしきれていない
社内の共有システムや営業管理システム等、どこの企業が導入してもオリジナリティがでにくい投資では、ものづくり補助金に合格しにくいです。なぜなら、「他社でも一般的でない」という点での革新性がうちだしにくいからです。
リストラを表明してしまった
最新の設備投資をして生産性がアップすると、人員に余裕がうまれ、リストラの話になりがちです。リストラも企業経営においては合理的な選択かもしれませんが、「補助金合格」の観点から考えると、おすすめできません。
なぜなら、国が補助金を出すニーズとしては、「雇用の確保」がふくまれているからです。
ですので、申請書においては、「生産性が向上して人員が浮くため、新規事業にチャレンジする」といったように、リストラの流れにならない書き方が必要となってきます。
財務状況が悪い
債務超過、2期連続赤字といった財務状況が悪いケースも厳しいです。
また、会社の規模に対して投資が過大である場合も難しいです。
なぜなら、補助金は後払いのため、財務状況が悪いと融資がおりず、補助事業に取組めない可能性があるため、それなら最初から不合格にしておこうという考えがあるからです。
内部体制が脆弱
少人数の企業等、社内体制が整っていないケースも不採択となりがちです。なぜなら、事業計画の実行に疑問をもたれるからです。
実際、ものづくり補助金の審査項目にも「社内外の体制」というキーワードがでてきます。
ちなみに、社内の人間が少なかったとしても、社外ネットワークをアピールすることで、補助事業への取組の実効性を担保することは可能です。
創業直後である
補助金は「創業半年は通りにくい」と言われています。なぜなら、社内体制の観点から、補助事業の実現可能性に疑義がもたれがちだからです。
とはいえ、同業他社からの創業等、経験豊富なケースもありますし、創業の形態は様々ですので、一概には言えない点でもあります。