トップページ > 香港で会社設立する場合の条件|商業登記の手続きや香港法人の株主について
香港で会社設立する場合の条件|商業登記の手続きや香港法人の株主について
金融大国として知られる香港は、外資系企業の参入先として人気です。
香港で会社設立を検討している方の中には、
「設立の条件は?」
「設立の方法は?」
「香港法人の株主とは?」
といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、香港で会社を設立する場合の条件と方法について詳しく紹介します。
ぜひ、最後までお読みください。
香港で会社を設立するにあたって
ここでは、香港で会社をスタートするにあたっての利点と進出形態について見ていきましょう。
日本企業の進出先として香港が人気の理由
香港は、日本企業の参入先として人気です。
人気の理由として、以下の利点が挙げられます。
世界的な金融大国であること
香港は、世界的な金融市場の中心地として知られ、アジア太平洋地域における金融の拠点です。
アジアの交通の要所に位置しており、アジア各国の主要都市から飛行機で3〜4時間程度で移動が可能です。
さらに、中国ビジネスへの展開もしやすい環境がそろっています。
参入障壁が低いので、多国籍企業が集まりやすく、資金調達や国際取引が活発に行われています。
会社設立が比較的容易であること
香港では、外国人でも比較的容易に会社設立が可能です。
政府は外国企業の参入を支援しており、法的な枠組みも整備されています。
会社設立の手続き自体も比較的簡単で、外国企業がエントリーしやすい環境が整っています。
経済的な自由度が高い
香港は、経済的な自由度が高いことで有名です。
例えば、以下のように経済活動における規制が少なく、企業は柔軟かつ効率的なビジネスが展開できます。
- 最低資本金が1HKD(日本円で約20円)
- 1名以上の株主・役員で設立が可能(香港非居住者でも株主・役員になれる)
- ほとんどの業種で許認可が不要
税制がわかりやすく、低税率である
香港の税制は非常に明快で、かつ法人税率も16.5%と低く設定されています。
加えて、そのほかの税も比較的低い水準に設定されており、税制の透明性が高い点も魅力です。
ただし、日本にはタックスヘイブン対策税制と呼ばれる制度があるため、注意する必要があります。
タックスヘイブン対策税制とは、香港の現地法人で得た所得も日本側で合算課税される法律です。
ペーパーカンパニーなどの場合、制度が適用される可能性があるため、注意しましょう。
香港への進出形態について
進出形態は、以下の4つに分類されます。
1. 有限公司(現地法人)
現地法人では、最も一般的な形態です。
販売や営業などの収益に関する業務を行えます。
2. 支店
外国企業が、香港支店として進出する形態です。
有限公司と同様に、販売や営業などの収益に関する業務を行えます。
ただし、法人格を持たない形態のため、支店の責任はすべて日本の本社が負います。
3. 駐在員事務所
販売や営業などの営利活動はできません。
許可される主な業務内容は、現地の市場調査や情報収集などです。
4. EOR・GEO・PEO
現地に拠点がない企業の雇用や人事、労務管理を代行するサービスです。
会社設立と商業登記の違いについて
香港で会社をスタートするには、会社登記と商業登記の手続きを行います。
2つの手続きの違いは、以下のとおりです。
会社設立:香港法人を会社登記所に登記すること
香港で法人を設立する場合、会社登記所に登記をしなければなりません。
登記をすると、法的に企業が設立され、法人格が形成されます。
登記には、会社名・所在地・資本金・株主・役員などの情報が登録されます。
商業登記:香港法人を税務署に登記すること
香港で事業を行うには、個人・法人を問わず商業登記が必要です。
商業登記の手続きは、税務署で行います。
登記をすると、商業登記証が発行されます。
商業登記証は、香港で事業を行うために必要な書類で、いわゆる事業の許可証です。
香港で会社設立するまでの流れ
ここでは、香港で会社をスタートするまでの流れと条件を見ていきましょう。
会社設立の流れ
会社設立の流れと費用について、以下で紹介します。
香港で会社設立までの流れ
会社設立までの流れは、以下のとおりです。
1. 進出形態を選択
香港で会社をスタートする際の、進出形態を決めます。
2. 事前準備
進出形態に合わせて、会社に必要な情報を決めます。
例えば、有限公司を始める場合は、以下の情報が必要です。
- 会社名
- 現地法人の住所
- 株主(複数の場合は出資比率も)
- 資本金
- 取締役
- 会社秘書役
