ものづくり補助金

ものづくり補助金はリース契約可能だが注意が必要

会社を経営している方が、新しく機械を導入したり、設備投資をしたいと考えたときに、資金調達の手段として使えるのが「ものづくり補助金」です。

 

このものづくり補助金は、リース契約であっても利用することができます。ただし、ものづくり補助金をリース契約で申請する場合には注意が必要です。

 

ここでは、「ものづくり補助金リース契約可能だが注意が必要」というテーマについて見ていきます。

 

ものづくり補助金の対象となる経費にリースは含まれる?

ものづくり補助金の対象となる経費は以下のように定められており、これ以外は対象となっておりません。

1)機械装置費
機械装置や専用ソフトウェア等の制作、購入、借用

2)技術導入費
事業遂行の為に必要な知的財産権等の導入

3)専門家経費
事業遂行のために招聘される専門家に支払われる謝礼や旅費

4)運搬費
運搬料、郵送等

5)クラウド利用費
クラウドコンピューティング利用

 

このように、対象となる費用には限定がありますが、1)では「機械装置や専用ソフトウェア等の制作、購入、借用」とあります。この「借用」にリースが含まれていますので、リース契約もものづくり補助金の対象となっていることがわかります。

 

リース契約する上での注意点は?

それでは、リース契約を締結してものづくり補助金を申請したいと考えたときに、どのような点に注意する必要があるでしょうか?

 

最も重要なのは、「補助事業実施期間の費用しか対象にならない」という点です。

一体どういうことでしょうか?

 

令和2年度のものづくり補助金では、「補助金の交付決定から補助事業実施期間は最大10か月間」と定められています。

つまり、この10か月分に支払ったリース料しか補助金の対象にならないということです。

 

たとえば、機械を導入するのに5年間で1800万円のリース契約を結んだとします。毎月あたりのリース料は、30万円ですので、最大で10か月分とすると、300万円が補助金の対象となります。中小企業の場合は2分の1が補助率になるので、補助金として受け取れるのは150万円、ということになります。

 

もし、この機械をリースではなく購入していた場合は、1800万円の2分の1の、900万円を補助金として受け取れる可能性がありますので、わざわざリース契約にするメリットがあまりないケースも多いでしょう。

 

このように、リース契約の場合は「補助事業実施期間の費用しか対象にならない」という点をよく考えた上でものづくり補助金を申請するようにしましょう。

 

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」といいます。

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新しく機械を導入したり設備投資をしたいと考えたときに、それを支援することを目的として交付される補助金です。

 

対象企業・業種は?

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者の支援を目的としていますので、対象となる企業は当然、「中小企業・小規模事業者」です。大企業は含まれません。

この「中小企業・小規模事業者」とは、中小企業基本法によって以下のように定義されています。

 

①中小企業の定義

業種分類

中小企業基本法の定義

製造業、建設業、運輸業その他

資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業

資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

旅館業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が200人以下の会社及び個人

小売業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

その他サービス業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

 

②小規模事業者の定義

業種分類

中小企業基本法の定義

製造業その他

従業員20人以下

商業・サービス業

従業員 5人以下

このように、会社の規模に制限はあるものの、業種に限定はありません。上記の表にはかなりたくさんの方が該当するかと思います。

 

ものづくり補助金申請手続きの流れ

ものづくり補助金の申請手続きは、以下のような流れで行います。

申請手続きの流れ

  • 事業計画書の作成
  • ものづくり補助金事務局に申請
  • 事務局の審査
  • 採択の通知
  • 補助事業の実施
  • 実施内容を補助金事務局に報告
  • 補助金の交付
  • 補助金交付後、5年間の継続事業状況報告

 

いかがでしたでしょうか

 

「ものづくり補助金リース契約可能だが注意が必要」というテーマについて見てきました。

もし、自分のケースはリース契約にすべきなのかどうか判断に迷った場合は、専門家に相談してみるとよいでしょう。正確な判断をしてもらうことができますし、申請そのものも代行してもらうことができます。申請代行を依頼するための費用はかかりますが、自分でやる場合よりも許可可能性が高くなり、かかる時間、手間等も短縮が可能です。これらの要素を比較しながら、利用を検討してみてください。

 

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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