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遺産分割協議書を放置、作成しないとどうなる?

相続手続きを進めるにあたって遺言書がない場合では必ず必要となる遺産分割協議書。しかし、なかなか全員での話し合いがまとまらずに難航して放置してしまう。そもそも遺産分割協議書の作成に期限はあるのか!?作成は義務なのか!?作成しないことでデメリットはあるのかを教えてほしい!と思っているのではないでしょうか。

 

今回は遺産分割協議書を放置、作成しないとどうなるのかについて説明していきたいと思います。

 

結論からいいますと、遺産分割協議書の作成には期限も義務もありません。相続が発生した時点で、法律的には法定相続分によって相続されたとみなされます。それを、遺産分割協議書という形で法定相続分以外の割合で相続したことを合意することで、相続時点まで遡って適用されることになるのです。つまり、初めから遺産分割協議書の内容で相続したことになる、ということです。そもそも口頭だけの合意でも法律的な効果はあるんです。

 

ただ、やはり口頭だけの合意では、それを証明することが困難のなので、遺産分割協議書をという形で書面にする必要があるんです。それを放置することで発生するデメリットは、ズバリ、相続手続きを進めることができないことです!

 

それでは具体的に見ていきましょう。

・遺産分割協議書を作成しないデメリットその1【相続放棄ができない!】

良くも悪くも相続放棄をするには、相続を開始したことを知ってから3ヶ月以内にしなければなりません。プラスの財産だけが相続財産ではありません。マイナスの財産、つまり借金ですね、それも相続財産になります。放置していることで、莫大な借金を相続することになってしまった!とならないように、放置せずに、相続放棄をするかしないかを早めに決断しなければなりません。

・遺産分割協議書を作成しないデメリットその2【相続税の申告に間に合わなくなる!】

相続税の申告にも期限があります。相続を知った日の翌日から10ヶ月以内が相続税の申告期限になります。10ヶ月は長いようでいて、実はあっという間にきてしまいます。なお、相続放棄の手続きは弁護士又は司法書士でなければ代行できません。相続手続きには戸籍を収集して相続人を確定させたり、財産調査をして相続財産を確定させたり、遺産分割協議書を作成したり、遺産分割協議書の内容を実行したりと、とにかくやることがたくさんあるのです。なかでも遺産分割協議書は1番時間がかかりますし、むしろ時間をかけなければならない最重要事項になります。それでいて、相続税の申告期限もあり、期限を過ぎれば延滞金なども発生してしまうことになるでしょう。期限後に修正申告なんてこともあったりしてしまいますので、早め早めの行動が必要です。なお、修正申告は税理士又は弁護士でなければ代行できません。

・遺産分割協議書を作成しないデメリットその3【銀行預金の解約ができない!】

銀行の預金を解約するには、遺言書か遺産分割協議書が必要になります。法律的には相続時点で、法定相続分で相続されたとみなされるといっても、銀行側はそれに応じてくれないことがほとんどです。必ずといっていいほど、遺言書か、なければ遺産分割協議書を持ってくるように求められます。しかも、銀行預金の解約の期限は10年という事項があります。なにもせずに10年経過すると、預金は永久に引き出せなくなりますので注意が必要です。

・遺産分割協議書を作成しないデメリットその4【相続財産がなくなってしまう!】

相続財産を放置していると、モノが失くなってしまうことも考えられます。引っ越しだとか片付けだとかでどこにいったのかわからなくなるんですね。大事なものほどなくなってしまったりしてしまうこともありますので、早めに遺産分割協議書を作成して、分配してしまうのが1番です

・デメリットその5【次の相続がはじまってしまう!】

例えば、父親が亡くなって相続が始まってる最中に、母親も亡くなってしまった場合です。数次相続という言い方をしますが、そうなると母親の相続まで手続きをすることになりますし、遅くなればなるほど、また次の相続が発生してしまったりで、どんどん複雑化してしまいます。

・デメリットその6【責任はすべて相続人になる!】

相続財産の中に、不動産や自動車なんかがある場合には特に注意が必要です。相続が初まった時点では法定相続分で相続されたとみなされます。遺産分割協議で誰がどの遺産を相続するのか決めていないと、例えば不動産には毎年固定資産税や管理費などが発生しますが、それは法定相続人の負担となるのです。万が一にもその不動産が火事になって隣家にでも燃え移ったりしたら、その責任は法定相続人が被ることになります。自動車の場合も同じです。毎年自動車税がありますし、車検もあるでしょう。事故なんて起こされたりしたら大変です。デメリットの中では、これが1番大きいかもしれませんね。早めに遺産分割協議をおこない、誰がどの遺産を相続するのかを決めることが必要です。

 

 いかがでしたでしょうか。今回は遺産分割協議書を放置、作成しないとどうなるのかについて説明させていただきました。
遺産分割協議書を作成しないことには相続手続きを進めることはできません。人が亡くなるということは、悲しみよりも考えなければならないことのほうが多いかもしれません。考えることに疲れたり、一緒に考えてくれる人を求めることも検討してみてください。行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によって数万円程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。