加えて、登記手続きに必要な書類の作成・収集もしましょう。
必要書類は、以下のとおりです。
- 設立申請書(Form NNC1)
- 設立予定の有限公司の定款
- 株主・取締役のパスポートと住所証明
- 会社登記所への通知書(IRBR1)
- 登録料
3. 会社登記の手続き
会社登記所に必要書類を提出し、登記の手続きを行います。
手続きは、オンラインでも可能です。
申請内容に問題がなければ、通常4営業日以内に会社設立証明書が発行されます。
費用について
手数料として、計1,720HKDがかかります。
内訳は、以下のとおりです。
- 登記の手数料:1,425HKD
- 設立証明書の発行料:295HKD
会社設立における条件
会社設立における条件について、以下で詳しく紹介します。
本記事で解説する条件は、上記で挙げた進出形態のうちの有限公司(現地法人)についてです。
1.事業開始日から1カ月以内に商業登記すること
有限公司などの現地法人をスタートする場合、会社登記と商業登記の両方が必要です。
商業登記は、会社設立後1カ月以内に手続きをしなければなりません。
有効期間は、1年間と3年間の2種類があります。
商業登記は更新し続ける必要があるため、注意しましょう。
2.会社名が他社によって登録されていないこと
会社名は、任意の名称を設定できます。
ただし、他社によってすでに登録されている名称は使用できません。
登録済みの会社名は、こちらからチェックできます。
認められる会社名は、以下の3パターンです。
- 英語のみの名称
- 中国語のみの名称
- 英語と中国語の両方を登録
英単語と中国語単語を混ぜた名称は認められないため、注意しましょう。
3.香港現地の登記住所がある
会社登記をするには、現地の登記住所が必要です。
しかし、現地のオフィスを借りるには、会社登記後に発行される会社設立証が必要です。
上記のように、会社を設立するには登記住所、オフィスの賃貸契約には会社設立証が必要という矛盾が発生します。
矛盾を解消するには、「住所貸し」のサービスを利用するのが一般的です。
代行サービスの中には、登記代行のほかにバーチャルオフィスなどの「住所貸し」サービスも提供しています。
4.会計監査人について
香港法人は、非上場企業でも会計監査を適切に行うことが義務付けられています。
日本から香港に進出した現地法人も、例外なく監査を受けなければなりません。
さらに、監査人として任命できるのは、会計士または香港に登録された資格を有する会計事務所です。
「監査」とは、企業が作成した決算書に記録された情報が、正確かどうかを監査人によって確認する過程を指します。
決算書が信用できるものかどうかを、利害関係者(株主や税務署)が判断できるようにするのが「監査」の目的です。
5.資本金と出資者の条件
資本金の最低額は、1HKD(約20円)です。
さらに、資本登録料として資本金の0.1%を香港当局へ支払います。
香港では、ほとんど資本金をかけずに会社の設立が可能です。
ただし、実際は1万HKD以上の資本金に設定するのが理想とされています。
「資本金」とは、会社運営のための元手となる資金であり、出資金額は株主として責任を持つ範囲の上限です。
商業登記の流れと手続き方法
ここでは、商業登記の流れについて見ていきましょう。
商業登記の流れ
商業登記の流れと費用について、以下で紹介します。
香港の税務署に登記する流れ
商業登記の流れは、以下のとおりです。
1. 税務署にて商業登記の手続き
会社登記をしたら、税務署にて商業登記の手続きを行います。
申請内容に問題がなければ、商業登記証が発行されます。
発行にかかる期間は、窓口で手続きをした場合は即日、郵送の場合は2営業日ほどです。
会社登記と商業登記の手続きは、同時にできるワンストップサービス(こちら)もあります。
2011年2月21日より、会社登記所と税務署が連携して導入されたオンラインサービスです。
24時間アクセスが可能で、通常1時間以内で各証明書が発行されます。
2. 銀行口座の開設
業務を始めるには、現地の銀行口座も必要です。
口座開設の手続きは、現地の銀行で行います。
銀行によって異なりますが、開設に必要な一般的な書類は以下のとおりです。
- 本人確認書類
- 現住所を証明できる資料
- 会社設立証・商業登記証・設立申請書・定款・年次報告書・会社案内・事業に関する契約書や請求書など
近年、香港の銀行口座の開設は規制が厳しくなっています。
入念な準備をしてから、手続きに進みましょう。
商業登記費用について
商業登記の手数料は、以下のとおりです。
- 2,200HKD(1年間)
- 5,720HKD(3年間)+ 150HKD(税金)
商業登記簿とは?
