補助金活用ガイド

何をすれば補助金ってもらえるの?

補助対象事業(国が補助したい事業)とは

補助金は、中小企業や小規模事業者が販路拡大や労働生産性向上など会社をよりよくする取り組みに対して、税金を使って補助してくれる制度です。そのため、どんな取り組みも支援してくれるわけではなく、あくまでも補助金ごとの目的に合った取り組みを補助してくれることになります。

各補助金の趣旨を簡単にまとめると次のようになります。

1、ものづくり補助金 目的「革新性」

ものづくり補助金は中小企業などの革新的な設備投資を応援してくれる補助金になります。
では、革新性とは果たしてどのような意味なのでしょうか?

【革新性とは?】
●地域でいままでにない
●業界でいままでにない
●自社でいままでにない
このような取り組みを意味します。
つまり、革新性とは「発明」に近いイメージだということです。
ではどのような取り組みがものづくり補助金の採択を受けているのかをご紹介します。

(製造業)
・金属加工のIoT化によるコスト削減と自動化、新加工分野進出
 金属製品製造業のある会社は、金属材料の成分分析と加工ロボットのIoT化しました。それにより、加工データを収集してビッグデータ化を図り、材料に応じた加工条件を見出すことで、職人が確認しながら行っている作業の完全自動化を目指すためシステムを構築しました。
更に最新型の加工ロボットを導入したことにより、加工時間の短縮、刃物寿命の延長を目指します。

(建設業)
・建設工事におけるトータル時間・コスト削減を目的とした鋼板への付加価値付与
 平板自動開先加工機及び鋼板用ショットブラストマシンを導入し、加工時間の短縮と作業効率の改善を図るとともに、鋼板への付加価値を付与した。

(飲食小売業)
・急速冷凍・加熱処理によるロングライフ食品の開発と事業化
 新規の機械導入により賞味期限が飛躍的に延長。さらに、豆腐とうの花を使用した新たな形の肉の代替品を開発。

2、IT導入補助金 目的「業務効率化による生産性向上」

IT導入補助金は、決められた既存のITツールを導入することで、社内の業務が効率化することにより、生産性が向上する取り組みに対し、補助金をもらえる制度になります。
業界ごとの採択事例を紹介します。

(宿泊業)
・天然温泉旅館を経営する会社が会計・給与計算システムの連携により業務時間が短縮した。

(建設業)
・建設業の会社が法人化を機に原価や予算実績管理等の業務を見える化。
その結果、経営管理に必要な情報の集計作業時間が大幅に削減できた。

(士業)
・法人・個人事業主等に対し、税務・会計アドバイザリー業務を提供する会計事務所。
クラウド会計ツール導入により入力作業が自動化され、作業時間が削減。
より多くのクライアント対応が可能になり、売上・粗利が増加した。

(情報通信業)
・通信ネットワークの設計、構築、保守まで、情報通信設備に関する幅広いソリューションを提供している情報通信業の会社。
RPAツールの導入を機に業務プロセスの見直しを行い、定型業務を自動化した。
その結果、属人化された業務を改善し、月に約25時間の残業時間を削減できた。

3、小規模事業者持続化補助金 目的「小規模事業者の販路拡大」※生産性向上も含む

小規模事業者持続化補助金は、20名以下の小規模事業者(商業・サービス業については5名以下の小規模事業者)が積極的な販路拡大を行う事を応援するための補助金です。
業界ごとの採択事例を紹介します。

(飲食業)
・セルフレジ導入によるスタッフ数の削減
・客室を改装したお食事処の設置による非対面型食事の提供

(宿泊業)
・風景と再会を届ける公式ECショップ開設
・民宿営業を非対面化、自動化する宿泊運営システム構築

(飲食業)
・飲食店への販路拡大と店舗集客強化のための設備の充実

経費的にOKでも補助対象外となる場合がある

補助金ごとに対象としている経費の項目が違っても、基本的には「販路拡大」と「業務効率化による生産性向上」という目的に合致した際に補助金を支給する制度だと考えてもらえば、おおむね間違いはありません。その中でもよく活用される経費として挙げられるのはホームページ制作などのWEB関連の経費です。ただし、WEB関連の経費だとしても、目的に合致しなければどんなに補助される経費だとしても、補助金の対象外となってしまいます。

例えば、ホームページ制作を補助金で補助してほしいと思い、会社のコーポレートサイト(会社紹介サイト)を作ろうとしてます。一見すると、ホームページ制作ですので、対象となる経費になるように見えます。ですが、これは「NG」です。なぜならば、会社紹介のコーポレートサイトは会社をPRしているもので直接的な販路拡大になっていないからです。
公募要領にもそのことは書いてあるのですが、公募要領は暗号が書かれているかのように内容が複雑ですので、読み過ごしてしまいがちです。

読み過ごしてしまったがゆえにせっかくの申請も要件を満たさないとのことで不採択(不合格)となってしまっては、かけた労力が無駄になってしまいかねません。
補助金ごとの申請で求めている「目的」は何か?このことを常に念頭に置きながら計画書作成を進めてください。急がば回れという言葉がぴったりなのが、補助金制度と言えるでしょう。

この記事の監修

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

行政書士/財務コンサルタント

吉野 智成(よしの ともなり)

プロフィール

大学卒業後、税理士事務所で中小企業の会計を支援。
2019年 行政書士登録、個人事務所を開設
2021年 補助金・融資部門を法人化。「株式会社Gunshi」を設立
専門分野:事業者向け補助金、融資申請支援

書籍

中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本』(セルバ出版)

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