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外国人技能実習制度における監理団体の役割とは?
団体管理型で技能実習生を受け入れる場合は、監理団体を通して技能実習生を受け入れることになります。
では、技能実習生の監理団体の役割はどういったものでしょうか?
監理団体の役割について見てみましょう。
1.技能実習生の受入れ方式
外国人技能実習生を企業が受け入れる方式は、「企業単独型」と「団体監理型」があります。
①「企業単独型」:日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
②「団体管理型」:非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式
上記の受け入れ方式と技能実習生の入国年数に応じて在留資格の「技能実習」の区分は以下の6つに分類されます。
|
入国1年目 |
入国2~3年目 |
入国4~5年目 |
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企業単独型 |
技能実習1号イ |
技能実習2号イ |
技能実習3号イ |
団体監理型 |
技能実習1号ロ |
技能実習2号ロ |
技能実習3号ロ |
日本には2800以上の監理団体があり、法定された業務の他に、より技能実習生が日本で働きやすくするために、巡回を頻繁に行うなどのサービスを設けている監理団体もあります。
2.監理団体の役割
では、監理団体の役割はどのようなものでしょうか。
監理団体の主な役割は、外国人技能実習生を受け入れ、実習実施機関の企業で技能実習が適正に行われているのか確認・指導を行います。
具体的に言うと、次の3つの役割を担います。
① 監理
技能実習生の受け入れ団体が、技能実習計画に従い、適正に技能実習が実施されているかどうかを確認します。技能実習計画に基づいて行われていない場合、適正な実施について企業等を指導します。
② 技能実習制度の趣旨の理解と周知
技能実習制度の趣旨が、「人づくり」という国際貢献にある点から、実習実施機関や技能実習生の送出機関にこの趣旨を周知します。したがって、「人手不足だし、安い賃金で働いてもらうために外国人技能実習生を受けいれたい」というのは、この趣旨に反するので認められません。このような技能実習制度の正しい趣旨を周知することで、技能実習生を安価な労働力と考えている実習実施機関や送出機関が技能実習制度に参入するのを防ぎます。
③ 監査・報告
3か月に1度の定期監査を行います。技能実習生1号については1か月に1回、定期的に訪問指導を行うほか、違反の疑いがあると認めた場合は、直ちに臨時の監査を実習実施機関に対し行います。その結果を地方入国管理局に対して報告します。
監査では、原則として以下の事項を行います。
●実習実施者の事業所の設備、帳簿書類等を閲覧すること
●技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること
●技能実習の実施状況を実地に確認すること
●技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
●技能実習生の4分の1以上と面談すること
④ 入国後の講習
入国前に送り出し機関で講習をしていても、入国後にも講習をする必要があります。この講習は監理団体が行います。講習では、日本語学習や日本で生活する上でのルールやマナー、交通規則や法律について学びます。
3.監査項目
監理団体の役割である「監査」の主なチェック項目です。
・実習計画に沿って実習が行われているか
・最低賃金を下回っていないか
・技能実習日誌はきちんと作成されているか
・雇用条件に従った賃金の支給および各種控除がなされているか
・社会保険に加入しているか
・技能実習生間で、労働時間、賃金等に不当な格差がないか
・安全教育はしっかりと実施されたか
・特別教育は実施されているか
・関連周辺作業の割合に問題はないか
・申請した場所とは別の現場で実習していないか
・就業規則等を守っているか
・定期的に健康診断は実施しているか
・休日はきちんと取得できていて、連続勤務になっていないか
・有休は取得できているか
・法定労働時間を超える残業の場合は、労働基準監督署に届出がなされているか
4.監理団体選びのポイント
監理団体は、2019年末時点で2800以上の団体があり、主に6つの種類に分かれています。
①事業協同組合
②商工会議所、商工会
③農業協同組合、漁業協同組合
④職業訓練法人
⑤公益財団法人、公益社団法人
⑥法務大臣が告示をもって定める団体
以下のポイントを押さえて監理団体選びをしましょう。
・監理団体のサービスと費用が適正か
・監理団体に技能実習生制度に関しての専門的知識があるか
・名目だけではなく適正に監理団体としての義務を果たしているか
・必要な書類に関して、迅速に対応してくれるか
・迅速に対応してくれるか
技能実習生の受け入れをするほとんどの企業が継続的に関係を持つ団体なので、その役割等を知っておくのがよいでしょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応