商業登記証とは「Business Registration Certificate」と表記され、略してBRとも呼ばれます。
商業登記の手続きを完了すると発行され、香港で事業を行うのに必要な証明書です。
例えば、香港の飲食店や小売店などを訪れると、額縁に入った商業登記証を確認できます。
商業登記証は、現地法人に限らず、海外法人の支店・駐在事務所・個人事業主なども必要です。複数の店舗や支店がある場合は、店舗や支店ごとに取得しなければなりません。
加えて、1年間または3年間ごとの更新も必要です。
さらに、商業登記証を取得したら、店舗やオフィス内の見える位置に掲示することが義務付けられています。
違反した場合は、罰金が科せられる可能性があるため、注意しましょう。
香港法人の株主について
ここでは、香港法人の株主について見ていきましょう。
株主になるための条件
香港で会社を設立するには、最低1名の株主が必要です。
「株主」とは、株式会社の株式を保有する個人や法人を指します。
株主の条件は、以下のとおりです。
- 最低1名の株主を設定
- 18歳以上(国籍・居住地に制限はなし)
- 香港法人や日本法人を含む海外法人も株主になれる
株主になると、香港政府が管理する登記書類に記録されます。
記録は、誰でも閲覧が可能です。
加えて、株主は、持ち株数に応じて以下の権利を有します。
- 利益配当請求権
- 議決権
- 残余財産分配請求権
- 株式引受権
- 株式買取請求権
ノミニ―制度を活用した株主
香港では、ノミニー制度を活用して会社を設立できます。
法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度
ノミニー制度は、法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度です。
名義上の役員と株主を、それぞれ以下のように呼びます。
- 役員:「ノミニー役員」
- 株主:「ノミニー株主」
ノミニー株主は、日本で言う「名義株主」です。
プライバシー保護を目的とした制度
ノミニー制度は、プライバシー保護を目的とした制度でもあります。
香港では、会社登記所に費用を払えば、誰でも株主・役員・資本金・住所などの会社情報を取得できます。
会社の株主や役員であることを第三者に「知られたくない方」、または「知られると困る方」は、ノミニー制度を利用しましょう。
通常、業界での知名度がある場合、会社運営においてはメリットが大きいです。
しかし、第三者から必要以上に注目を受けることで、会社運営に支障をきたす可能性もあります。
会社が軌道に乗るまではノミニー制度でプライバシーを保護し、軌道に乗ったらノミニー制度を解除する、といった活用もできます。
個人情報を守る手段として、ノミニー制度は最適です。
まとめ
この記事では、香港の会社設立の条件と方法について紹介しました。
香港では、会社設立が比較的容易にできるため、日本企業の進出先として人気です。
しかし、自力で登記手続きをする場合は、想像以上に時間も労力もかかります。
会社設立を検討している方は、専門家による代行サービスなどを利用するのがおすすめです。





